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アートに触れて、マイペースを取り戻す。2月に行くべき3つの美術展

VOL.127 アートに触れて、マイペースを取り戻す。2月に行くべき3つの美術展

お正月ムードも落ち着き、再び日常が戻ってきた今頃。心落ち着けたいという人も多いのでは? そこでおすすめしたいのが美術展。静かな気持ちでアートに触れ、自己と向き合えば、本来のマイペースも取り戻せるかもしれない。会期の終了が間近に迫る、2月に行っておくべき美術展を紹介しよう。

目次

    ①坂本龍一 | 音を視る 時を聴く

    音楽家でありアーティストとしても世界的に知られる坂本龍一の日本初となる大規模個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が、東京都現代美術館で開催中だ。音楽とアートの境界を超えた坂本の多彩な表現を体感できるこの展覧会は、坂本が生前、同美術館のために構想した企画に基づいており、未発表の新作や代表作を含む約10点の没入型サウンド・インスタレーションが展開される。

    美術館の屋内外を活用した音楽と視覚が織り成す壮大な空間は、訪れる人々を坂本の創造の軌跡へと誘う内容となっている。

    さらに、坂本とともに創作を重ねてきた高谷史郎や真鍋大度といった国内外で活躍するアーティストとのコラボレーション作品も見どころの一つ。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、訪れる者に深い感動を与えるとともに、新しい視座をもたらしてくれることだろう。想像と体験の地平を切り開く、坂本龍一の世界へどっぷり浸かってみよう。

    坂本龍一 | 音を視る 時を聴く
    会期:2024年12月21日(土)〜2025年3月30日(日)
    会場:東京都現代美術館
    https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

    ②寺山修司展

    日本のアンダーグラウンドを牽引し、常に表現活動の豊かな可能性を模索し続けてきた寺山修司。生誕90年にあたり、世田谷文学館では「寺山修司展」が開催中だ。

    18歳で「短歌研究」新人賞を受賞し、自由詩へと創作活動の基盤を移し、歌謡曲の作詞や放送詩(ラジオ)へと活動ジャンルを広げた。30歳を前後する1960年代後半には世田谷区下馬へ移り住み、演劇実験室「天井棧敷」を設立。長編小説や戯曲、評論など新たな執筆活動を交えながら、演劇や映画といった芸術ジャンルへとさらに活動の場を移行させていった。

    本展では、手紙魔でもあった寺山自筆の書簡や、「天井棧敷」に関する資料(原稿・台本・ポスター)など、約150点の資料で、寺山修司の人物像とその活動を紹介。鬼才とも呼ばれる寺山修司の人となりを知れる貴重な機会になりそうだ。会場では自動からくり人形師・ムットーニ(武藤政彦)による作品も同展にあわせて展示。ぜひともに楽しみたい。

    寺山修司展
    会期:2024年10月5日(土)~2025年3月30日(日)
    ※3月中旬に館内整備休館
    会場:世田谷文学館 1階展示室
    https://www.setabun.or.jp/collection_exhi/20241005_collection.html

    ③草間彌生|私は死を乗り越えて生きてゆきたい

    草間彌生自身が設立し、2017年に開館した草間彌生美術館。これまで年2回の展覧会を企画してきたが、現在は、「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」が開催中だ。

    太平洋戦争を複雑な家庭環境下で体験し、トラウマや神経症による自殺未遂衝動を創作活動で乗り越えてきた草間彌生にとって、生と死は常に差し迫った問題だった。本展では、戦争の影が色濃く見られる1940~50年代の絵画から最新作までの多様な作品を通して草間の死生観の表出とその変遷を紹介する。

    《命の限り》2015年 © YAYOI KUSAMA

    1957年の渡米後、幻覚に由来するモチーフの強迫的な反復により、自他の境界が消えていくような感覚「自己消滅」を、網目の絵画や彫刻で表現して高い評価を得た草間は、60年代、水玉模様を人体に描くハプニングで人体・生命の美しさを強調し、反戦を唱えた。続く70~80年代は、心身の不調による帰国、父や恋人の死を経て、死をテーマとする暗い色調のコラージュや立体作品を多数制作。死の匂いが満ちた時代といえるだろう。80年代後半の作品は、自己消滅を通した永劫回帰や輪廻転生をテーマとするように。そして、2000年以降の絵画シリーズでは、迫りくる死の影が起爆剤となり、生命の神秘、生きる喜びを、色の洪水ともいえる画面にひたすらに描き続けている。

    草間彌生がいかにして死を乗り越えてきたのか、作品に満ち溢れるエネルギーを感じてほしい。

    《命の炎ー杜甫に捧ぐ》個人蔵 1988年
    《マンハッタン自殺未遂常習犯の歌》2010年 © YAYOI KUSAMA

    私は死を乗り越えて生きてゆきたい
    会期:2024年10月17日(木)~ 2025年3月9日(日)
    会場:草間彌生美術館
    チケット:日時指定の事前予約・定員制(各回90分)
    www.yayoikusamamuseum.jp
    ※チケットは美術館ウェブサイトのみで販売しています。
    美術館窓口での取り扱いはございません。
    WEB:https://yayoikusamamuseum.jp/exhibition/current/