2025年5月29日(木)~9月7日(日)の期間、丸の内にある三菱一号館美術館では、「オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」展が開催されている。古典とモダン両方の様式における先駆者とみなされる、日本でも人気の高い2人の画家による競演は必見。卓越した芸術表現を存分に楽しみたい。
職人の息子として生まれ、明るく社交的な性格といわれるルノワールと、銀行家の家庭に生まれ、人付き合いをあまり好まなかったといわれるセザンヌ。
この巨匠画家2人が、南仏・プロヴァンスの地でともに作品を描き、家族ぐるみの付き合いがあったことはあまり知られていない。
今回の展覧会は、フランス・パリにあるオランジュリー美術館が初めて、「ルノワールとセザンヌ」に焦点を当てて構成。イタリア・ミラノ、スイス・マルティニ、香港を経て、日本唯一の会場である三菱一号館美術館に巡回している、世界規模の展覧会だ。
ルノワールの代表作《ピアノの前の少女たち》やセザンヌの代表作《画家の息子の肖像》をはじめ、肖像画、静物画、風景画、そして、両者から影響を受けたピカソなどを含む約50点が来日した。オランジュリー美術館といえば、モネの《睡蓮》が人気だが、ルノワールやセザンヌの作品をこれほど多く所蔵していると再認識させてくれる新鮮な展示内容。印象派ファンならずとも興味深く鑑賞できるだろう。
20世紀初頭においても、ルノワールとセザンヌの両者は、しばしば並べて論じられることが多かったという。20世紀美術を主に扱った画商でありコレクターでもあったポール・ギヨームも、印象派・ポスト印象派の作家のなかで彼らの作品のみを収集したとされる。ギヨームのコレクションは、後にフランス政府によって買い取られ、現在ではオランジュリー美術館の中核を成している。今回の出品作のうち大部分も、このギヨームに由来する作品だ。
本展には、オランジュリー美術館のみならず、「印象派の殿堂」と称されるオルセー美術館からも代表作が集結。ルノワール、セザンヌそれぞれの作品は、パステルのピンクとブルーの展示パネルで視覚的にわかりやすく分けられており、肖像画や静物画などのジャンルにおいて2人の作品を対比しながら見ることができる。
丸の内に佇む「三菱一号館美術館」という重厚な近代建築と、モダンな雰囲気の作品群はとても相性がよく、気持ちのいい展示空間の中で鑑賞を楽しめる点もポイントだ。また本展はグッズも洗練されたバレエコアな雰囲気のものが多く、ショップも賑わいを見せている。
ルノワールとセザンヌの交遊と合わせて、自在で多様な表現が生み出されるモダン・アートの誕生前夜を見届けられる本展。巨匠たちの卓越した芸術を楽しもう。
オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠
会期:2025年5月29日(木)〜9月7日(日)
会場:三菱一号館美術館
WEB:https://mimt.jp/