街で見かけないアイテム、誰ともかぶらない色やかたち。海外からのお取り寄せには、そんなとっておきの魅力がある。それを見つけたセンスを“誰と分け合うか”を考える。そんな買い物が、ちょっとしたギフトになる。自分と誰かのあいだに、ささやかなときめきを生むような選び方が新しい。
文:稲垣美緒(Harumari TOKYO)
イタリア発の「undo」というヘアアクセサリーブランドの商品を購入した。SNSでは既に話題になっているので知っている人もいるだろう。ぽってりとしたシルエットに、少しだけ毒気を含んだカラーバリエーション。カラフルなものから、流行のくすみカラーまで幅広く、甘すぎない絶妙なデザインが魅力だ。それでいてチープさはなく、さすがのヨーロッパブランド。メンズライクな服にもすっとなじむから、ただの“ヘアアクセサリー”とは違う空気感がある。
現在世界中で注目のブランドではあるものの日本ではまだ流通が少なく、ごく稀にセレクトショップで少量の入荷があるのみ。それもすぐに売り切れてしまうため、どうしても手に入れたいなら本国の公式サイトから個人輸入するしかない。価格は30ユーロ台からと手頃なものの、送料がほぼ同額……もしくは倍くらいかかるケースもある。可愛いけれど、そのひと押しに迷っていたとき、「おそろギフト」という選択肢が浮かんだ。
どうせなら複数買って、誕生日の近いあの子へのギフトにしよう。そうすれば送料はシェアできる(気持ちになる)し、感性を分かち合える楽しさもある。自分にとってのちょっとした贅沢が、友人にとってのちょっとした驚きになる。そう思えた瞬間、クリックの迷いは消えていた。
“誰かと分け合うための個人輸入”というスタイルは、じつは手間もそれほどかからない。自分や友人のための購入であれば“個人使用”と見なされ、関税や消費税の扱いも比較的シンプル。たとえば、商品と送料の合計が16,666円以下であれば、基本的に税金はかからない。それをわずかに超えた場合でも、数百円〜数千円程度。配送業者からの連絡に従えば済む範囲なのだ。(もちろん大量購入はNG!)
現在では多くのブランドが国際配送を行なっている。トラブルを防ぐためには、公式サイトから購入するのがマストだ。簡単な英語がわかれば通常のネットショッピングとさほど変わらないし、現代のPCやスマホは簡単に翻訳も表示できるので、ここ数年でぐっとハードルは下がっているといえるだろう。
特別なアイテムを自分のためだけに取り寄せるのも良いけれど、“誰かの顔を思い浮かべながら選ぶ”という視点が入るだけで、その買い物は少し豊かになる。ファッションだけでなく、選び方にまでスタイルが滲む。そういう余白が、今の気分にちょうどいい。
まだ日本ではあまり知られていないブランドを選び、そのセンスごと誰かに届ける。“おそろ”は単なる同一ではなく、価値観の共有に近い。
まるで旅先で見つけた掘り出し物を、「あなたにも似合うと思って」とお土産として誰かに手渡すような感覚だ。
最近は気になる海外ブランドを見つけては「誰とおそろにしようか」と考えるのが楽しみになっている。誰かとセンスを共有しながら、自分らしい“もの選び”を続けていきたい。
UNDO HAIRWARE
https://undohairware.com/