ギフトは、渡した瞬間に完結するものではない。プロダクトの背景にある物語や未来を想像することは、私にとってギフト選びの楽しさのひとつだ。どこからやってきたのか、どんな素材でできているのか、そしてこれから先、どんなふうに使われていくのか。そんなふうに想像をめぐらせ、贈る相手はもちろん選ぶ自分すら楽しませてくれる存在に出会った。それが、buøy(ブイ)のトレイだ。
文:荻泰輔(Harumari TOKYO)
ギフトを選ぶとき、私は「どうやって作られているのか」「なぜこの色・形・模様なのか」みたいな背景をつい調べてしまうタイプだ。選ぶ時間がちょっとした冒険のように感じられる、そんなストーリーのあるプロダクトに出会うと、自然と手が伸びてしまう。
buøyが素材としているのは、もともとどこかの海を漂っていた海洋プラスチックごみだという。日本各地で回収されたそれらを、加熱と圧縮によって一点ものの製品へと再生しているため、同じ色・模様のものはひとつとして存在しない。
素材ごとに異なる溶解温度によって偶然生まれるドット柄やマーブル模様を眺めていると、「これはどこの海を旅してきたのかな」「もともとは何だったんだろう」と、想像が自然と膨らんでいく。
さらに、すべてのbuøyのプロダクトには「ゴミの回収地域」と「ゴミの回収団体」が明記されている。贈る相手の出身地だから、一緒に旅した場所だから、といった産地の記憶と紐づけてギフトを選ぶ。思い出話に華を咲かせながら、ふと、そうした活動にまなざしを向けることができればこれ以上に素敵なことはないだろう。
※現在、buøyのトレイは新しい形状への移行に伴い、現行モデルの量産を終了しています。オンラインショップでは一部在庫分のみの販売となっており、在庫がなくなり次第、販売終了となります。
トレイというモノの性質上、使い道が自由に決められるという点も、ギフトとしての“相性のよさ”を際立たせている。鍵を置く人もいれば、アクセサリーや文房具をのせる人もいる。私はいつも「あの人ならこうやって使うかな」と想像を膨らませて予想をし、実際にどう使ってくれたかの答え合わせを楽しんでいる。
観葉植物好きの友人に大きめのトレイをプレゼントした際には、鉢受け皿として使うかなと予想していたのだが、次に家に訪れた際には推しのアイドルのグッズを置く場所になっており、面食らうのと同時になぜか嬉しくなったのを覚えている。そうした友人の新たな一面との出会いまで含めて、トレイはギフトとしてとても奥行きのある存在だ。
ほかにも、buøyではさまざまなプロダクトを展開している。たとえば、結露しがちなグラスの置き場所にぴったりなコースターや、無機質になりがちなバスルームに、ほどよく彩りを添えてくれるソープディッシュや歯ブラシスタンドなど。どれも素材や色味はもちろん一点もので、友人の生活を想像しながら選びたい存在ばかりだ。
buøy
WEB:https://buoy.stores.jp/