写真家のホンマタカシが、ル・コルビュジェ建築の窓を被写体に撮影したシリーズによる個展を開催中。10月12日(土)まで。
古今東西、美術の歴史のなかでモチーフとして重要な役割を果たし、さまざまな意味を託されてきた「窓」。これまで、写真家・ホンマタカシの作品世界においても「窓」の暗示するものが、重要な構成要素として内包されてきた。
ホンマタカシは1962年東京都生まれ。雑誌や広告を中心に活躍しながら、メディアとしての写真の存在を問い続け、さまざまな方法で写真表現の可能性を追求してきた写真家だ。
感情を排したかのような対象との独特な距離感は国内外で注目を集め、1999年には無機質な東京の郊外風景とそこに暮らす子どもたちの姿を撮影した写真集「東京郊外TOKYO SUBURBIA」で第24回木村伊兵衛写真賞を受賞している。
本展「Le Corbusier windows」について、「普通に撮ると建築の写真は建築写真になってしまう。どうにかして建築写真ではない建築の写真を撮れないものかと考えたときに、窓を撮ってみようと思った」と語ったホンマ。本シリーズでは、コルビュジエの思考の具現化である建築の本質に迫る手がかりとして、窓から外に見える景色に目を向けている。
「窓」そのものを主題とするのではなく、建築物を一般的な建築写真と異なる形で写すための手段として窓を撮影している本シリーズ。外から建築を覗き込むだけでは、その建築の本質に迫ることはできないと考えたホンマは、窓の内から外へという視線にもその本質となる手がかりが潜んでいると撮影に臨んだ。フレームとしての窓越しに眺める景色を通し、写真には写り込まない建築物の全貌を、抽象的かつ観念的なイメージで捉えている。
ホンマにとって、ル・コルビュジェ建築の窓から眺めた景色を撮影することは、偉大な建築家の視線を追体験し、彼の建築の内部に思いをめぐらせること。ホンマの写真を通したル・コルビュジェ建築は「ただの構造物として撮影された建築写真」というイメージから解放され、ホンマが見た世界の断片として、鑑賞者の前に立ちあらわれる。
その写真を見る私たちもまた、ル・コルビュジェ、ホンマタカシという2人のアーティストの視点を感じ取ることができるだろう。
エリア: | 東京 / 六本木 |
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住所: | 〒106-0032 東京都港区六本木6丁目6−9 |
電話番号: | 03-5786-6900 |
営業時間: |
火曜日 11:00〜19:00 水曜日 11:00〜19:00 木曜日 11:00〜19:00 金曜日 11:00〜19:00 土曜日 11:00〜19:00 |
定休日: | 日曜、月曜、祝日 |
公式WEB: | http://taronasugallery.com |
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