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HOME SPECIAL Second Town Journey 2026——あなたの居場所は、ふたつある また来たくなる街、また来てしまう街へ。尾道と「第二の街」の、その後
また来たくなる街、また来てしまう街へ。尾道と「第二の街」の、その後

VOL.5 また来たくなる街、また来てしまう街へ。尾道と「第二の街」の、その後

2021年、Harumari TOKYOは「Second Town Journey in ONOMICHI」という特集を公開した。コロナ禍によってテレワークが一気に広がり、“東京以外の場所”との関係を見直す人が増え始めていた頃。特集内では、尾道や瀬戸田で暮らす人たちへのインタビューや座談会を通して、「第二の街を持つ」というライフスタイルを提案した。5年経った今、尾道という街はどういう風に変化しているのだろうか。

当時、取材中さまざまな人たちから繰り返し語られたのは、「移住」という言葉よりも、“また来たくなる場所”という言葉だった。

「『よく来たね』と言ってくれる場所ができたら居場所になる」
2021年の座談会で、瀬戸田エリアでレモン農園「たてみち屋」を営む菅秀和さんはそう話していた。

5年前、Harumari TOKYOが尾道で見ていたのは、「地方移住」の未来ではなく、東京での仕事や生活を続けながら、もうひとつの街と関係を持つこと。それがまさに「セカンドタウン」という特集タイトルそのままだったのだが、その感覚は、この数年で、“特別なライフスタイル”ではなくなり始めている。

実際、2021年の取材時にはPC作業できる場所はそこまで多くなく、Wi-Fi環境もそこまで良いとはいえなかったが、現在の尾道駅周辺には、長期滞在やワーケーション利用を想定した店舗や宿泊施設がぐっと増えた。

その象徴ともいえるのは、尾道駅直結の「HOTEL BEACON ONOMICHI」だ。駅舎の2階部分という抜群の利便性を誇るホテルだが、オンライン会議やリモートワークを前提としたワークラウンジや高速Wi-Fi環境が整備されており、宿泊者以外にも広く開かれている。

ちょっとしたPC作業ができる場所が増えているのは、どこでも作業ができる環境に生きる東京生活者にとってはありがたい。

以前のように、“観光の合間に少し仕事をする”のではなく、“仕事をしながら滞在する”こと自体が、少しずつ自然な選択肢になってきているのだ。

尾道市役所によると、移住政策自体は古くから取り組んでおり、2017年には移住定住ポータルサイトを開設している。移住支援や求人情報・空き家情報など、主に情報や制度の紹介が軸となるオーソドックスなサイトとなっていた。

しかしその後2021年には、「人と尾道」というプロジェクトをスタート。尾道市自らが、“人”を切り口にプロモーションの方向性を定めたのだ。

https://hito-onomichi.jp/

サイトに掲げられていたのは、「会いたい人ができると、そこは、帰りたいまちになる。」というコピー。

制度や補助金だけではなく、人との関係性を入り口に街との接点をつくろうとしていることが印象的だった。そのプロジェクトのローンチとHarumari TOKYOでの取材は奇しくも同時期だったのだが、それから5年、コロナ禍を乗り越えた尾道にはその姿が自然に広がりつつある。

もちろん、坂道や千光寺、しまなみ海道など、“観光地としての尾道”などの風光明媚な場所の美しさは健在。外国人観光客の増加のあおりもあり、観光客は660万人弱(令和6年度)が訪れている。過去最高を記録した2019年の実績に戻りつつあるのを実感した。

実際、尾道を歩いていると、“観光”だけではない空気を感じる瞬間がある。

数ヶ月ぶりに同じ店へ立ち寄る人なのか、「今日はお仕事ですか?」と店員に声をかけられる姿。平日に、カフェでPCを開く人。コワーキングスペースで知り合った人同士が、別の季節にまた集まっている。東京の仕事を続けながら、イベントやプロジェクト単位で尾道に関わっている人も少なくない。移住したわけではないけれど、“ただの旅行者”とも少し違う。

2021年の座談会で、尾道自由大学事務局の高野哲成さんは、「尾道エリアはコンパクトで人に出会いやすい」と話していた。

確かにこの街には、人との距離が近くなりやすい独特のテンポがある。港町として外から来る人を受け入れてきた歴史もあるのだろう。必要以上に踏み込まない。でも、放ってもおかない。「また来ます」と言って帰った人が、数ヶ月後、同じ商店街を歩いている。

顔を覚えられ、イベントを手伝い、気づけば「次はいつ来るんですか」と聞かれるようになる。尾道では、そんなふうに滞在と生活の境界が少しずつ曖昧になっていく。

また、座談会では、「尾道は、仕事とプライベートの境界が混ざりやすい街だ」という話も印象的だった。
「都市に住んでいる人が余暇で行きたくなるような環境が、僕らは日常や仕事の中にある」と菅さんはそう話していた。

海が見える風景。
季節ごとに色を変える山。
仕事の移動中に感じる天気や光。

東京では、“気分転換”として切り分けられている時間が、尾道では日常の中に混ざっている。それは単なるスローライフ礼賛ではなく、働き方や生き方そのものの感覚を変えていくものなのかもしれない。

東京を離れなくてもいい。でも、東京だけで生きなくてもいい。
尾道に来る理由が、観光名所ではなく、“会いたい人”になっていく。

5年前、「Second Town Journey」が描いていた感覚は、少しずつ現実のライフスタイルとして定着し始めている。

2021年 特集 セカンドタウンジャーニー in 尾道
https://harumari.tokyo/feature/second-town-journey-onomichi/ 

スペシャル座談会
https://harumari.com/blog/onomich