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東京・夜こそ行きたいカフェ事情

飲みに行った帰りや時間つぶしでなく、敢えて、夜こそ、「カフェに行く」予定を入れたい。そんな魅力的なお店が東京に増殖中。さぁ、夜カフェしに、わざわざ、出かけましょう。

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通り過ぎることはできない。国立でマスクマンがつくる禁断の夜クレープ

Dolce Crepe(ドルチェクレープ)

週末の夜、飛び切りな食後のデザートが食べたい気分。でも、デパートや専門店は閉店後……。カロリーオーバー覚悟なのに、ファミレスで妥協するのはイマイチ。そんな気分の時に、通り過ぎるには気になりすぎるカフェを発見した。

元格闘家のユニークな店主が手作りするスイーツに遭遇

国立の「ドルチェクレープ」は、おやつとしてだけでなく、仕事や習い事の疲れた後にもクレープを食べてもらいたいと、深夜1時前後まで営業。周辺店舗が灯りを落としても、誰もが帰宅ついでに寄れるようドアを開けている。

深夜営業だけが驚きポイントではない。店長もインパクト絶大だ。名前は”マスク・ド・ドルチェ”、通称ドルチェさん。元格闘家のマスクマンである。

「主に海外で活動していました。帰国後、何をしようかと考えたとき、作る姿を見せられる屋台が好きで、甘いものにも目がないなって。つまりクレープ屋が良いじゃないか! と一念発起したんです」。

外から見ると、なんだかマスクマンが動き回っているカフェ。気になりすぎて、素通りできない。

ルックス以上に美味しさを追求して調理

クレープ作りはほぼ独学。最初に教わりこそしたが、習った通りにできず結局は我流になったそう。

「オープン当初は試行錯誤の繰り返し。お客さんからの声も参考にしました。だから、一年前と今では違うテイストだと思います」。

そして現在は自分なりに答えを見つけた生地のバランスと焼き方にたどり着いたという。

「薄めサクサクではなく、しっとりモチモチ。焼くというより蒸すに近いイメージなんです。その方がクリームやソースとマッチ。パンケーキが生クリームに合うのと同じ要領です」。

具材は食べやすさを重視して細かめにカット。バナナに至ってはペーストに近いほど刻む。

「クレープ自体が食べづらいでしょう? そこにデカいフルーツ乗せたら見栄えこそ良いけど、食べるのがもっと大変に。それに細かい方がクリームに馴染み、味がバラバラにならないんです」。

そして、最後まで一口目と変わらぬ美味しさが続くよう、先っぽまで丁寧に配置する。

決して広くはない厨房で、ドルチェさんの巨体がまめまめしく動く。「クレープは年中食べるものではないかも知れません。だからこそ、食べるときに外して欲しくない」という通り、一つ一つ丁寧に仕上げている。

定番人気はベリーたっぷりの贅沢な一品

人気の高いミックスベリーキャラメルブリュレ(1200円税込)が完成。なかなかのボリュームで、どこから食べるべきか迷ってしまうくらいだ。「僕にとってクレープは一種のパフェ。スプーンですくったり、かじりついたり、自分が好きなように食べれば良いんです」とのアドバイスを受け、大口開けてかじりつく。キャラメルと生クリームの強い甘味に、ブルーベリー&イチゴが爽やかさを加える。途中に顔を出すオレオクッキーの食感と相まって、そのままペロリと食べてしまう。

暑い日にはアイスクリーム入りがオススメ

バニラアイスを追加したバナナチョコクッキー(830円税込)も、コクのある甘さとフルーツ感が絶妙で支持率高め。ただ甘ったるいクレープとは一線を画している。

「彼女や奥さんの付き合いで来た男性もペロリと。自分がクレープを食べ切れるとは思わなかった! とおっしゃってくださることが多いです」。

店内にはぬいぐるみやアニメグッズで飾られたイートインスペースが設けられている。昼間はドルチェさんを慕う子供たちが集まることもしばしば。「夜になると家路の途中に大人たちがフラリと。作っている間にお喋りして、テイクアウトなさるのがほとんどです。ちなみに、近隣の飲み屋さんに持ち込んでも平気なんですよ」。

「クレープは食べようと思わないと口にしない贅沢品であり、良い気分をさらに加速させる存在。僕も人をスペシャルな気持ちにさせる作り手でありたいです」とドルチェさん。彼の作るクレープは非常に細やかで、非甘党でも美味しく食べられる。もちろん、夜中にだって喉通りスムーズ。意識して食べたいと思わせるに十分だ。

旬の一番良い食材を使いたいとの思いから、価格は厳密には定めていないという。そのため、正確なプライスは店頭で確認を。また、売り切れ次第終了となる。営業時間はドルチェさんのツイッター(@dolcecrepe55)をチェックすべし。

極力避けたいと思う人が多いであろう、真夜中のスイーツ。しかし、たまに心置きなく攻めるのもあり。丹精込められた絶品クレープを食べながら、明るいマスクマンとの会話も楽しめば、優しく甘い時間が過ごせるに違いない。

取材・文:金井幸男
撮影:きくちよしみ