見る、考える、つくる——シンプルな動作。そんな人間の「当たり前」に対し、改めてどういうことなんだ?と気づきを与えてくれる「デザインあ展」は、過去2期にわたり累計116万人が来場した人気の展示だ。
現在、「デザインあ展」のコンセプトはそのままに、新たなテーマを掲げた新作展「デザインあ展 neo」が虎ノ門・東京ノードで開催中。日常に潜むデザインを新しい目線で捉え直す体験ができる。子どもだけでなく、大人にも効く「感覚のリハビリ」を覗いてみよう。雨の日や、夏の暑い日のお出かけに、今年の夏はここで決まりだ。
デザインとは、ただ見た目を整えることではない。「デザインあ展 neo」は、固定観念をそっと裏返してくれる展覧会だ。ただ眺めるだけではなく、「見る・考える・つくる」という動作そのものを、自分の内側から呼び起こしてくれる場になっている。
本展示は「行為(動詞)」がテーマ。「あるく」「たべる」「すわる」など動詞ごとに、観察・考察・体験の3ステップで構成された35作品が楽しめる。
会場に入ってまず目にするのは「イントロダクション〜動詞の庭〜」。さまざまな「動詞」がユニークな動きを見せている。そこに人の姿はないはずなのに、なぜか人の気配を感じる、デザインの力をまず感じられるだろう。
続く展示室で見られるのは、3メートル超の巨大なお箸につままれる気分を体験する「たべられるきもち」(たべる)。
実際に触ったり乗ったりすることで「動詞を体感」したり、自由な発想に気付いたりできる。小学校でおなじみの木の板とパイプでできた「学童イス」が、機能や特性が異なるさまざまなイスになる「学童イスのゆめ」(すわる)では、その発想の柔軟さに刺激を受けるだろう。
他にも「はなす」「かく」「すてる」「こわす・なおす」「さがす」をテーマにした、遊び心と発見があふれる作品が続く。
「デザインあ」と聞くと、子ども向けの企画をイメージする人も多いかもしれない。けれど「デザインあ展 neo」が本当に響くのは、むしろ大人たちだ。効率やルーティンに慣れきった都市生活者にとって「関係性を見る」「時間をデザインする」「当たり前をほどいて考え直す」ことは、新鮮な体験となるだろう。
動画やインタラクティブな体験は、思った以上に自分の凝り固まった思考をストレッチしてくれる。
「思考のストレッチ」という言葉がふさわしいリセット感を、この展覧会はもたらしてくれる。「デザインあ展 neo」で得られるのは、派手な刺激ではない。静かだけれど確実に、世界の見え方を少し変えてくれる、小さな訓練だ。
開幕直後やGWでの混雑が少し落ち着いたこのタイミング、自分の中の“あ”を再起動しに、虎ノ門に出かけよう。
デザインあ展 neo
会場:NODE GALLERY(東京 NODE/虎ノ門ヒルズ ステーションタワー5F)
会期:2025年4月18日(金)~ 9月23日(火 ・ 祝)
開館時間:10:00~19:00(入場は閉館の30分前まで)
https://exhibition-ah-neo.jp/