毎日を充実させる東京のトレンド情報をお届け!
Harumari TOKYOのLINEをチェック

詳しくは
こちら

HOME SPECIAL Second Town Journey in ONOMICHI(尾道) 尾道発着、海に浮かぶ名建築。「ガンツウ」で瀬戸内海そのものを堪能する旅を
尾道発着、海に浮かぶ名建築。「ガンツウ」で瀬戸内海そのものを堪能する旅を

VOL.11 尾道発着、海に浮かぶ名建築。「ガンツウ」で瀬戸内海そのものを堪能する旅を

それは、瀬戸内海に浮かぶ客船「ガンツウ」。尾道発着のその船は唯一無二のコンセプトと滞在価値で世界中から熱い視線を集める。際立つ存在感、その魅力を解説しよう。

瀬戸内国際芸術祭の影響か、「せとうちエリア」はアートが注目を集めるが、実は建築スポットが多いことで知られており、私たちが今回訪れた尾道では特に建築好きなら絶対に外せないスポットが数多く存在する。スタジオムンバイが手がけたホテル「LOG」や、海運倉庫をリノベーションした複合施設「U2」、空き家再生プロジェクトの物件・・・・・・。立地や歴史を活かした意匠や、その土地への敬意、美しい風景の切り取り方など、その見所は尽きない。
そして、なんといってもその名建築が瀬戸内海の最大の魅力である「海」にも浮かんでいるというのだから驚きだ。

海に浮かぶ名建築「ガンツウ」は、尾道のベラビスタマリーナを発着港とし、瀬戸内海を2~3泊で周遊する全長80m、3階建のラグジュアリーな客船だ。19室ある客室はすべてスイートルーム仕様。価格は47万5千円~で、食事やアクティビティ、アルコール類も含めてほぼすべてオールインクルーシブだ。

世界でも他に類を見ない、“海に浮かぶちいさな宿”

ガンツウをつくったのは、ツネイシホールディングス傘下のせとうちクルーズ。瀬戸内海の美しい風景に溶け込むこのちいさな船の設計・デザインを担当したのは人気建築家の堀部安嗣氏だ。
外観は落ち着いたシルバーのトーン。決して華美ではないその姿は、瀬戸内海がキラキラと輝く風景に馴染むように考えられたのだという。

一歩船内に足を踏み入れると、白を基調としたモダンなエントランスが広がる。

これから船旅が始まる高揚感をゲストに与えてくれると同時に、白漆喰の階段のディテールの美しさにも感嘆する。

そのまま客室へと歩を進めると飛び込んでくるのは、「木」の空間だ。
山型の切妻の屋根や縁側など「船」としては非常に珍しいデザインでありながら、木材をふんだんに使ったシンプルで贅沢な空間。

クルーズ船といえば、タイタニックのような洋風のデコラティブな豪華客船をイメージする人が多いだろう。
だが堀部氏がつくった船は、木の温かみと心地よい香りに包まれ、過度な装飾は一切ない。質の良い木の表情がふんだんに使われ、まるで和風旅館を思わせる。

視覚だけでなく、触った感触や音、匂いなど“五感まるごと”くつろぎ、快適に過ごしてもらうための意匠だ。ゲストが出会うであろう景色の魅力を最大化させる装置でありながら、見た目も美しい。それこそがまさに名建築たる所以だ。
建築がその街にとってどうあるべきか、その存在意義を丁寧に考える堀部氏。ソリッドでありながら温かみのあるデザインと、ゲストの体験を想定し尽くした設計が秀逸である。
「瀬戸内の素晴らしさをより深く感じてもらうためには、陸からではなく、海の上から体験してもらうほうがよい。つまり、海上である船内でどう寛いでもらうかが大切なポイントだ。ゲストにいかにゆっくりと寛いでいただけるかを追求した結果、木材を多用した温かみのある空間を作りました」

通常、クルーズ旅といえば、寄港地を巡り、その道中は船内で贅沢に寛ぐというのが楽しみ方といえるだろう。だがガンツウのクルーズ旅の場合、船外体験のためにテンダーボートを使って陸に上がることはあっても、本船は一切寄港しない。しかも、宿泊はどこかの港に接岸せず、入江に投錨……つまり、船で漂泊することになる。

海と一体となれる、今、このトキだけの没入旅

「『せとうち、漂泊』は、ガンツウの旅の在り方そのものです。穏やかな波の間に浮かび、行き交う船を眺めながら、日本最大の内海と謳われる瀬戸内海を、西へ東へと漂泊すること自体がガンツウの旅」とのこと。

たとえば縁側では、屋根の軒から穏やかな瀬戸内海の魅力そのものを堪能できる。ゲストが腰を下ろすとガラス越しではなく直接海が見える高さに設計されている。街から海を眺めるのでなく、海に浮かびながら海を眺める。それも、最大限堪能できるようにデザインされた場所で、だ。海は、季節そして時刻や天候で景色が変わる。まさにその瞬間だけの海と向き合えることこそが、ガンツウの醍醐味だ。

また、一般的なクルーズと違う体験価値は、宿としての要素が強いことだという。
「観光地を巡るような行き先重視の旅ではなく、景色、お食事、お風呂など、船内で過ごす時間そのものを楽しむことを目的とされているお客様が多い印象です」

確かに海面との距離が近く、海と一体となる感覚は大型客船では味わうことができない。全室が瀬戸内海を望めるように設計されており、どの客室からでもその「せとうちの風景」が堪能できる。階数指定はできないというものの、より海面に近い1階の客室は特に目線が海と同じ高さになるようデザインされており、人気なのも納得だ。
このように、究極の目的のために美しく設計された名建築。だが“ガワ”が素晴らしければ、もちろんそのソフト面も同じく心地よくデザインされており、高級旅館で得られる贅沢なおもてなしが船内にこれでもかと用意されている。なかでも特筆すべきは、食だ。

オールインクルーシブで贅を尽くした“和”時間を過ごす

「お好きなものを、お好きなだけ」をコンセプトに、オールインクルーシブで用意されているのはまるで料亭のような上質な食事。

東京・神宮前の老舗割烹「重よし」の佐藤憲三氏監修のもと、地元の食材を使い、その日の天候や客の好みに合わせて調理されている。

また、鮨カウンターでは「淡路島 亙(のぶ)」の坂本亙生氏監修による鮨を、ラウンジでは奈良の「樫舎(かしや)」喜多誠一郎氏監修による和菓子を目の前で作ってくれるという、夢のような“和”の食のオンパレードだ。

そのほかにも「ウェルネス」をテーマとし、ただ過ぎゆく時を愉しめる空間やサービスが多数用意されている。ドライサウナとスチームサウナ付きの浴場(日替わり)、イタリアTechnogym®のマシーンを完備したジム、湯上がり処、彫刻リンパ®と整体のトリートメントルームも完備している。

nentai

瀬戸内海の魅力は、海がもたらすそのたおやかさだ。大小700の島々が浮かぶ多島美と、春夏秋冬によって表情を変える沿岸の景色。クルーズで巡る寄港地も魅力にあふれている。世界遺産の厳島神社、平清盛ゆかりの音戸の瀬戸、かつて水軍が活躍した塩飽諸島など、悠久の歴史を感じさせる遺跡や名所。それらを訪れる人の心を穏やかにしてくれるのは、海の色、潮の香り、風の肌触り、陽の温かさだ。

ガンツウが提供してくれる旅は、まさにそれをそのままダイレクトに味わえる贅沢な時間。
尾道のみならず、瀬戸内全体の発展と地域創生にも貢献する、まさに特別な存在。憧れの宿で、せとうちを漂泊しながら名建築での時間を堪能したい。

せとうちクルーズ〈guntû〉公式ウェブサイト(JP / EN)
https://guntu.jp

取材協力:せとうちクルーズ
取材・文:稲垣美緒(Harumari TOKYO編集部)