HOME TOKYO CAFE GUIDE 東京 その他 池ノ上駅 いま、近所にほしい。ネイバーフッドのためのカフェ「yellow」(池ノ上)
いま、近所にほしい。ネイバーフッドのためのカフェ「yellow」(池ノ上)

いま、近所にほしい。ネイバーフッドのためのカフェ「yellow」(池ノ上)

繁華街でもオフィス街でも駅前でもない、「居住」中心のエリアに、小さな飲食店やコミュニティスペースが増えている。近年失われつつあった地域のつながりの大切さがふたたび見直され始め、人々は身近な暮らしのあり方を変えようとしているのだ。「yellow」は、今求められている、日常の生活に根付いた、まさに“近所にあるから最高”なカフェである。

店があるのは、最寄りの池ノ上駅から15分ほど歩いた先の三叉路。三軒茶屋、下北沢の駅からもやはり同じくらいの距離がある、いわゆる住宅密集地だ。まわりにオフィスが立ち並ぶわけでもなければ、日々の買い物をするための商店街があるわけでもないが、yellowには、朝から入れ代わり立ち代わり客が訪れ、店内には明るい声が響いていた。

開放的な高い天井に惹かれてこの場所を選んだというのは、yellowのオーナーであり、店舗や住宅のデザイン設計を手がける「877.inc」の代表・根津さん。以前は倉庫だった物件を自社で改装し、ぬくもりあるインダストリアルなダイナー風に。打ち合わせをしたり、仕事の合間に息抜きに来たり、ときには仲間と食事をしたりお酒を交わしたり。コーヒーを軸にした雰囲気づくりとフレンドリーな接客、オリジナルのフードで、自分たちも地域の人も、誰もが気兼ねなく過ごせる場所をつくりたいと、yellowを始めた。

とはいえ、ここは住宅地のど真ん中。いわゆる駅前のように、外からの人の行き来や、ハシゴする飲食店はない。だからこそ少しずつ試行錯誤を繰り返し、街の人々の暮らしにあわせて営業スタイルやメニューを変えてきたという。

yellowの前は大きなバス通りだ。近隣の住宅からバスを利用して駅へ向かう人、自転車やバイクで通勤する人、こどもの見送りをする人など、午前中を周辺で過ごす人の姿が多く見られるのが、この地ならではの風景。オープン当初は昼前からだった開店時間を朝に早めると、出勤前や送り迎えの帰りに立ち寄る客が徐々に増え、日常使いのカフェとして親しまれ始めたそう。

取材に訪れた日も、なじみ客がスタッフと笑顔で言葉を交わす様子が幾度となく見られた。「今日は在宅ワークですか?」「ゆっくりしていきますか? 持ち帰りにしますか?」。何気ない一言二言のやり取りだが、生活区域の中で交わす会話はリラックスできるものでありたいし、地域の中に気さくに話ができる人がいることは心地よく、何より安心感につながる。昼時には、ランチや食後のコーヒーを飲みに、夕方になれば仕事の合間のリフレッシュにと、やはり近隣住民が代わる代わる顔をのぞかせる。昨今のテレワーク生活が始まってから訪れるようになったという客も少なくない。

「% Arabica Kyoto」の豆を使った自慢のコーヒーとあわせて、毎朝店内で焼き上げる大きなクロワッサンがこの店の名物。オープン当初は「コーヒーにあうもの」という、何気ない理由で取り入れたというが、朝、昼、軽食問わず、またこどもにも大人にも食べられることが、暮らしの中のカフェにはちょうどよかったのだろう。プレーンからスイーツ系、ボリュミーなサンドイッチまでを豊富にラインナップし、客たちは、その時の目的や気分で好き好きに手にして行く。一方で、他のメニューは時代や需要にあわせて柔軟に変えている。ハンバーガーやフレンチトースト、ブリトーを提供していたこともあれば、今はしっかりとお腹にたまるものも食べられるようにとカレーに力を入れ、テイクアウトにも対応。

内装設計を本業とする強みを活かし、店内のレイアウトも客が使いやすいようその時々にあわせてアレンジしてきた。スツール類のアイテムや配置を変えたり、カフェスペースを増設したり、昨年のテイクアウト営業の際には店内を仕切るように入り口に大きなカウンターを設けて、フードをずらりと並べたことも。昨年12月にはカフェの裏にハンドドリップ専門のコーヒースタンドを併設し、常に街のライフスタイルの一部になれる場所を提案している。

もちろん、名物のクロワッサンやヴィンテージ風のカフェ空間を楽しみに、街の外から来る客も少なくない。しかし、多くが変わらない生活圏にいる客であるからこそ、時代の流れや生活スタイルにあわせて使いやすく、過ごしやすいようyellowが変化することで、街の人にとっていつも居心地のいい場となっているのだろう。

特に自宅やその周辺で過ごす時間が長くなっている今、ちょっと息抜きしたいと思ったときに、近くに気兼ねなく立ち寄れるカフェがあることは実に心強い。朝の通勤前・散歩ルートに組み込むもよし、夕方に甘いもので一息つくもよし。yellowがあることで、日々の暮らしはより充実しそうだ。
次に引っ越す街は、カフェで選ぶ…そんな選択肢もアリかもしれない。

取材・文 : RIN

MORE INFO:

yellow

エリア: 東京 / その他
住所: 〒155-0032 東京都世田谷区代沢4丁目17−19
営業時間: 月曜日 9:00〜16:00
火曜日 9:00〜16:00
水曜日 9:00〜16:00
木曜日 9:00〜16:00
金曜日 9:00〜16:00
土曜日 9:00〜16:00
日曜日 9:00〜16:00
祝日 9:00〜16:00
定休日: なし
公式WEB: https://www.instagram.com/_yellowcafe_/