結婚する前に夫婦間の取り決めを交わしたうえで結婚すること。「契約結婚」は期間を定めて更新制にする場合も多い。
「契約結婚」は、公的な契約書を交わして婚姻関係を互いに確認しあうという点で「法律婚」や「事実婚」とも同じ意味あいになる。ただ、スタイルとして、結婚生活に関するさまざまな事柄を、婚姻関係に必要な最低限のこと以上に規定して明文化し、公的な文書として残すことを実践している人たちを「契約結婚」という場合が多い。
二人の結婚について、どんな事柄を、どんなルールにするか、その基準はなく二人の考え方やライフスタイルにあわせて話しあって決めていく。「契約結婚」を実践する人が取り決める項目は以下のようなものが多い。
<生活面のルール作り>
・家事や育児の分担について
・将来にわたってお互いの仕事を続けるかどうかの意思確認
・互いの給料や資産の管理方法について
・お互いの親族との付き合い方、介護、同居などの条件
<離婚に関する取り決め>
・不貞行為など離婚となる場合のケースについて
・慰謝料や養育費の金額について
・財産分与について
こうした事柄は、結婚生活を営む上で誰しも話しあいや協議の場を設けて進めるものである。しかし、育児や親の介護、不貞行為の発覚といったことは、それらが発生したタイミングで考え始めることが多い。状況が逼迫していておざなりになったり、「仕方ない」とどちらがか我慢するようなこともありえる。さらには、その時にはじめて夫婦の価値観の違いに愕然とすることも少なくない。そうした将来起こりうることを事前に想定し、お互いに意見を出しあうことで、一生に渡って続く結婚関係の齟齬をなくしたいという意志のもとに「契約結婚」を実践する人が多い。
お互いに話しあった事柄を文章にして保管するというだけでも、相互の意思確認として意義はあるが、それでは法定効力を持たず、実際に契約内容を破棄したり無視したりしたときの強制力がない。そのため、こうした文書は、弁護士や司法書士などに相談して正式な「結婚契約書」として作成する場合がある。「事実婚」を認定する公正証書に項目を入れ込むなどしてはじめて「契約結婚」が成立するので注意したい。
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