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車のライトでコール&レスポンス! 今夏のイベントを牽引するのは「ドライブインフェス」だ

車のライトでコール&レスポンス! 今夏のイベントを牽引するのは「ドライブインフェス」だ

新型コロナウイルスの影響で、相次いでイベントが中止となっている。「今年は夏フェスには行けないだろうなあ……」、そう誰もが思っていたなかでユニークな取り組みがスタートした。その名も「DRIVE IN FESTIVAL(ドライブインフェス)」。7月末〜8月に本開催を目指しているという、ウィズコロナ時代の新しいイベント形態に注目してみよう。

ドライブインフェスとは、車内でソーシャルディスタンスを保ちながらフェスを体験できるというイベントだ。最近、ニューノーマルな映画の楽しみかたとして、各地でドライブインシアターが開催されているが、今回紹介するドライブインフェスも同じスタイルを取っている。

ドライブイン式のフェスは海外でも取り入れられ始めていたが、日本でも6月13日に栃木県でテスト開催が行われた。しかし、「車の中でフェス」とはいっても、本当にあの限られた空間の中で、フェスの醍醐味を楽しむことができるのだろうか?

photo by きるけ。

フェスといえば、夏は屋外で行われることが多い。広い空の下でのあの何ともいえない開放感がたまらないが、テスト開催では栃木県の岩船山中腹採石場が舞台に選ばれた。

photo by きるけ。

巨大な岩山を前にしただけでも圧巻だが、その岩山がさまざまな照明でライトアップされるという演出で、独特の世界観を作り上げた。フェスならではの非日常感が漂い、ムードは言うことなしだ。

photo by きるけ。

そして肝心のパフォーマンスを楽しむ方法についてだが、そのしくみはドライブインならでは。会場でDJとアーティストの音をFM電波で流すことで、車内にいながら音楽を楽しめるようにしたのだ。

photo by きるけ。

目の前で生のパフォーマンスが繰り広げられ、カーラジオを通してライブ音を堪能。周りの観客と距離があるというだけで、その体験はフェスそのものだ。

車の中から手を挙げ、流れてくる音楽に体を揺らす。車という限られたスペースでも、ライブ感のある立派なフェス会場へと変貌した。

photo by きるけ。

テスト開催時の様子について、主宰者のひとりであるクリエイティブカンパニー「Afro&Co.」のアフロマンスさんはこう話す。

「初めてのテスト開催ということもあり、お客さんもどんなイベントかというのは探り探りでのスタートだったと思いますが、徐々にイベントの楽しみかたがわかってくると、パッシングやワイパーなどを使ってレスポンスするなど、会場で一体感が生まれていきました」(アフロマンスさん/以下同)

photo by きるけ。

ドライブインフェスに参加したお客さんも、自分たちでどんどん楽しみかたを見つけていったようで、「ステージに向かって車のお尻を向けて駐車し、荷台をくつろげるスペースにして家族と楽しむお客さんや、大きめの車で来場して、中にテーブルを置いて居間のように楽しんだり、車の中に風船や手作りのミラーボールなどを置いて楽しむお客さんなど、多彩な楽しみ方をされていました」とのこと。

これまでに体験したことがないからこそ、自分ならではの過ごし方を見つけるのも楽しみのひとつであったようだ。

photo by きるけ。

フェスといえば「フェス飯」も欠かせない魅力だが、ここにも仕掛けがひとつ。車内から出ずとも、LINEを使ってオーダーできるという方式を採用したのだ。

photo by きるけ。

スパイスカレーやガパオなどのフードをはじめ、ドリンク、デザートもLINEで注文。車のある場所までスタッフが運んで持ってきてくれることで、参加者は車から動くことなく、フェス飯を楽しむことができるようにした。

また、唯一車内で完結しないトイレもLINEで管理し、行列ができないように案内。ソーシャルディスタンスを保ちながら参加者が気負いなく楽しめるという、ウィズコロナを意識した細やかなイベント作りがされていた。

photo by きるけ。

家に帰るまでがフェス、なんて言われることもあるが、会場までの行き帰りにはSpotifyで聴ける特別なプレイリストも用意。普通のフェス以上に多彩な楽しみかたができるイベントとなった。

photo by きるけ。

ちなみに、参加者はかなり多様であったようで、「車での参加ということで、パーソナルなスペースが保たれるため、家族連れからカップル、音楽やイベント好き、こだわった車で参加されている車好きの方など、これまでの音楽イベント以上に幅広い層の参加者が来られていた印象です」。

長い道のりを歩くことができなかったり、人混みが苦手であったり。あまりフェスの環境に慣れていない人や初心者でも、参加しやすいイベントであることは間違いない。「ドライブインフェスなら……!」と、ついにフェスデビューを飾る人も出てきそうだ。

photo by きるけ。

アフロマンスさんいわく、ドライブインフェスという試みは初めてであったが、テスト開催を終えてみると収穫が多かったという。

「それぞれが車の中で、一体感は生まれるのか?という不安もありましたが、実際にやってみると、車のパッシングやワイパーを使ったコール&レスポンスや、それぞれの車の中でサイリウムを振るなど、アーティストの力と演出で、一体感が生まれたことは手応えを感じました。また、感染防止の観点から、フードの注文をLINEで受けて車までデリバリーしたり、トイレもLINEで順番を管理するなどのしくみを入れたのですが、結果的に、通常のフェスであれば並んでいる間にアーティストを見逃したりするけど、このしくみであれば待ち時間もパフォーマンスを楽しむことができた、と想定外のメリットを教えてくれるお客さんもいました」

普通のフェスで悩ましいポイントが、ドライブインフェスでは解消されるというのは、新しい取り組みだったからこその発見。存分にフェスを満喫したいのであれば、むしろドライブインフェスのほうがいいのかもしれない。

photo by きるけ。

しかし、開催してみたらからこそ改善点も見つかったという。

「当日のLINEからの飲食の注文や、トイレの利用が予想以上にたくさん入り、かなりお待たせしてしまう場面がありました。ここの部分に関しては、飲食とトイレの対応を別ラインでわけるなど、オペレーションを改善する必要があると思っています。また、一番大きいのはマネタイズの部分です。参加者が50台〜100台という規模では、興行として考えると回収は難しいので、配信を組み合わせて別の収入源をつくる、複数日の開催で採算をあわせていく、などの計画が必要だと感じています」

まだまだ進化を続けると考えると、今回は参加できなかったという人も、本開催を心待ちにしたくなるはずだ。

photo by きるけ。

ドライブインフェスの魅力について、テスト開催を通してアフロマンスさんが感じたのは、誰でも楽しめるフェスという点だった。

「車ならではのメリットを多く感じるテスト開催でした。行きと帰りのプレイリストを用意し、会場への道中もイベントの一部にしたり、会場内でも車の中で雨に濡れない、子供と参加してもパーソナルスペースが確保され、音量を適正に保ったりできるなど、幅広い層が安心して楽しめる新しいフェスの可能性を感じています。本開催に向けても『車で我慢する』ではなく『車だから楽しい』ポジティブな体験をつくっていきたいと思っています」

photo by きるけ。

開催形式も参加者も、ある程度決まりきっていたフェス市場だが、新型コロナ禍という予期せぬ事態が、新しいフェスの魅力を見出すきっかけとなった。ドライブインフェスが、これからのニューノーマル時代でスタンダードになっていくフェススタイルかもしれない。

ドライブインフェスは、7月末〜8月に本開催が行われる予定。今夏のフェスを諦めていた人は、ぜひドライブインフェスをチェックしてみてほしい。