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HOME SPECIAL いま歩きたいのは、下北沢トライアングル オトナな下北沢トライアングル。前編・新代田からはじめるローカル散歩
オトナな下北沢トライアングル。前編・新代田からはじめるローカル散歩

VOL.3 オトナな下北沢トライアングル。前編・新代田からはじめるローカル散歩

下北沢駅中心から少し離れた「新代田・世田谷代田・東北沢」の下北沢トライアングル。「オトナな下北沢トライアングル」と題して休日のおすすめコースを紹介する。秋風が気持ちいい今の季節こそ、個性的なショップを巡りながらアップデートし続ける東京ローカルの魅力を再発見しよう。

3つの注目エリアを結ぶ、下北沢トライアングル。

ユースカルチャーの印象が強い下北沢だが、再開発を経て大人が愉しめる街へと変貌を遂げている。なかでも、下北沢の隣駅である新代田・世田谷代田・東北沢の3つのエリアがアツいのだ。そこでHarumari TOKYOでは、この3つのエリアを巡る「下北沢トライアングル」を大人の街歩きコースとしておすすめしたい。
渋谷駅から京王井の頭線に乗り、降り立ったのは、新代田駅。おすすめ下北沢トライアングル散歩はぜひここからスタートしたい。渋谷からそんなに遠くないのに、まるで郊外かのようにこじんまりとした駅舎に親近感を持つ。駅の目の前のライブハウス「FEVER」が有名だが、本日はその奥に点在する個店たちを巡るのが目的だ。昨年「マメ クロゴウチ」のショップができたことからファッション誌に取り上げられることも増えた新代田エリアだが、意外にも下北沢や世田谷代田と徒歩圏内であることはあまり知られていない。

閑静な住宅街になぜかワクワクする羽根木エリア

東松原駅の方角へ井の頭線沿線上を歩いていくと、急に住宅街の緑が深まり軽井沢の小径のような景色が目の前に現れる。いわゆる“羽根木エリア”といわれている場所の始まりだ。ここに東京らしからぬ雰囲気を感じる理由は、著名な建築家の集合住宅群が点在しているから。木々の隙間にそっと無機質な箱型のメゾネットが隠れていたり、緑道に沿って長屋が伸びていたり、軽井沢と同じような条件が揃っている・・・・・・(!)。建築が美しいので眺めながら歩いているだけで気分が上がる。まるで東京じゃないみたいだ。

そのセンスが高支持率。近所の人たちが日常的に立ち寄る花屋「malta」

そんな羽根木にある美しい建築物のひとつ、建築家 東利恵氏が手掛けた「亀甲新」の一角にあるのは花と緑のアトリエ「malta(マルタ)」。店内に足を踏み入れると、生花にとどまらず秋らしいくすんだ色の生花や枝ものが豊富に並んでいる。また横には綿花などのドライフラワーも取り揃えていた。陳列や什器など、店内のそのセンスの良さも印象的で気分がアガる。
「こんにちは!」と明るく出迎えてくれたのは、店主の布山瞳さん。さまざまな花の香りが心地よい空間で、早速どんなものを求めているのかと接客してくれる。友人へのギフトを買うことにした。

種類豊富な花々を前に、いったい何からどう選べばいいのかと戸惑っていると、布山さんが察して優しく友人のイメージなどを聞き出してくれる。出来上がったのは、華やかながらもその後インテリアとしても使いやすいよう枝ものを混ぜて大人っぽく仕上げたブーケ。もちろん出来上がりにも大満足だったが、それ以上に興味がそそられたのが、このお店を覗くネイバーたちの多さだ。

こうして接客を受けている数十分の間にも、近所の人たちがつぎつぎと来店。「ブーケのワークショップって次いつやりますか?」と聞きにくる人がいたり、ブーケの人もいれば数輪だけセレクトする人がいたりなど、使い方もさまざまだ。
まるで、ここに来るのがなんだか日常として根付いているよう。

「生活になじむお花を大切にしたい」と布山さんがいっていたように、「malta」は人々の生活に浸透し、近所の人が布山さんのセンスと人柄が好きで頼ってきているように見える。思わず写真を撮りたくなってカメラを構えると、どこを切り取っても絵になる。「malta」は、その世界観の一部を自分の家に持ち帰りたくなるような素敵なショップだ。

malta
世田谷区羽根木1-21-17 亀甲新 #ろ 59
羽根木アトリエ
営業時間(イレギュラーあり)
水・木・金13:00〜18:00
土・日10:00〜18:00
定休日:月・火
https://www.instagram.com/maisonmalta/

新代田といえばココ。もはやランドマークな名店「kitchen and CURRY」

同じ長屋「亀甲新」内にはカレー店「kitchen and CURRY」がある。カレー激戦区といわれる下北沢エリアのなかでも人気店だ。

せっかく訪れたのだから、その日の3種類のカレーがすべて味わえる「3種のあいがけ」を注文する。「たまごのアチャール」と辛味調味料「ハリッサ」は定番のトッピング。季節のフルーツを使ったラッシーやソーダも楽しめる。

その味は、スパイスの香りが豊かで、素材の合わせ方が絶妙。特に、店によって違うアチャールの味付けは個性的ながら食べやすい。まさにオンリーワンでありながら、多くのファンがいるのもうなずける。
さらに「malta」と同様に、近所の人がオーナーの阿部由希奈さんを訪ねて挨拶をするなど、住人とお店の距離が近くコミュニケーションが絶えない。いわゆる“行列のできるカレー店”といえば、近所の人で賑わうというよりわざわざ訪れるカレーファンが多い。しかし、「kitchen and CURRY」は近所の人がデイリーに利用しているのが特徴だ。あくまで近所の人に愛されるキッチンというその温かさがすごく居心地がよい。

テキスタイルブランド「kakapo」とのコラボエプロンを身に着ける阿部さん。

さらにお店を見渡すと、メニュー表やインテリア、オリジナルグッズをはじめ、お店には猫のモチーフがたくさん飾られていることに気づく。「malta」で購入したという花も発見! オーナーの阿部さんに近所との関わりを聞いてみると、羽根木でお店を開いている人はお互いどこかに接点を持つことが多いようだ。たとえば「kitchen and CURRY」のオリジナルグッズは近所にアトリエも構えるテキスタイルブランド「kakapo」とコラボレーションをしてつくったアイテムなのだという。

阿部さんに新代田駅前に小さな本屋があるということを聞き、早速行ってみることに。こうやって近所の情報をその土地の人から聞き、フットワーク軽く行動することも街歩きの醍醐味だといえる。コースは決めきらないで、柔軟に変更しよう。

kitchen and CURRY
世田谷区羽根木1-21-24 亀甲新 い 52
営業時間:Lunch 水木金土 11:30〜15:00
Dinner 木のみ 18:00〜21:00
https://www.instagram.com/andcurry.official/

女性たちをつなぐ代田の新しいハブ「エトセトラブックス」

この日出迎えてくれた、店長の寺島さやかさん。

「本の魅力は店主にあり……」という言葉を聞いたことがあるけれど、ここはまさにそれに当てはまる。フェミニズムに関する本を専門に揃える「エトセトラブックス」だ。オープンから半年以上たったいま、この場所は女性たちをつなぐ拠点になりつつあるという。

SNSを見ていると多様性やジェンダー、そしてフェミニズムに関するテーマへの関心は年々加速しているように思える。一方でメディアやSNSからの情報だけだと考え方が偏りがちで、もっと広義にいろいろな視点からこのテーマをとらえることが必要だ。だからこそフェミニズムに特化した「エトセトラブックス」のような視野を広げることができる場所はありがたい。

店主である寺島さやかさんに、「初心者は、どれから読んでみるのがおすすめか」と聞いてみると、楽しそうにいろいろ紹介してくれた。フェミニズムと聞くと、難しい専門書が多いイメージがあったが同店のセレクトは非常に多彩で興味深い。なかには、フェミニズムの本として紹介されていないけれど、読んでいるとさりげなくフェミニズムを感じさせるような作品もある。さらに、小説や漫画、絵本まで幅広く扱っているため、フェミニズムのことを深く知らなくても大丈夫。時代や国が異なる書籍を、さまざまな角度で読むことで自然といろいろな視点が身につきそうだと思った。

エトセトラブックスは出版社。フェミマガジン「エトセトラ」を定期的に発行している。

お店に訪れる人は大学で専門的にフェミニズムを専攻している人からフェミニズムを詳しく知りたいと思っている人まで、さまざまだと寺島さん。ここにある好きな漫画や作家の作品を入り口にして知っていくと、難しいと思い込んでいたフェミニズムもグッと身近に感じることができそうだ。最近では「フェミサイドである」と話題になった先日の小田急通り魔事件をきっかけにフェミニズムに興味を持った人たちが書店を訪れることも見受けられたという。
そうやってフェミニズムを自分ごと化できた人の受け皿となる場所があることがすごく健全でいい。このように新しい道を、先人を切って開拓してくれるお店はすごく貴重だ。これも何かのチャンスだと感じて、1冊の書籍を購入して店を後にした。

エトセトラブックス
世田谷区代田4-10-18 ダイタビル 1F
営業時間:毎週木・金・土 12:00〜20:00(週3日営業)
https://www.instagram.com/etc.books_bookshop/

失礼ながら“何もない”イメージがあった新代田エリア。しかし、あらためて歩いてみると、色々もっと話が聞きたくなる大人がハマりそうな個性的なお店ばかり。また、住民との距離が超ローカルで、自分も行きつけにしたくなってしまう。静かでのどか、ハイセンスなのに庶民的な要素が絶妙にグラデーションされているのが面白い。

後編へと続く

撮影:yoshimi
撮影協力:malta
kitchen and CURRY
エトセトラブックス