人と本との出会い方はどんどん選択肢が増えている。まさに「出会いの場を作りたい」との思いで各地へ出かけていく移動式本屋がある。本屋がない場所で、本との出会いを演出する「BOOK TRUCK」
本と人との出会いの場を作りたい。そんな想いをバンに乗せて、全国各地に神出鬼没に現れる移動式の本屋さんがあるという。目印はパステルブルーの大型バンと「Welcome BOOK TRUCK」と書かれた看板だ。

青山・国連大学前で毎週末行われているファーマーズマーケットに止まるパステルブルーの大型バン。「Welcome BOOK TRUCK 〜移動式本屋です。お気軽にご利用ください〜」と書かれた看板に吸い寄せられるように近づくと、中にはぎっしり本が並んでいた。
その案内の通り、『BOOK TRUCK』は移動する本屋。2012年に始動して以来、日本各地のイベントやキャンプ場、野外イベントなどに合わせて各地を周ってきた。品揃えやディスプレイは、その都度変えているという。
移動式本屋の店主は三田周平さん。
学生時代は会計士になろうと勉強を進めていたが、もっと直接的に社会貢献したいと願う中で、本を通して世の中が豊かにならないか? 誰かを豊かにしてくれる素晴らしい本とうまく出会えるような仕組みを作りたいと考え、書店に就職した。

その後7年ほど働き店長も務めたのち、「もっと本が気軽に触れられる場所、本に興味のない人にも本との出会える場所を提供できたら」という想いはどんどん強くなり、自分で店をやろうと決めたそう。
まずは仕入れのために車を買おうと考えていた矢先、あるアイデアを思いついたという。
———車を店にしてみるのはどうだろう。

車ならいろんな場所に出かけることができるしスペースも十分。何よりも自分からお客さんに会いに行けるのがいい。そうして誕生したのが移動式本屋『BOOK TRUCK』なのだ。
「お店を構えてお客さんを待っているんじゃなくて、お店の方から本を好む人のところに出向いていくみたいな、能動的なお店ができたらと思ってたんです。そうすることで今まで繋がらなかったほんと人が出会う場所を提供できるんじゃないかと」
と三田さんは語る。

バンに詰め込まれた本は約500冊。毎回場所やイベントに合わせて本をセレクトしているという。どこでも買えるような本ではなく、なかなか出会えない本を意識してセレクトしているが、あまりマニアックになりすぎないようにしているという。
「あ、この本知ってる!という本があると、お客さんと本の距離も近づくこともあるので、並べる本のバランスも大切にしています」
空間作りにもこだわりがあるそう。例えば子供が多い場所なら絵本を手に取りやすいところに置いたり、広いイベント会場では遠目から見ても楽しげなディスプレイにしてみたり。思わず立ち止まりたくなる空間には、三田さんの本に対する情熱や想いが詰まっている。

そんな想いがあるからこそ『BOOK TRUCK』に訪れた人はなぜかみんな笑顔に。
移動図書館に馴染みのある年配の世代から、幼い子供、感度の高い若者、さらに外国人まで訪れる人の幅は広い。絵本も数多く取り揃えており、子供たちも興味津々。

ちなみに、数ある本の中でも三田さんオススメを聞いてみると、こちらの本を紹介してくれた。

文筆家の土門蘭さんとイラストレーターの寺田マユミさんが作り上げた1冊だそう。”トリミング”をテーマに、ページはときおり切り抜かれており、その演出の効果で心にストンと言葉が入ってくる。
「これはすごくいいですよ、表現方法がとてもいい。本のつくりと内容がリンクしているので、モノとしてずっと手元に置いておきたい本です」。
そう聞いて、ますます興味が湧いてきた。

「欲しい本は簡単にネットで買える時代なので、本を買ってる時間や、選んでいる時間をなるべく楽しいものにしたいなという思いはありますね」
という三田さん。どんなタイミングで、どんなシチュエーションで本と出会うかということも大事だという。

BOOK TRUCKを見かけた人たちは、好奇心に満ちた表情で車の中に足を踏み入れる。まるで秘密基地のような空間に心を躍らせながら本に手を伸ばす。
そして本の向こうに広がる未知の世界と対面するのだ。
「偶然手に取った一冊が、その人の感性を刺激したり元気を与えたり、人生を変えるものかもしれない。そんな一期一会を提供できたら嬉しいですね」
と三田さん。BOOK TRUCKにはそんなワクワクが詰まっている。
写真_河野優太 文_森田文菜
| エリア: | 注目商品・サービス |
|---|---|
| 電話番号: | |
| 定休日: | 不定休 |
| 公式WEB: | https://booktruck.shop/ |
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