VOL.1 オリジナル結婚辞典。多様な結婚観のヒントに。

恋愛関係にない者同士がお互いの利害の一致・考え方の一致等により、性愛はなくても、友情もしくは友情以上の愛情で結婚生活を送るスタイル。

先述の「共生婚」において、社会保障や世間体といった社会・経済面の理由や「一生そばにいるなら恋人より親友」という考え方・生き方を理由に選択するケースを解説したが、友情結婚は後者の「考え方・生き方の合致」を重視している。当然「友情婚」では、お互いにセックスを求めないケースが一般的である。

結婚と性愛の問題

民法における結婚（婚姻）は、相互扶助や子育てはもちろん（不貞行為を禁じているという点で）性愛の相手を限定する関係といえる。その性愛の考え方を除くと結婚の意味合いは大きく変わる。つまり、結婚が互いの信頼のもとに成立する長期的な助け合いの関係であるとすれば、必ずしもセックスは必要ではなく、親友こそ結婚相手にふさわしいという考え方も論理的にはあり得る。夫婦間のセックスレス化の進行だけでなく、若い恋人たちでもセックスの回数が減っているといわれている昨今。「友情結婚」が注目される現代は、夫婦関係における性愛（セックス）の位置づけが文化的にも精神的にも多様化していることの表れといえよう。

友情結婚の課題

その他の結婚スタイルと同様に、現時点でのお互いの信頼関係を元に選択された「友情結婚」。人の心は可変である以上、友情が恋愛感情に変わったり、友情自体がなくなってしまったりするなど、トラブルとなるリスクをはらんでいる。