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役目を終えたモノをクリエイションで次へつなぐ。大沢伸一が挑むアップサイクルプロジェクト「OFFICIAL GHOST」

役目を終えたモノをクリエイションで次へつなぐ。大沢伸一が挑むアップサイクルプロジェクト「OFFICIAL GHOST」

DATE:
2020.05.28

SDGsの採択から早4年が経過し、2030年の目標達成に向けた“行動の10年”が始まった。我々の生活の身近なところでは、食品業界や衣料業界などがSDGsを企業理念に掲げ、取り組みを加速している。その中で、ファッションやデザインのジャンルの新たなムーブメントとして広まっているのが、アップサイクルという価値観。いわゆる、リサイクルやリユースとは異なり、元の商品の特徴を活かしてより良いモノに作り変えることで価値を高めようとするアイディアだ。

そんなアップサイクルにも新しい動きが生まれつつある。単に商品を再生させるだけでなく、作家の想いやセンスで、「まったく新しい商品」の域にまで仕立て上げる取り組みだ。そんなアプローチの代表例がHarumariでもお馴染みの大沢伸一さんだ。「OFFICIAL GHOST」と掲げた新プロジェクトにて、アップサイクルなクリエーションを提案している。ここでは大沢さんの言葉とともに、新しい買い物の選択肢について考えたい。

ゴミを宝物に変えるアップサイクルプロジェクト「OFFICIAL GHOST」

不定期に更新される商品はどれもアレンジが施された1点もの。

今回の新プロジェクトは、以前から大沢さんがdeserticのデザイナー、平武朗さんとともに長らく温めてきたものだったという。それがこの状況もあり、リモートで出来ることを模索しているなかで、予定より早くローンチすることに至ったそうだ。

プロジェクトのテーマは、近年、モノづくりにおいて注目されているアップサイクル。衣料業界では、オーガニックコットンやブラックアルパカなど環境への負荷や雇用問題の分野でSDGsに力を入れる企業が増えているが、このアップサイクルの考えは、もっとしくみがシンプルである。古くなって廃棄させられてしまう服に、アイディアやデザインを施すことで、新たな価値に変えている。

現在サイト内で公開されているラインナップを見てみると、「リーバイス」や「ユナイテッド アスレ」などの誰もが知る定番アイテムが、ハンドプリントやドローイングによるアーティなアプローチによって新しい価値を生み出している。普通に好きな服として欲しくなるクオリティがあって、さらに「廃材を使っている」というストーリーがより商品の魅力を引き立たせている印象がある。

「新しいものを生み出すためのマテリアルが、新しく生産されたものでなくても良いと思うのです。あらゆるデザインは1960年代までにほぼ原型が作られたものが多い気がします。それらは組み合わせの妙で今でも進化していると思いますが、『初期衝動の純粋さ』みたいなものはプロダクトにも存在すると感じていて、そういうものは替えが効かない。その反面、新しいものにしかない良さもあるので、全てはバランスだと思っています」

大沢さんがそう語るように、素材のストーリーを大切にしながら生み出された商品たちが、また新たなストーリーを紡いでいるということが、これまでのアップサイクルな商品を買う時の気持ちに較べて少し違う、より進化した消費意欲を沸き立たせてくれる。

一点物だからこそ生まれるアートな価値

「ユナイテッド アスレ」のボタンダウンシャツのバッグにロゴを描いた1枚。19,000円(税抜き)

アップサイクルの魅力はやはり「1点物」であるという希少性。既製服と異なりすべてオリジナルなため、1点1点柄や質感が異なるのも“ならでは”の価値であり、そこに作り手のクリエイションが存分に活かされている。

「アートの手法に関しては、お手本も何もなく思いつきでやっています。たとえば、昨日ハンドペイントで塗った色が今日は気に入らない、だからその上に文字を書き加えるという具合に、クリエイションに終わりを設ける必要もないと思っています」

「リーバイス®️」の「 511 premium」は「GINZA MUSIC BAR」でもお馴染みのイヴ・クライン・ブルーがメインカラーとしてペイントされている。

アップサイクルという言葉が謳い文句にならずに、ユーザーに自然とその価値を共有できているブランドこそ支持したくなる。そういう点でも大沢さんのプロジェクトからは、「今あるものを、アイデアでゴミにしない」という強いメッセージを感じとることができる。

「このプロジェクトは本当に微生物レベルの規模ですが、実際に僕らが手掛けるモノだけではなくこの考え方やアイデア自体が拡散していくことが大事なのだと思っています」と、大沢さんが言うように、個々が意識を変えてその輪が広がることで、いずれ社会全体を巻き込むようなドラスティックな変化が起こるかもしれない。

OFFICIAL GHOST オフィシャル ロンtee 7,800円(税抜き)

服だけでなく、家具や音楽まで…。ジャンルレスに展開するプロジェクト

プロジェクトは今後、洋服だけでなく家具やアート、音楽などジャンルを拡充していくとのこと。 “廃棄だから良い”という考え方ではなく、ユーザーはあくまでそのデザインに共鳴して商品を購入する。そして手に取ったものがアップサイクルのストーリーを持っていることでそれが魅力となり、モノの循環が自然に促される。このようなサイクルがコンスタントに続くことで、モノの捨て方や流れも変わり、買い物の選択肢が広がるかもしれない。まずは、サイトを覗いてアップサイクルプロダクトの中からお気に入りを探したり、自分の周りの不要なモノに手を加えてみるのもアップサイクルの第一歩だ。

現在、「OFFICIAL GHOST」では、オックスフォード素材や柄物で仕立てられたトラッドなボタンダウンシャツを募集中とのこと。アップサイクルの活動に少しでも興味がある人はぜひ、下記のURLからチェックを。https://thebase.in/inquiry/oghost-theshop-jp

大沢伸一(オオサワ シンイチ)
音楽家。SHINICHI OSAWA、MONDO GROSSO、RHYME SO、他のアーティスト・プロデュース、サウンドトラック、など多くの音楽プロジェクトを手掛ける他、アナログレコードに特化したバー GINZA MUSIC BARもプロデュースしている。
http://www.shinichi-osawa.com/

平 武朗(タイラ タケアキ)
deserticデザイナー。2006年deserticを設立。Vintage Knitのアップサイクル Liquid Knit ParkaはCOMME des GARÇONSやknoll textileで展開され、desertic patchworkはknit chair x EAMESチェアをプロデュースするなど、アパレルに限らずインテリアからプロダクトデザインも手がける。
http://www.desertic-tokyo.com

MORE INFO:

OFFICIAL GHOST

エリア: 注目商品・サービス
公式WEB: https://oghost.theshop.jp