4月18日夜。m-floの☆Taku Takahashiさんが立ち上げた音楽・ポップカルチャーを紹介するメディア「block.fm」がオンラインでの音楽フェスを開催した。外出制限が続きライブやクラブなどフィジカルな音楽体験ができなくなることでアーチストや興行主が危機的な状況に陥っている。様々な支援プロジェクトが始まる中で、比較的早い段階でアナウンスされ開催されたフェスだ。Vol.0となった今回は、☆Taku TakahashiやCharaのほか、クラブシーンを牽引する存在であるShinichi Osawa(大沢伸一)も参加した。イベントは大きな反響を呼び、約48万人が視聴。LINE LIVEの応援アイテムを使った「投げ銭」システムや、「自宅にフェスTシャツが届く」仕組みなどによる応援という形の支援は770万円以上集まった。
このVol.0の発起人の一人である大沢伸一さんは、新型コロナウイルス禍で激震する音楽シーンの当事者中の当事者だ。クラブミュージックを愛し、GINZA MUSIC BARをはじめ音楽を楽しむ空間プロデュースも行っている。そんな大沢さんが何を思い、どんな未来を指向しているのか、緊急取材にお答えいただいた。
まず、仕事、プライベートの影響についてお聞かせください。
もともと自宅とスタジオの行き来が中心の生活だったのでそこまでダメージのある変化ではなかったです。しかしながら外国に行けない、人と会えない、外食できないストレスは相当ですね。
では、コロナ禍の中で大沢さんが何を感じ、何を学んだのか、教えてください。
数年後の家賃の心配ではなく、今夜の夕食で食べる有機野菜のありがたみ、というような小さなことから、大げさに言えば人生でもっとも何を大事にするか?を考えさせられる日々です。
音楽シーンにおいても、ライブハウス、クラブといったフィジカルな音楽体験の場が奪われ、一方でサブスク配信がさらに成長。オンラインを通じたアーチストとファンのつながりも加速しています。コロナ禍後の音楽シーンについて、アーチストの立場から思うところをお聞かせください。
当たり前に存在していた環境のありがたみを感じつつ、クリエイションに向かう姿勢そのものを問われる時代が来たと痛感しています。まやかしの装飾でブーストされた刺激ではなく、作品そのものが持つべきエネルギーやヴァイブレーションを高める必要を感じています。
そして、先日行われた BLOCK.FESTIVALについて、どんな経緯で開催されたのでしょうか?
☆TakuくんとTwitterでオンラインフェスをやろうって話で盛り上がってはじまりました。当然ながら彼はblock.fmもやっていてインフラ構築に長けているので、僕が乗っかる形になりました。結果僕はやはりいちクリエイター/アーティストであってオーガナイザーには向かないんですかね(笑)。
いえいえ。途中、ベースを持ち出した時はびっくりしましたし、生演奏は大反響でしたね。

一人で複数の音源を駆使した演奏だったのですが、DJではない表現でパフォーマンスをやろうと当初からおもっていたのでMONDO GROSSOの新旧の曲を選び再構築し、生演奏を交えたハイブリッドなセットにしました。結果沢山の方からとても良いフィードバックもらって、手応えも感じました。今後さらにその先にどんな表現が出来るのか実験を始めています。
さて、家に閉じこもる中で、前向きに、モチベーションを保つために、どんな気持ち、あるいはどんなアクションが必要だとおもいますか?
言い方がおかしいかもしれませんが、生活にゲーム感覚を持ち込むことですかね?限られた環境の中で何が出来るのか?挑戦することは人間の精神を正常に保つのにとても重要な鍵です。あとは難しいことじゃなく簡単な瞑想の時間を持つ。スキな音楽を聞いて眠らずに目を閉じる。そんなことで意外と気持ちがよくなる。
なるほど。最後にコロナ禍後、世界はどうなっていくのか、読者にメッセージを。
リモートという形でしかできないことも、自粛期間に物理的に仕込むことも大いに楽しみながらやっていきましょう。僕らは社会の一部なんじゃなく一人ひとりが宇宙をもっているはず。己の人生にもっとも必要なものを持てないなら僕はそんな人生要らない、死んだほうがまし。そして死ぬくらいならなんでも出来る。そんなわけで死ぬ気で音楽全うします。
先述のBLOCK.FESTIVALは、規模を拡大してVol.1としてスケールアップして5月5日(火)に開催される。オンラインライブ、投げ銭形式、トークや演奏を織り交ぜたコミュニティライクな演出。それらを実現するテクノロジー自体は元々あったし、そういうサービスもあった。コロナ禍により、こうしたエンタテイメントを今、加速させているのは、ライブハウスやクラブの音楽シーンで観客を楽しませているアーチストたちという逆説。まさに時代の急激な変化を予感させる。
ただ、ステージが変わっても、テクノロジーがどれだけ進化しても、「作品そのものが持つべきエネルギーやヴァイブレーション」こそが観客を魅了することに変わりはないと大沢さんは語る。作品への熱量、クリエイションに向き合う姿勢こそが、これからのアーチストが生き残るキーファクターなのだ。
そして最後のメッセージが僕らを勇気づけてくれる。「僕らは社会の一部なんじゃなく一人ひとりが宇宙をもっている」。
そう、ウイルスという壮大な不可抗力と、政治や経済といった外部環境としての社会に翻弄される「社会の一部」としての自分。その一方で、こうして自宅に閉じこもる中で、失ったもの、取り返したいもの、本当に必要なものに気付く自分がいて、そこには“いまできること”を選択する自由を持った「自分の宇宙」があるはずだ。今こそ、自分という世界をどう作っていくか、考え、アクションを起こし、そしてそんな自分の楽しむことが大切なのだ。
明日はヨシダナギさんのSTAY HOME AND GET READYをお届けする。

大沢伸一
音楽家、DJ、プロデューサー、選曲家。MONDO GROSSO、RHYME SOとして活動する他、国内外の様々なアーティストをプロデュース、広告音楽、空間音楽やサウンドトラックを制作。また、アナログレコードにフォーカスしたミュージックバーのプロデュースも手掛ける。
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