VOL.1 「未来のローソン」に出会える場所。高層ビルの地下で体験できる“革新と安らぎ”

セルフレジにシェアリングサービス、店内キッチン、スマホ決済……東京・大崎の複合施設内にあるローソンは、「未来のコンビニ」を見据えた試みが満載のユニーク店だ。仕事の合間でも、立ち寄ってみる価値がある。

ビジネスパーソンが足早に行き交う街、東京都品川区大崎。JR大崎駅を降り立つと、いくつもの高層ビルが出迎えてくれる。

その一角にあるコンビニが「おもしろい」と、業界で話題になっている。複合施設の地下一階にある「ローソンゲートシティ大崎アトリウム店」だ。

広い。店内は一般的なコンビニの約３倍はあろうかという感じで、イートインコーナーは40席ほどもある。売り場を見て回ると、いつものラインナップに加え、ナチュラルローソンで見かけるようなボタニカル雑貨や小分け包装タイプもそろえるOTC（一般用）医薬品まで、多彩な品ぞろえだ。

それだけじゃない。「えっ？」と、足を止めるほどの新発見がいっぱい。

手に取った商品がディスプレイに自動表示！ コンビニの未来がここにある

まず注目したいのは、入り口近くにあるイベント棚だ。棚の上に大きなモニター画面があるのですぐに気づく。

ずらっと並んだ商品を手に取ると、瞬時にモニターに商品情報が映し出された。上の方に設置してあるカメラヤセンサーが訪れた人の行動を把握し、自然と商品を紹介してくれるという最新システム。これなら気になった商品の詳細がよくわかる。 こうした発見に気づくと、つい夢中になってしまう。

ふだんは脇役の壁側スペースも、この店ではあなどれない。さまざまな企業とコラボした新サービスが充実している。「スマホ充電器のレンタルマシーン」、傘を1日70円で借りられる「アイカサ」、民泊に欠かせない鍵の受け渡しがセルフでできる「Keycafe Smartbox」など、定着してきたシェアリングライフを楽しむためのアイデアが、いち早く取り入れられているのだ。

店内キッチンのできたて弁当、好みの「からあげクン」も自分の手でピックアップ！

買い物スタイルも新しい。定番のおにぎりや弁当コーナー以外に、店内キッチンで調理する「まちかど厨房」があるので、できたてのサンドイッチや弁当が並ぶ。パンより肉の方が分厚いんじゃないかと思う人気メニュー、「三元豚の厚切りロースカツサンド」（税込399円）は、ぜひトライしてほしい逸品だ。

からあげクンなどの揚げ物が食べたい時は、ケースを開けて自分で好きなものをチョイスできるしくみになっている。わざわざ店員さんに「これくださーい」と声をかけなくてもサクサク買えてしまうから、いつもより食欲が旺盛になってしまうかもしれない。

さらに「セルフレジ」が数台あるので、自分で商品のバーコードを読み取って「ピッピッ」とスピーディーに精算もできる。セルフレジは今後、コンビニでも当たり前になる可能性が高いので積極的に使ってみよう。

レジに並ぶ必要のないスマホ決済にも注目

そして極め付け、ローソンならではの「新しい便利」もぜひ体感してほしい。

レジを通らず店内のどこでも決済できる「ローソンスマホレジ」だ。使い方は簡単。ローソンアプリから購入したい商品のバーコードを読み取り、LINE PayやApple Pay、クレジットカードなど、好きな方法を選んでその場で決済。完了したらスマホにQRコードが表示されるので、出入り口にある専用リーダーにかざせば、買い物を終えた退出のサインになる。万事OKだ。

ローソンのスマホ決済を利用した人からは「レジに並ぶ必要がないので、店が混雑するランチ時などに便利」と、好評なんだそう。

コーヒーを片手に、カフェのようなイートインスペースで安らぎを

ビジネスマインドに長けた読者は、もう気づいているだろう。買い物シーンにも、決済シーンにも、共通しているワードは「オペレーションの省力化」だ。この店で、店の人手不足を解消するための実験をしているともいえる。ローソン自慢の淹れたてコーヒー「マチカフェ」も、セルフで買えてしまう。こうしたスピード感は、訪れた人にとっても、店員にとってもうれしい話だ。

最新技術が満載の店内を見て回ったら、イートインコーナーの椅子に腰掛けてみよう。

コンセントつきのテーブルでパソコンを開くのもいいけれど、おしゃれな雰囲気を満喫するには生乳を使用したカフェラテを手に、まったりと過ごしたい。

“令和”時代のコンビニって、こんなふうになるのかなと、ちょっと「未来」に思いを馳せてみる――仕事の合間に空想するのって、楽しい。

吉岡秀子＝取材・文
玉井俊行＝写真