エルメス制作のドキュメンタリーフィルム「HUMAN ODYSSEY ―それは、創造を巡る旅。―/DIRECTOR’S CUT」が、全国の映画館で一夜限り上映される。旅人の軌跡を通じて、エルメス創業以来184年の長い旅路で培ってきたサヴォワールフェールの大切さを追体験する──そんな特別な一夜になるはずだ。
アイキャッチクレジット:Key Visual / キービジュアル
2021年、エルメスが掲げた年間テーマは「ヒューマン・オデッセイ」。そのタイトルを冠した連作ショートムービー「HUMAN ODYSSEY― それは、創造を巡る旅。―」が公式サイトで公開中だ。真摯にものづくりと向かい合う7人のクリエイターが、クラフトマンシップと出逢う旅に出る物語。総監督は、映像界の若き気鋭・奥山大史が務める。この映像作品を奥山自ら再編集したディレクターズ・カット版が、12月10日(金)に全国31館の映画館で限定上映される。
劇場公開されるディレクターズ・カット版では、全7回のエピソードから書道家・新城大地郎、ミュージシャン・井口理、ロボットクリエーター・高橋智隆の3人が旅人として登場する3エピソードをピックアップ。
書道という伝統の世界に新たな光を当て続ける新城は、自身の故郷である宮古島で古くからさかんな藍染めに改めて向き合う旅。「トーキョー・ニュー・ミクスチャースタイル」を標榜し、圧倒的センスで音楽シーンを牽引するバンド・King Gnuのメンバーである井口はアイヌ文化が息づく北海道・二風谷へ。数々の画期的なロボットを生み出してきた高橋は江戸時代から和船建造に携わる東京都の佐野造船所へ。3者3様の旅だが共通するのは「職人の精神と歴史に触れる旅」であること。その旅の過程が丁寧に、そして3人のクリエイターとまるで一緒に旅をしているかのように自然体の映像で紡がれる。
観るものをまさに旅へと誘うような、蓮沼執太による音楽も心地よい。美しい映像と心に響く音楽で彩られたそれぞれの旅。そこからもたらされる出逢いと心の動きを辿ったとき、エルメスが「ヒューマン・オデッセイ」というテーマに込めた想いが、自ずと感じられるはずだ。時代が流れ技術が進歩しても、ものづくりはいつも人の想いから始まる。伝統を継承しながらも、その技を現代に実践するエルメスの創造力──それを支える「人々の想い」を辿り響きあう旅に、私たちも出かけよう。
オデッセイとは「長い冒険旅行」を意味し、ギリシャの長編抒情詩『オデュッセイア』の主人公・オデュッセウスが語源だ。長い漂流の旅の中で様々な困難に向き合い、知恵を使って生き延び、故郷に帰還を遂げたオデュッセウス。創業以来184年、六世代にわたって歴史を紡いできたエルメスもまた、数々の困難を多くの人たちの知恵と創造力で乗り越えてきた。その長い旅路を支えてきたひとりひとりの物語を再認識すること。それが、「ヒューマン・オデッセイ」なのだ。
銀座メゾンエルメスのミニシアター 「ル・ステュディオ」では1週間の上映が予定されているが、すでに期間中全日満席。劇場での12月10日(金)の上映は貴重な一夜になるだろう。上映館はどこも地域に根ざした魅力的なシアターばかり。街の長い歴史とともにある各地のシアターに足を運ぶのも、エルメスの精神性と通じる特別な体験といえそうだ。入場は予約制となっているので、各劇場の公式サイトのご確認を。
Film Screening Event
「HUMAN ODYSSEY ―それは、創造を巡る旅。―/DIRECTOR’S CUT」
公式サイト:HUMANODYSSEY.JP
上映日:12月10日(金)
全国31館:一覧はこちら
予約制/無料
RECOMMENDER:
徳永留依子
Harumari TOKYO編集部