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「おいしいってなんだろう?」―ファーマーズマーケットが始めたコミュニティ・クラブの挑戦。

「おいしいってなんだろう?」―ファーマーズマーケットが始めたコミュニティ・クラブの挑戦。

毎週末、表参道の国連大学前にて開催されている「Farmer’s Market@UNU」が、会員制のコミュニティを運営しているのをご存知だろうか。「食」を楽しみながら学べる「Farmer’s Market Supporter Club」を紐解いた。

食を通じてつながる。どんな人でも参加できるイベントを定期開催

日本全国の農家や生産者が集まり、こだわりの農産物を直接販売する「Farmer’s Market@UNU」が、新たな取り組みに挑戦している。その名も、「Farmer’s Market Supporter Club」だ。

塚本紗代子さん/Farmer’s Market Supporter Club運営

設立したのは2年前。「農家さんへの支援も含め、メンバーになっていただいた方から月額3000円をいただき、様々な活動を一緒に作り出していくためにスタートしました」と、Farmer’s Market事務局の塚本紗代子さん。

「Farmer’s Market Supporter Club」が目指しているのは、メンバー同士でコミュニケーションを取り合い、自主的にアクションできるコミュニティ。運営は一方的にコントロールするのではなく、主催イベントによって横の繋がりの構築をサポートする立場になる。

「登録者は約30名。30〜50代の方が多く、女性9割男性1割くらいの比率です。みなさん、登録理由はさまざまですが、食という誰もが関わるキーワードのおかげで、初対面でもコンタクトを取りやすいと思います。交流会やクッキングイベントなどを定期的に開催していて、より多くの人が参加でき、イベントごとに参加者同士の親交も深まっているみたいです」。

8月末に開かれたのは「re-think food cooking」。「Farmer’s Market@UNU」で売れ残った食材をみんなでクッキングし、美味しく消費する試みだ。つまり、フードロス=食材廃棄に対するアンチテーゼ。

サラダ班、パスタ班、煮込み班……。参加者はいくつかのグループに分かれ、コミュニケーションとりながら、使用食材やメニューを決定。

野菜を切ったり、大きな鍋でスパゲッティを茹でたりと、グループごとに協力して自由に調理を進めていく。

料理をつくるという共通の目的があるだけで、コミュニケーションもスムーズに取れるよう。

イベントスタートから90分ほど経ち、テーブルに完成した料理を並べ、みんなで「いただきます!」。味の感想から、イベントの参加理由、職業などたわいない話をしつつ、食べ終わるころには、すっかり参加者たちも打ち解けている様子。

「Farmer’s Market Supporter Club」の活動に、ほぼ毎回参加しているという食品加工会社勤務の男性は、「日常では出会えない人と食材に触れられて、刺激をいっぱいもらっています。女性が多いイベントですが、あまり性別を意識したことないですね」と感想を。

また、料理が趣味だという女性からは「買い足すことなく限られた材料だけで美味しい食事を作る、というのが面白い。『Farmer’s Market Supporter Club』に通うようになって食に対する意識が変わってきました」との意見も。

また、「Farmer’s Market Supporter Club」では、生産者と消費者の架け橋となることも意識している。

「普段あまり接点がない関係ですよね。でも、『Farmer’s Market Supporter Club』でのイベントには、職業、働き方、生き方など異なる人が多く集まっています。そんな方々が繋がることで、さまざまな発見ができる。現時点で参加してくださっている生産者さんも、多種多様。脱サラしてリンゴ農家に転職したり、飲食店からワイナリーになったり。きっと面白い話が聞けますよ」。

続けて、「消費するのが当たり前の社会である今、フードロスやプラスチックゴミの問題が課題となっています。マーケットでも、これらの問題は避けられない課題です」と、塚本さんは言う。

「ちゃんと考えないといけないタイミングですよね。環境の悪化は食に大きな影響を与えます。もう一度、おいしいってなんだろう? と、見直す手助けが『Farmer’s Market Supporter Club』でできればいいなと」。

東京を拠点にする理由もあるそう。
「わかりやすく言えば、ゴミを出すのが当たり前の環境だからです。人が集まりやすい以前に、改善すべきポイントがある。海に流れ着いたペットボトルを見たら、誰もがゴミを捨てたくなくなります。自然から遠ざかっている東京だからこそ、私たちが発信していく意味はあると思います」。

近日中に『Farmer’s Market Supporter Club』を複数のプランにアップデートする予定だそう。今後は、横の繋がりを強化するために、オンラインでもコミュニケーションが取れるような、プラットフォームも考えているそう。テーマが身近な食だけに非常に参加しやすく、雰囲気を掴むのもたやすい。興味があれば、まずは週末に国連大学前でのマーケットに足を運んでみてはどうだろう。アットホームで笑い声の絶えない市場を一回りすれば、もっと深く関わってみたいと思えるだろう。

 

取材・文:金井幸男
カメラマン:玉井俊行