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HOME SPECIAL 'この世界'からは降りられない 朝井リョウ インタビュー 自分らしさの多様性が否定される煩わしい世界
自分らしさの多様性が否定される煩わしい世界

朝井リョウさんと“平成”という時代の対立について考える連載。続いては、インターネットとSNSが隆盛する社会の中で、ひとりの人間として社会との距離をどう保つのかを聞いてみた。

ここで朝井リョウさんの学生時代について聞いてみたい。平成という時代観の一側面である「オンリーワン地獄」。子供の頃から小説が好きだった朝井さんは、まさに平成の時代の中で、その「自分らしさ」や、周りの人との違いについてどのように感じてきたのだろうか。

「そもそも、小説を書くことが自分らしいと自覚したことはありません。周りのクラスメイトがゲームが好きだったり野球が好きだったり、そういうことと同じで、私は小説を書くことが好きでした。自分らしさについてあまり考えなくても良かったのは、自分が好きなものが偶然少数派だったということも大きいかもしれないですね。小説や物語を書く時間を確保することが、どの年齢の時でも最重要事項としてあったので、そのほかの人間関係などの悩みは、あったとしても二番手、三番手だったかもしれません」

「シンプルに好きなことをやり続けた結果」と言われるとオンリーワン地獄に苛まれている人たちからすればうらやましい限りだ。しかし、その好きなことを周りに誇示することもなく、むしろ隠していたというから意外だ。