令和初の占いブームが訪れていそうな昨今、あいかわらず朝のワイドショーでは、占いコーナーがあったりする。そんなに信じてないけれど、自分の星座が1位と聞くとうれしくなり、最下位だと注意しなければ、と思うのはなぜだろう。これはじっくり考えてみる価値があるのかもしれない。
そもそも「占い」って、どんなものなのだろう。一般的には、運命や未来など目に見えないことを予言するのが占いということだが、今や天気予報とか経済予測とか未来を予測するものは、たくさんある。しかし、それを占いとは呼ばない。ということは、予知する方法によって占いになるということだろう。であるなら、占いの手法を分類することは、占いというものを知るためのポイントになる。
「占いは人生の調味料」と言う占い師は多い。あるいは、アメリカに「人生に必要な3人の友人」ということわざがあり、それが医者と弁護士、そして、もう一人は占い師だという説を聞いたこともある。その占い師の先生の創作かもしれないけれど、今回の「占いを使いこなす」というテーマは、占いというものが料理における調味料や人生における友人ぐらい有効なアイテムになり得るかどうかということ。お医者さんや塩、コショウと匹敵するぐらい必要なものなのかどうか、考察してみよう。
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まず、日常生活に占いを取り入れることによって、どんなメリットが生まれるか考える前に、どんな占いがあるのかということを見ていこう。現在、占いと呼ばれているものを細分すれば100を超える「占い」が存在している。それらを分類して、占いの種類を調べよう。占いの分類には、いくつかの方法があるが、以下のものが、その代表的なもの。
①生年月日など、占われる人の個人データをもとに占う占術→西洋占星術、四柱推命、人相占い、手相占い、姓名判断、血液型占いなど
②偶然に出たものから占う占術→タロット、トランプ占い、易、ルーン占いなど
③心理学的根拠から占う占術→心理テスト、夢占い、エゴグラムなど
④占い師の神秘的能力で占う占術→水晶球占い、霊感占いなど
①命:目に見えない個人データから占う。→四柱推命、西洋占星術など
②卜:偶然に起きたことから占う。→易、盟神探湯、亀甲占い、タロットなど
③相:目に見える個人データから占う。→手相、人相など
※中国では、これらに「医」(医学)、「山」(心身の鍛錬)を加えて「五術」とも呼ばれているが、医と山は占いから離れているため、占いとしては、「命」「卜」「相」の3分類になる。Aの分類のもとにもなっている。
①東洋→四柱推命、宿曜占術など
②西洋→西洋占星術(アストロロジー)、数秘術(ヌメロロジー)など
AとBの分類法は近いものがあるが、Bは東洋占術の分類法で、Aの③④にあたる分類がない(AではBの①と③をAの①として同じグループに分類している)。Cについては東洋から西洋に伝わっていく中で生まれた占術もあるため、あいまいなところが出てしまう。そのため、ここではAの分類法で占いの種類を見ていくことにする。
人類文化発祥のころに生まれたといわれている。誕生時のホロスコープ(星の配置図)をもとに12星座と10の星の位置関係、地球の自転からくる12ハウスで占うが、現代も新しい占法が生まれているため、さらに複雑になっている。
運勢を占う場合は占いたい日時のホロスコープを併せて分析し、相性を占う場合は二人の出生時におけるホロスコープを比較分析する。
ホロスコープは、地球を中心に描かれるため、惑星は逆行することもあり、読み取るためには天文暦(エフェメリス)が必要。「人や人生の過去、現在、未来において、ホロスコープに表現されていないことはない」という説もある。
十干十二支を基軸とした暦をもとに命式を用いる占い。年の柱、月の柱、日の柱、時の柱の4つの柱で占うため、四柱推命と呼ばれている。西洋占術の覇者が西洋占星術(アストロロジー)であるなら、四柱推命は中国4000年の歴史が育んだ東洋占術を代表する占い。
数がもつ神秘性に着目した占い。数学者でもあるピタゴラスが創始したといわれているが、その前から存在していたという説もある。生年月日から出した誕生数や名前のアルファベットを数字化した姓名数をもとに占う占術は、カバラの秘術も取り込み、ルネサンスの時代のヨーロッパにおいて流行した。
暦を陰陽五行説に基づき一白水星から九紫火星までの9つの星に分類する中国で生まれた占い。それぞれの星には陰と陽や木火土金水の5行が割り当てられ、さらに八卦や方位も取り入れられている。星という文字が入っているので、天体と関係があるように見えるけれど、占星術とは関係していない。四柱推命と同じように、年、月、日、時の九星がある。
空海がもたらした宿曜経をもとに日本で生まれた占いといわれているが、インド占星術が取り入れられていることや宿曜経が唐で完成されたという説もあるので、日本独自の占いとは言いにくい。
27宿で占われることが多いが、「犬宿」を加えて28宿で占う場合もある。月の運行から割り出した宿をもとに占っていくことが、太陽の運行からの黄道十二宮をもとにした西洋占星術との違い。
中国で生まれた暦をもとにした占術で、西洋占星術の12星座や12ハウスに似た分類を採用しているが、暦から算出されたものであり実際の星座とは無関係。ちなみに紫微斗数の「紫微」は北極星を意味している。
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西洋や東洋で独自に生まれた占いのよう。日本での始まりは、中国から入ってきたものがもとになっていて観相学とも呼ばれ、目や鼻、口はもとより眉や耳、骨相まで多くの要素から占っていく。
インドで生まれたといわれているものが中国を経て、日本に伝わったよう。運命線や感情線、生命線、頭脳線、結婚線など手のひらのしわから読み取るほか、手や指の形、爪などからも占っていく。左右、どちらの手で何を見るか、流派によって異なる。感情線が手のひらを横切り、生命線の起点とつながっていることを「ますかけ」とか「百握り」と呼び、運をつかむ縁起のいい手相といわれている。
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姓名の文字の画数から占う姓名判断は、日本で生まれた占い。中国の陰陽五行説や易、九星、あるいは儒教などの哲学的思想も取り入れられているが、日本で独自の発展を遂げたと言える。アルファベットの姓名判断についてはゲマトリア占いなどがあるが、前出の数秘術に近いと考えられる。日本の姓名判断は、姓名の画数を5つの格数(天格、地格、人格、外格、総格)に分けて占っていくもの。
日本で生まれた占いだが、その始まりはA型の人が多くAB型が少ない、O型の人は誰にでも輸血ができるといったことから、シンプルに占われたものだったのではないだろうか。血液型占いの本がベストセラーになるなどして流行したが、現在では、他の占術と組み合わせて占われることもある。4分類であるため、わかりやすい占い。
占い師の細木数子女史が始めた占いといわれている。誕生日の六十干支を6つ(土星人、金星人、火星人、天王星人、木星人、水星人)に分類することを基本として占い、12年に一度訪れる「大殺界」の時期が注目され、大ブームになった。
故御射山宇彦(みさやまうひこ)氏が始めた占い。生年月日から分類した6つの0星(ゼロスター)を陰陽に分けた12の支配星を基本として占う。
ゲッターズ飯田氏が編み出したオリジナルの占い。四柱推命と0学を組み合わせ、個人鑑定の場合は、そこに手相や占星術などの占いも取り入れられる。鑑定は無償で行うが、知人からの紹介や仕事などでの縁がない人は占わないというスタンスを維持している。
一般的なタロットは22枚の大アルカナと56枚の小アルカナで、78枚がセットになっている。小アルカナのほうは、ワンド(トランプのクラブ)、ソード(トランプのスペード)、カップ(トランプのハート)、コイン(トランプのダイヤ)という14枚4グループに分かれ、トランプの起源とする説もある。いくつかのスプレッド(配置法)にしたがってシャッフルしたカードを並べ、どの位置にどのカードが出たかによって占う。
現代では、多種多様なタロットが登場しているが、一部で流行しているオラクルカードも、タロットの一種と考えることができる。
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編集部がタロット占いに挑戦した体験レポート
自分の助言で誰かの背中を押すことができたら。占い師に弟子入りしてみた
ゲームに使うカードとしておなじみのトランプだが、占いの道具としても使われている。
占い方としては、ルールに従って、あたかもゲームを楽しむかのようにカードを操り、タロットと同様、最終的に出たカードの意味を解釈することによって、占い結果を導き出す。その起源としては、中国で始まったものがヨーロッパへ伝わったという説が有力。
儒教経典のひとつである「易経」から生まれた占いで、筮竹(ぜいちく)やコイン、サイコロなどを使って八卦を出し、それを2回繰り返すことによって導き出された六十四卦で占う。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」というフレーズは、易占いから出てきたもののよう。ひとつの卦は陰と陽の2種なので、2×2×2で八卦、2×2×2×2×2×2で六十四卦になる。
ゲルマン民族が用いたルーン文字を石や木などに刻み込んだものやカードに記したものを使って占う。占いに使うルーン文字は空白のウィルドを含め25種類が一般的。ランダムにひとつのルーン文字を選び、その文字に込められた意味から、占い結果を導く。
もともと心理学で使われていた検査をゲーム化、占い化したものから始まったよう。子供のころから、いろいろな検査を受けてきた記憶があるのでは? 心理学では、いくつかの質問に答えていくことによって総合的に診断するが、心理テストでは、ひとつの質問に答えることによって、ひとつの診断が出るものもある。
夢に出てきたものやストーリーから、その夢がもつ意味を探り、現実の未来や心理を読み解こうとする占い。「予知夢」とか「正夢」、「逆夢」といった言葉が一般的に使われていたり、フロイトやユングの夢分析が有名になったりしたため、占いとしても流行していったものと考えられる。
心理学者が考案した性格診断法で、50問以上の質問に答えることにより、CP(厳しい親)、NP(やさしい親)、A(大人)、FC(自由な子供)、AC(従順な子供)という5つの度合いをグラフ化して診断するテスト。心理学の世界よりも占いのほうで広まったともいわれている。
占いというと大きな水晶球に手をかざしながら、そこに現れる何かを読み取る占い師を想像することが多いのでは? 古くから魔術の儀式として行われていたようだが、現在では見られなくなっている。
今では、水晶を部屋に飾ったり身につけたりして、その浄化作用を期待することが多いのかもしれない。
占い師の霊的な力で、過去や現在、未来を読み取ろうとする占い。個人鑑定で、ときに見られる占いだが、今ではネットを通じても霊感が発揮させられるということになっている場合もある。
自分を占おうと考えたとき、その方法はいろいろある。自分自身で占う、対面鑑定やオンライン鑑定(Zoomなど)を依頼する、電話やチャットでの占い・メール鑑定を申し込む、ウェブサイトやアプリで占う、ざっと、これらの4つの方法になる。
自分で占う
ほとんどの書店に占いコーナーがあり、いろいろな占い入門書がある。あるいは、アマゾンで検索しても数多くの本が出てくる。それらの本を読めば、自分で占うことができるようになる。満足できる結果が得られるかどうかは別にして、勉強する時間があれば、おすすめ。多くの占い講座もありオンラインでも受けられる現在なので、学びを求めている場合は、検討してみては?
対面鑑定やオンライン鑑定(Zoomなど)を依頼する
日本全国で、占いの鑑定室が増えている。オンラインで占ってもらえるところもあるので、急いで占ってほしいという場合は、おすすめ。好きな占いの種類や占い師のタイプ、占ってほしいことを明確にしておいたほうがベター。
電話やチャットでの占い・メール鑑定を申し込む
直接、占い師に会いたくないという場合、電話やチャットでの占い、あるいはメール鑑定を申し込むという方法がある。こちらも好きな占いの種類や占い師のタイプ、占ってほしいことを明確にしてから申し込みたい。メール鑑定の場合は、結果が送られてくるまでに時間がかかることがあるので、それも考慮に入れておくこと。
ウェブサイトやアプリで占う
ネット上には、たくさんの占いが出ている。これらは占い師が、直接、占ってくれるわけではなく、その占い師の占術がプログラム化され、ロジックにのっとって占い師による診断が、あなたのデータから導き出されるというもの。気軽に楽しむことができるが、あなたが占いたいことに、ぴったりのメニューがないこともある。
占う方法が決まったら、どの占術で占ってもらう(自分で占う)かを選択する必要がある。占術の好き嫌いは人それぞれなので、最終的にはあなたの好みで選ぶことになるが、参考になりそうな選択方法をあげておこう。
占う内容で占術を選ぶ
相性が知りたい!
生まれ持った二人の相性が知りたいという場合は、①の占術。ただし、相手のデータがわからないという場合は占うことができないので、②か④を選ぶしかなくなる。
近未来が知りたい!
①の占術でも占えるが近未来の日時を設定する必要があるため、②がおすすめ。タロットは、単なる偶然に過ぎないという人もいるが、それだけでは割り切れないものを見せてくれることがある。
Xデイを知りたい!
①の西洋占星術や四柱推命など、暦を使った占術がおすすめ。理論上、何年、何月、何日まで、出てくる可能性がある。
自分の内面を知りたい
①の占術がおすすめ。それぞれの占術で異なる結果が出るかもしれないが、それは、あなたの多面性ととらえることもできる。
望む結果が出る占いをしたい
①の占術は生年月日などのデータが変わらない限り、占いの結果は変わらない。②の占術は占うたびに結果が変わるためおすすめだが、占うのは一日に一度など、制約があることも。
あなたの志向で選ぶ
良いことだけを聞きたい、良いことも悪いことも聞きたい
これは占い師のタイプにかかってくるため、個人鑑定の占い師をじっくり選ぶといい。ただ、ウェブサイトやアプリの占いは、比較的、悪い結果を控えめにしていることがあるようす。良くない占いの後にはフォローがあることが多いので、安心できる。
いろいろ細かく質問したい、結論・結果だけ教えてほしい
個人鑑定でリクエストすれば、多くの占い師さんは応じてくれるはず。結論だけを端的にという場合は、タロットが適している。出たカードを見るだけで、自分で直感的に理解できることもある。
自分の性格に合わせて占ってほしい
理屈っぽい人は西洋占星術や四柱推命がいい。暦やロジックがしっかりしていて、安心できる。ただし、ホロスコープは地球を中心にしているので星が逆行することもあり、納得がいかないことがあるかもしれない。その場合は、四柱推命や紫微斗数を。感覚的な人は、タロットがおすすめ。カードのデザイン自体が好きになる場合もありそう。
占い師で選ぶ
占う前に占い師を選ぶというのは、なかなか難しいこと。その人のプロフィールを調べて、ピンと来た人にする以外には方法がない。
ただ、好きな占術があるのなら、まず、その人がどんな占術を得意としているかを確認しておくこと。やはり信じている占いで占うほうが、気持ちにフィットしやすくなる。
次に、その占い師が男性か女性かということもポイントになる。あなた自身がどちらに占われたら受けとめやすいか、シミュレーションしておくこと。あるいは、どちらのほうが素直になれるかということも重要になる。
あとは、占ってみないとわからないかもしれないが、具体的に占われたいか、抽象的なほうがいいかということもある。はっきり占われたほうがいいと思いがちだが、さり気なくヒントを出されるような占いのほうが想像力をかき立てられていいという人も多い。
さらに、癒し系がいいとか叱咤激励されたいとか、あると思うが、プロフィールからだけでは、なかなかわからないこと。占い好きの友人に聞いてみるというのもひとつの方法になる。
監修/マーク・矢崎