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HOME WELL BEING 僕らのカフェ学 カフェには「手描き看板」の温もりを。看板はアートの域へ進化中。
カフェには「手描き看板」の温もりを。看板はアートの域へ進化中。

VOL.6 カフェには「手描き看板」の温もりを。看板はアートの域へ進化中。

特に気にしたことのある人は少ないかもしれないが、 カフェに絶対あるもの・・それは「黒板メニュー」。日替わりのメニューや、季節ごとのお知らせなどによく使われている。何気ないその存在が今、進化を遂げつつある。

昨今カフェにある「黒板・看板」のクオリティがかなり凄い。東京において、その現象の中心にいると言っても過言ではない、その名も「チョークボーイ」こと吉田幸平さんに話を聞いた。

東京・中目黒の「tokyobike」。デザインの良さに定評がある自転車のショップの中に「WHW!KIOSK」というショップインショップを構えたのは、チョークボーイ率いる手描き看板描きクルー。

ここでは、常駐する手描きアーティストに相談しながら、手描きの看板や表札・ウェルカムボードなどをオーダーすることができる。

代表を務める「チョークボーイ」こと吉田さんは、ロンドン留学からの帰国後、カフェで働き始める。留学中、スカイプ利用のためにカフェに入り浸っていたので、どこかで「カフェ」というものに恩返ししたいという思いがあったという。その仕事の中で、業務の一環として「黒板メニュー」を描いていた。

その頃、カフェにとって、「黒板」は日替わりのメニューなどを伝えるための、ただのツールだった。つまり、「伝われば、いい」。それ以上でもそれ以下でもない存在に過ぎなかった。

「描いている間はサボっているみたいなものなので、ダラダラ描いていたんですけど(笑)、早く描き終えて仕事に戻れって怒られたりしてたんですよね。どうやったら怒られずにずっと描いていられるかを真剣に考えた結果(笑)、『ものすごく丁寧に素晴らしい看板を描けばいいんじゃないか?』と気付いたんですよ。実はそんなことがきっかけなんです」

時間をかけて細部にこだわったり、飾り文字で描いたり、イラストを入れたり、トライした。丁寧に描いているうちに、よりかっこいいものを求めるようになり、やがて「サボりだった黒板描き」は、上手く描ける達成感と快感を求めるようになっていったのだ。
次第に周りに評価されるようになり、アルバイトながら系列店などの看板を任されて全国を飛び回るように。

6,7年前から少しずつ、カフェのアルバイトを辞めて、「チョークボーイ」として自分の作品をSNSに載せるようになっていった。

時を同じくして、東京は空前の「ブルックリンスタイルのカフェブーム」。

「ウッド調の店内とレンガの壁、黒とかスチールのマテリアルを使う、男らしいインテリアのカフェが爆発的に流行し始めた時期なんですよね。今振り返ればなんですけど、ブルックリンとかポートランドとか、アメリカのカフェ、壁に黒板がかかっているインテリアが物凄く多くて。それを取り入れるカフェが東京に生まれ始めたんですよね」

確かに、「ブルックリンスタイル」と言えば、黒やダークな色など明度の低い色味に、木目・コンクリート・スチールなどのマテリアルをポイントで使う、無骨な雰囲気。観葉植物や木目の家具と共に、「黒板」がポイントに使われている。

かつて「ただのツール」だった黒板は、ここでインテリアも兼ねることになったのだ。

「そのタイミングで、ちょっと雰囲気のある黒板やデザイン性のある看板を描ける人間ってそんなにいなかった。だから僕のSNSには、カフェのオーナーさん達から描きに来てくれないか?って連絡が来るようになったんですよね」

「急に連絡があって、黒板描いて欲しいんですけど、いつ来れます?みたいな(笑)オファーが増えて、戸惑いながらも、これを一過性のブームじゃなくてちゃんとカルチャーとして定着させたいって思ったんですよね」

そして、自分が味わった「描くことそのものの楽しさ」をもっと世の中に広めたら、これはブームじゃなく、カルチャーになる。と確信した。

吉田さんはこの「手描き看板」をカルチャーにするべく、ワークショップなどのイベントを精力的に行うようになった。

ワークショップの参加者の中に「ONIBUS COFFEE」の坂尾篤さんをはじめ、ここからチョークボーイに仕事のオファーをたくさんしてくれる仲間との出会いがあった。

仲間と楽しさを共有していくうちに、どんどん仲間が増えていったのだ。

手描きアーティストも増え、チョークボーイにとっては競合だが、業界全体が盛り上がってきたことを感じる。

「もはや、最近は黒板でもチョークでもないことも多いんですけど(笑)、手描きって、やっぱり温かさが出るんですよね。かすれたり、線が少しゆがんでいたり、滲んだり。完璧じゃないところに人間らしい温かさが出る。それが僕はすごく好き。」

確かに、ビシッとかっこいいインテリアのカフェに、手描きの黒板があるだけで、お店に温かみが加わる。印字されたカッコイイ文字より、そこに人がいる温度が伝わるのは、絶対手描きに違いない。

新しい案件の下書きデザインにトライする、クルーのスタッフさん。
手描きグラフィックのカルチャーを盛り上げるために出版した著書「素晴らしき手描きの世界」は、これでもかとチョークボーイの技術を出し惜しみせず教えてくれる

現在、チョークボーイが手がけた「手描きグラフィックアート」が見られるカフェやホテル・ショップはたくさんある。

中目黒「ONIBUS COFFEE」
こちらも同じく中目黒「ONIBUS COFFEE」
福井県「足羽山デッキ」
浅草「hotel AMANEK」
渋谷「サイクルカフェ TORQUE SPICE&HERB,TABLE&COURT」
渋谷「サイクルカフェ TORQUE SPICE&HERB,TABLE&COURT」

普段何気なく行っているカフェの壁や看板の「手描きグラフィックアート」。

それがあるとないとではカフェの「温度」が変わるはず。そんな目で、入ったカフェの看板に、注目してみよう。

MORE INFO:

WHW!KIOSK

エリア: 東京 / 中目黒
住所: 〒153-0051 東京都目黒区上目黒2丁目42−10
営業時間: 月曜日 10:30〜19:00
火曜日 10:30〜19:00
木曜日 10:30〜19:00
金曜日 10:30〜19:00
土曜日 10:30〜19:00
日曜日 10:30〜19:00
祝日 10:30〜19:00
定休日: 水曜日、年末年始休あり イベント出店の際など不定休もあり
公式WEB: https://whw.official.ec/