毎日を充実させる東京のトレンド情報をお届け!
Harumari TOKYOのLINEをチェック

詳しくは
こちら

HOME SPECIAL 今日を愉しむモノゴト集め 【会期終了】傘が飛び立つ空間へ。「イイダ傘店」の展示会で一生ものの傘に出会う
【会期終了】傘が飛び立つ空間へ。「イイダ傘店」の展示会で一生ものの傘に出会う

VOL.158 【会期終了】傘が飛び立つ空間へ。「イイダ傘店」の展示会で一生ものの傘に出会う

今年も、日傘が手放せない夏でした。うっかり日傘を忘れた日は、エキナカの雑貨屋さんで急ぎ購入しなければ落ち着かないほど、私にとっては、1日のコンディションを左右する夏の最重要アイテムだったかもしれません。もはや雨の日だけでない日常の相棒・傘を、美しく魅せてくれる展覧会が、2025年9月15日(月・祝)まで、東京・青山のスパイラルガーデンにて開催されています。見応えある展示のほか、受注会も実施中。私も特別な1本を作り上げてきました。

文:白石亜希子(Harumari TOKYO)

日傘・雨傘・晴雨兼用傘をオリジナルデザインの布地から仕立てる、個人オーダーの傘屋「イイダ傘店」。店舗を持たないので、購入できるのは、年2回の受注会とイベントでの販売会のみ。お客さんは生地、デザイン、傘の長さを選び、自分だけの傘をオーダーできます。そうしてできた傘は完全特注のオリジナル品。壊れたら修理も受け付けてもらえ、まさに「一生もの」の相棒となってくれます。

これまでに、『ARTS&SCIENCE』や『ほぼ日』など、数々のコラボレーションも話題を呼んできました。

今回ご紹介するのは、今年20周年を迎える「イイダ傘店」の展示会「わたり」。9月15日(月・祝)までの期間、東京・青山のスパイラルガーデンにて開催されています。

傘作家の飯田純久さんが描くモチーフは、身のまわりの植物や風景、食べものなど。すべて手描きのほっこりとした世界観はファンが多いのも納得です。

これまでに発表された500点以上の布柄とともに、その背景やスケッチ、制作エピソードがずらり展示されています。

会場では、人気のとうもろこし柄を描いたきっかけや、イカ柄、おでん柄、のり弁柄などユニークなモチーフを見事にデザイン化したアトリエの再現なども展示。インスピレーションの源が垣間見え、ものづくりの楽しさを間近で感じることができます。

さらに進むと、約300本の傘が渡り鳥の群れのように飛び、羽を休めているかのようなインスタレーション「わたり」が広がります。

アトリウムを彩る傘の数々は、どれ1本とも同じものがなく圧巻。視線を動かすたびに新たな面白みに出会える、傘のワンダーランドです。広く見ても、個々を見ても見飽きることがないので、私が訪れた日も多くの人がじっくりゆっくり角度を変えながら鑑賞されていました。

併催のオーダー会では、120種類以上のテキスタイルから選んで、好みのパーツと組み合わせて自分だけの傘をオーダーすることが可能。

スタッフさんからは、実際に使うイメージにより近づくよう、「主に日傘仕様ならば短めがいいですよ」「鮮やかなテキスタイルが多い中でも、黒地×黒刺繍は、服装を選ばず使えますよ。スタッフの要望で作った今回の新作なんです!」など、細やかなアドバイスをいただけます。あーだこーだ相談しながら、私も、黒ねこ柄の折りたたみ傘を作ってみました。

お値段は送料込みで45,000円と、ちょっと勇気のいる価格。それでも、一連の展示から伝わってきた、ぬくもりある大切な1本を持ってみたい衝動は抑えることができず。

オーダーしてから手元に届くまで約半年。来年の夏は、この傘とともにどこに行こうか、今から楽しみが膨らみます。

イイダ傘店
WEB:http://iida-kasaten.jp/

イイダ傘店20周年記念展覧会「わたり」
WEB:https://www.spiral.co.jp/topics/iidakasaten