「本当に必要なものってなんだろう」。これまでの生活や価値観が大きく変化している現在、自分にとっての理想の毎日を考えている人も多いはずだ。そもそも私たちは、コロナ禍に置かれるまで、どのように毎日を過ごし、何に幸せを感じていたのか……。今回は、私たちが違和感なく見てきた価値観を見つめ直せる場所「CASICA」を紹介しよう。
古くから木材の町として知られる新木場。そんな街に佇む銘木倉庫をリノベーションし、2017年「CASICA」は誕生した。
「CASICA」は、「生きた時間と空間を可視化する」をコンセプトに、ショップやキッチン、ギャラリー、アトリエ、撮影スタジオが併設されたコンプレックス・スペースだ。
1歩足を踏み入れると、どこか懐かしく温かみがありながらも、決して“レトロ”ではなく、どちらかといえば先進的な印象。そんな店内には、世界各国の民藝品や食器などの日用品、ものめずらしい形の植物が並んでいる。新しいものと古いもの、海外で作られたものと日本のある地域で作られたもの……。時代や地域を超えたものが、同じ空間に一堂に会しているのは実に珍しい。
店内を見渡してみると、防虫・消臭・除湿などの効果が期待される青森ひばのチップが詰め放題できるコーナーが。このように、地域性のある商品も多く、気軽に旅行ができない今、ちょっとした旅気分を味わえる。
そんな「CASICA」の店内に、2020年6月16日、乾物屋であり食堂の「Arkhē apothecary&kitchen(アルケー・アポセカリー&キッチン)」が誕生した。
店名の「Arkhē」は、古代ギリシャの自然哲学で世界の原理や始源などを表す。食べることは有機的な人間を生み出す一つの原理なのではないかとの思いが込められて名付けられた。早速、それぞれのスペースを見てみることにしよう。
「Arkhē apothecary」には、グラノーラやお出汁、お茶などのオリジナル商品が販売されている。「Apothecary」とは、英語で調剤薬局という意味だ。自分の体に必要な薬膳や乾物を身近なモノとして取り入れ、体のことを見直すきっかけになってほしいとの思いから名付けられたという。
たしかに「体に良い」とされるものが、全員にとって同じものだとは限らない。また、いくら「体に良い」といわれても、美味しくなければ続けたくはないはずだ。一人ひとりに違った処方箋と同じように、自分の心身に必要なもの、そして口にあうものを自ら選べるなんて、言葉通り調剤薬局のような特別感がある。美味しく健康に自分にあったものと出会えるだなんて、一石二鳥どころじゃない。
また、購入した商品はプレゼント用にラッピングしたり、店舗から直接発送したりすることも可能。遠く離れた家族や友人、大切な人の心身の健康を祈る気持ちとともに送るのもよさそうだ。
もうひとつのスペース「Arkhē kitchen」は、薬膳やアーユルヴェーダの考えをベースに「おいしく整える」を実践するキッチンだ。ここでは、乾物や薬膳を気軽に取り入れる方法を実践的に提案してくれている。
この日注文したのはメインディッシュを選べるランチの定食メニュー。定食メニューでは、「Arkhē apothecary」の出汁を使ったお味噌汁や日替わりの副菜、同ブランドのグラノーラなどが味わえる。
薬膳料理と聞くと「クセが強い」というイメージは付き物。しかし、一口食べただけで、そのイメージは見事に払拭された。夏の定食メニューということで、さっぱりとした味でありながら、パワーが付くような内容。しかし、体を労ってくれているからだろうか、余計なことを考えず温かい気持ちに包まれながら食に向き合ったのは久々な気がした。メインディッシュはもちろん、お味噌汁も、副菜も、こんなにおいしくて、体に良いのなら、毎日でも食べたい。また、すぐにこの味を食べたい。帰る前にもう一度、「Arkhē apothecary」に立ち寄って、オリジナル商品をチェックしてみることにしよう、そう強く思う体験だった。
そしてCASICAで忘れてはならないのが、たくさんのモノが並ぶショップエリアだ。
インターネットの発達により、さまざまな情報がフラットになった今。知名度や価格、商品スペックは、当たり前のようにカテゴライズされ、タグ付けされている。しかし「CASICA」で売られている商品は、そんなタグ付けが全てとっぱらわれており、食器、花瓶、土器などといったカテゴライズはされていない。
店内に並べられた商品を見ながら「これって何に使うんだろう……」と立ち止まって思考するのも、「CASICA」ならではの楽しみかたなのだ。
ショップの担当者によると、これはモノとモノの新しい関係性や使いかた、味わいかたを可視化したもの。偶然の出会いが必然となるセレクトとスタイリングで、生きて変化し続ける価値観を空間化したいのだそうだ。
そんな思いをわかりやすく感じ取れたのが植物のエリアだ。少し汚れがついてしまったり、ほんの少し欠けてしまったりしたがゆえに、食器として使うことが難しくなったコップが、植物の鉢に生まれ変わって販売されていたのだ。生きて暮らしていく中で、モノの役割が変わることは当然のこと。「CASICA」の店内を見ていると、そんな当たり前の価値観にはっとさせられた。
店内にある籠も同じ。何を入れるかはそれぞれのライフスタイルにあわせて使えばいい。使い方に決まりなんてないのだ。
もしかしたら私たちは、自分の意志でモノの見立てかたを知ることを怠けていたのかもしれない。そして、もっと自分の思考に耳を傾けてもいいんじゃないか。新木場「CASICA」は、新たなライフスタイルと価値観への気付きを与えてくれる空間だった。
エリア: | 東京 / その他 |
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住所: | 〒136-0082 東京都江東区新木場1丁目4−6 |
電話番号: | 03-6457-0826 |
営業時間: |
火曜日 11:00〜18:00 水曜日 11:00〜18:00 木曜日 11:00〜18:00 金曜日 11:00〜18:00 土曜日 11:00〜18:00 日曜日 11:00〜18:00 祝日 11:00〜18:00 |
定休日: | 月曜日(月曜が祝日の場合翌火曜日) |
公式WEB: | https://casica.tokyo/ |
エリア: | 東京 / その他 |
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住所: | 〒136-0082 東京都江東区新木場1丁目4−6 |
電話番号: | 03-6457-0827 |
営業時間: |
火曜日 11:00〜18:00 水曜日 11:00〜18:00 木曜日 11:00〜18:00 金曜日 11:00〜18:00 土曜日 11:00〜18:00 日曜日 11:00〜18:00 祝日 11:00〜18:00 |
定休日: | 月曜日※月曜が祝日の場合は営業、翌火曜日休館 |
公式WEB: | https://casica.tokyo/arkhe |
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