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HOME SPECIAL 今日を愉しむモノゴト 東京で聴きたい名盤がある。新たな視点で街を切り取る、アルバム4選
東京で聴きたい名盤がある。新たな視点で街を切り取る、アルバム4選

VOL.15 東京で聴きたい名盤がある。新たな視点で街を切り取る、アルバム4選

見慣れたはずの東京の街も、音楽を聴きながら歩くと印象が変わる。音楽が街の切り取り方を変えて、これまでとちょっと違う見方をもたらしてくれるのだ。今日は新たな視点で東京を感じさせてくれる、名盤4枚をご紹介。音楽を通して、東京の多面的な魅力を発見しよう。

目次

    ①YUKI『megaphonic』(2011)|不安な気持ちも、丸ごと肯定する

    デビュー時から一貫して、けっして古くなることのないピュアなきらめきを携え続けるYUKI。本作は、日常や生活の手触りをグッと感じさせるようになった6thアルバム。2011年にリリースされた作品だが、3.11の「以前」と「以降」の空気が自然に反映されている。 “揺れるスカート”では停電中の東京の風景がさりげなく刻まれ、一方で“笑い飛ばせ”で描かれるのは≪夕餉の支度のカレーの匂いがする≫、東京で暮らす人々の穏やかな営み。あの頃街を包んでいた漠然とした不安と、それでも日々は続くことへの一抹の罪悪感と希望と、そのどちらもまるごと肯定してくれるようなあたたかさが染みる。

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    ②クラフトワーク『Computer World』(1981)|“コンクリートジャングル”を愛しく思う

    テクノポップの始祖といわれるクラフトワークが、コンピューターの社会進出をコンセプトに制作したアルバム。全編ほぼ電子音で構成されているにもかかわらず、どの曲も妙に人間臭い。“Numbers”や“Pocket Calculator”のポップなトラックはおもちゃ箱のようにかわいらしく、“Computer Love”のラストでは、ロマンティックなメロディをシンセが朗々と歌う。『Computer World』から感じる体温には、ツールはなんであれ音楽は人の手で作られていることを思い知らされる。そして無機質な存在であるコンピューターもまた、人類の生活に役立つために生まれたことを実感する。
    時にコンクリートジャングルと揶揄される東京の街も同様だ。高層ビルも高速道路も、もともとは人々の暮らしを守り支えるためにできたもの。このアルバムを聴いていると、日々開発されていく東京の人工的な街並みの奧にある「人感」を想像し、大都会が少し愛おしくも感じるのだ。

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    ③東郷清丸『Q曲』(2019)|音楽も幸福も、いつも生活から生まれる

    エキセントリックそうなジャケットから予想外の、揺蕩うようなリラックス感。“L&V”では≪まわしてく生活/はたから見りゃ僕らきっと魔法使い≫のパンチラインがまぶしく、“多摩・リバーサイド・多摩”では土手ではしゃぐ子供たちに≪このままでいような 僕らは≫と語りかける。無重力のように開放的な音色にのせて、楽曲のそこかしこに香るのは生活の匂いだ。東郷清丸はミュージシャンとしてだけでなく、活版印刷職人としても活動していることで知られる。それは単純に「ふたつの顔を持つ」ということではなく、その両方がシームレスに彼の生活を形作っており、だからこそ、彼は東京で働くリズム感みたいなものを、肌で理解している人なのだろう。それはけっしてあくせく忙しない生き方ではなく、日々よりよく暮らすためのささやかな努力の繰り返し。『Q曲』が描く開放感とウェットな生活感の同居。この一見矛盾した世界観は、そんな東京の暮らしのリズムとシンクロしているようだ。

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    ④indigo la End『夜行秘密』(2021)|東京の夜では今日も物語が動いている

    アルバムタイトルの通り、「夜」にまつわる楽曲が数多く収録された1枚。アルバム全体でゆったりとしたテンポが続くが、精巧に組み立てられたアンサンブルによって楽曲の密度はどれも濃厚。陽が落ちて人通りが減っても、キラキラとしてどこか落ち着かない東京の夜のようだ。行き交う人の数だけ夜のかたちがあり、その一つひとつを覗き見るような14曲。東京では、今夜も誰かの物語がひっそりと動いているのだろう。
    川谷絵音の詩情が光る≪もう幸せにはなれませんと/筆ペンで記されたみたいだ≫の歌いだしでドラマチックに始まる“たまゆら”では、≪目が覚めたら/幸せを追いかけて/揺れ続けながらまた落ちる/そんな月曜日をどうか楽しんで≫と結ばれる。夜が明ければ次の朝が始まるように、恋が終わっても人生は続くことが、切なくも美しく響く。終わりと始まりが連続する日々の通過点である東京の夜。そんな独特な時空にぴったりのアルバムなのだ。

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