「アートなワークショップ」をテーマに、「Artbar Tokyo」とコラボレーションしてお届けした「スーパーフラットトーク」。また、LINE会員向けのイベントも同時開催し、Harumari TOKYO読者の皆さんとアクション・ペインティングを楽しみました。当日の様子をレポートします。
「アートなワークショプ」を特集した12月の「スーパーフラットトーク」は、いつも番組をお届けしているハルマリオフィスから場所を変えて、代官山「Artbar Tokyo」から生中継しました。ワークショップは、本来、「作業場」「仕事場」を意味する言葉ですが、最近では参加者の主体性を重視した体験型の講座やグループでの学習に使われています。
では、今回テーマに選んだ「アートなワークショップ」は一般的なワークショップとどう違うのでしょうか。大きく3つのポイントがあります。ひとつめが、クリエイティブな課題にみんなで取り組むこと。ワークショップで、技術や作法を習得するというより、参加者同士が課題についてアイデアを出し合いながら進めていくということが体験できるものであることが大切です。
ふたつめは、ワークショップを通してセンスが磨かれて日常に気づきが生まれるということ。ワークショップでは普段使わない手や頭を使ってクリエイティブな作業に没頭します。それにより新しい自分に気づいたり、柔軟な考え方が生まれたりすることがあります。
さらにもうひとつのポイントは、モノよりトキを楽しむこと。これは言葉の通り、完成したモノが大事なのではなく、どういう思考や発想をしながら取り組んだかというプロセスの方が大切ということです。
ワークショップについてはこちら
モノ作り以上の愉しさがここに。アートなワークショップおすすめ5選
この3つの条件に当てはまるのが、今回のライブ会場である「Artbar Tokyo」で体験できるアートセッションです。ワークショップに参加すると自分に対してどのような気づきを得ることができるか、少々懐疑的な羽田さんに、同施設の人気プログラムであるアクション・ペインティングを体験してもらいました。
講師を務めるのはNaomi先生。セッションを始める前に、まずはワインを持って乾杯からスタート。「Artbar Tokyo」では、ワインやお菓子を食べながら参加者同士が交流することを重視しています。
「ワインとアートの組み合わせは、15~20年ほど前にニューヨークで流行したスタイルです。Artbarに来る方は初心者が多いのですが、久しぶりに筆を持って絵の具を使うのは、少し緊張しますよね。でも、お酒が入ることでリラックスできるし、クリエイティビティが爆発しますよ!」(Naomi先生)
Naomi先生からそんな説明を聞いていると、羽田さんはなんとワインを一気飲み。久しぶりに絵の具と筆を持ったという羽田さんでしたが、お酒を飲みながら筆を持つと一体どんな作品が仕上がるのでしょうか。
アクション・ペインティングは、大きなキャンバスの上から絵の具を垂らしたり、投げたりして描きます。普通、絵は向きが決まっていると思いますが、アクション・ペインティングは色んなアングルが楽しめるのも特徴です。
筆の端を持って、力強く腕を振ります。「えい!」という威勢のいい声と共に絵の具を飛び散らす羽田さん。これがアクション・ペインティングの手法のひとつである「スプラッシュ」というテクニックだと話すNaomi先生。
実際に体験すると、自分が想像していた場所とは違う場所に飛んだり、力を入れないと絵の具が上手く飛ばせなかったり、完成図がどうなるのか予測不可能でした。絵心が問われるものではなく、みんな同じ自由な画法を用いるので、絵の上手・下手は関係なしにフラットに体験できるのも、アクション・ペインティングの魅力だと感じました。
完成した作品を見て、「バイクメーカーのカラーになってしまった……。自分で見ても自分の性格が分かりますね。ちょっと違う色も入れてみたものの、無難な性格の男っていう感じが出てしまいました」と話す羽田さん。
一方、私の作品についても感想をいただきました。
「真鍋さんのは、冒険心がある、勇気ある人だなって思います。もうちょっと色を入れなくていいの?という気持ちにもなるし、アクセントになる青色をちょっとだけ入れているバランス感が、見ている側の心を乱してくるような作品ですね。あと、僕は何かと緊張するタイプなんですけど、ワイン飲むことによって緊張が解けますね」(羽田さん)
私はこれまで自分のことを、冒険心があるとは思っていなかったので、羽田さんの感想を聞いて自分の新たな一面に気づかされました。羽田さんも作品を通して自分の性格が現れていると感じるなど、改めて自分を振り返るきっかけになったそうです。
さらに番組の後半では、ワークショップデザイナーというワークショップを職業とするプロの方から、ワークショップで得られるものについてお話をうかがいました。今回登場いただいたワークショップデザイナーである、中尾根美沙子さんは、青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムで講師をされています。
そもそもワークショップデザインとは、どういう方が学んでいるのでしょうか。中尾根さんが担当する青山学院大学の社会情報学部の社会人対象講座では、医療、教員、建築関係など、さまざまなジャンルの職業の人が学びにきているそうです。
中尾根さんによると、ワークショップは、講義などの一方的な伝達のスタイルではなく、自ら参加、体験して、共同で何か学び合ったり作りあったりするスタイルと定義づけられているといい、参加と体験と相互作用が上手く働く状況を作るのがワークショップデザイナーの仕事だといいます。
「初対面の10人が集まったワークショップの場合、創作に入る前に人となりがわかるようなアイスブレイクをして関係性を作ります。今回のように、お酒や食べ物を通してコミュニケーションが取りやすくなるような空間作りも方法のひとつです。自ら率先してコミュニケーションをとることが苦手な参加者に、ワークショップデザイナーが、『それいいですね。これどうですか?』などの声かけで参加者同士のコミュニケーションを促す役割もあります。また、アートなワークショップでは、アート思考的な創造性を伸ばす可能性が、大人、こども問わず含まれているので、非常に注目されていると思います」(中尾根さん)
「確かに、残り時間を言われて急がないとと思った時に、自分がどういう行動を優先するのか、どうしたいのかを考えることは、日常生活にもフィードバックできそうと思いました。利益とか必要性のためにやっていない行為だからこそ、自分が何を大切にしているのかがより純粋にわかった気がします」(羽田さん)
ワインを飲みながらアクション・ペインティングを初めて体験した羽田さんは、「家に飾ります! ぜひみなさんも体験してほしいです」と楽しんでいただけたようです。「スーパーフラットトーク」は次回が最終回。ぜひご期待ください。
羽田さんのライブと同日には、「Artbar Tokyo」でHarumari TOKYOの読者イベントを開催。羽田さんがライブで体験した、アクション・ペインティングをじっくり2時間楽しみました。こちらは「Artbar Tokyo」の講師、Momoさんが担当です。
「部屋に飾ると思うので、ソファの色に合う色、元気が出そうな色、癒されそうな色を選ぶなどテーマを決めてから自由に楽しんでいきましょう!」とMomoさんの明るいパーソナリティとお酒の力もかりて、初対面だった読者の方の緊張モードも徐々にほぐれていきました。
春をイメージした色合い、インテリアに合った色味や、自分の好きな色を使うなど、選んだ色とテーマは多種多様。同じ画法でも色使いや力加減で全く異なる個性豊かな作品が生まれました。
それぞれ思い思いのオリジナル作品が完成しました。こちらが仕掛けなくても、参加者同士で、「この色かわいいですね」「私もそれやりたい」など自然とコミュニケーションが生まれ、みなさんも満足していただけたようでした。
「Artbar TOKYO」は人気のプログラムはすぐに予約が埋まってしまうので、毎月更新されるスケジュールを確認し、ぜひ体験してみてください。