清澄白河の東京都現代美術館にて、企画展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が、2021年2月14日(日)まで開催中だ。本展は、東京に生まれ、アートディレクター、デザイナーとして、多岐に渡る分野で新しい時代を切り開きつつ世界を舞台に活躍した、石岡瑛子(1938-2012)の世界初の大規模な回顧展。時代を画した初期の広告キャンペーンから、映画、オペラ、演劇、サーカス、ミュージック・ビデオ、オリンピックのプロジェクトなど、その唯一無二の個性と情熱が刻印された仕事を総覧できる、またとない機会だ。その圧倒的なエネルギーに触れて、重苦しい日常からひとときのエスケープをしよう。
「血がデザインできるか、汗がデザインできるか、涙がデザインできるか」──本展のタイトルにも掲げられているこの言葉は、石岡瑛子のデザインに対する想いの全てを物語っている。アートディレクター、そしてデザイナーとして多岐にわたる分野で活躍した石岡瑛子にとって、いかにして感情を、自らの熱気を、デザインというボキャブラリーで伝えることができるか、ということが最重要課題であった。

自伝『私デザイン』にも克明に記述されているように、石岡瑛子の仕事は、マイルス・デイヴィス、レニ・リーフェンシュタール、フランシス・フォード・コッポラ、ビョーク、ターセム・シンら名だたる表現者たちとの緊張感に満ちたコラボレーションの連続で生み出されてきた。
本展では、世界最高峰のプロフェッショナルたちとの集団制作の中で、個のクリエイティビティをいかに発揮するかに賭けた「石岡瑛子の方法」を、デザインのプロセスを示す膨大な資料とともに展示。パルコなどの広告を筆頭に、映画やオペラ、そしてオリンピックのプロジェクトにまでいたるその仕事の数々を、時代・出会い・未知という視点から紹介している。
展示構成は大きく3つから成る。

第1章では、『西洋は東洋を着こなせるか』をはじめとするパルコや角川書店の広告などを通して、1960年代の高度経済成長期から80年代に至る、日本大衆文化の成熟を辿る。
石岡瑛子は、前田美波里を起用した資生堂のポスターやパルコの広告において、ジェンダーや国境といった既存の枠組みを刷新し、視覚表現によって新たな生き方を提案した。時代をデザインしつつ時代を超越しようとする姿勢は、その後の彼女の展開を予言するようで興味深い。

第2章では、グラミー賞を受賞したマイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』や、アカデミー賞衣装デザイン賞に輝いた映画『ドラキュラ』の壮麗な衣装などを展示。集団制作のなかで自らのオリジナリティを発揮することで生まれた豊かな表現を、制作過程とともに紹介している。

第3章では、地域や時代を超えた未知の視覚領域へとかたちを与えてゆく後半生の仕事を総覧。2008年北京オリンピック開会式のユニフォームや映画『白雪姫と鏡の女王』の衣装、ワーグナーのオペラ《ニーベルングの指環》の舞台衣装などを通して、永遠性や夢といった普遍的なテーマを足がかりに、人間の可能性を拡張する石岡瑛子の表現に迫る。
常に新たな領域へと果敢に越境し続けた石岡瑛子自身の人生を辿る本展。シンプルに「こんなにすごい日本人がいたのか」と驚くとともに、さまざまなボーダーを越え、あらゆる「私」の可能性を拡張し続けた石岡瑛子の仕事ぶりは、2020年の現在を生きる私たちに力強いメッセージを投げかけてくれる。
アイキャッチ画像 クレジット:
石岡瑛子 映画『白雪姫と鏡の女王』(ターセム・シン監督、2012年)衣装デザイン
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| 住所: | 〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1−1 東京都現代美術館 |
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| 電話番号: | 03-5777-8600 |
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| 営業時間: |
火曜日 10:00〜18:00 水曜日 10:00〜18:00 木曜日 10:00〜18:00 金曜日 10:00〜18:00 土曜日 10:00〜18:00 日曜日 10:00〜18:00 祝日 10:00〜18:00 |
| 定休日: | 月曜日(2021年1月11日(月)は開館)、12月28日(月)〜2021年1月1日(金)、1月12日(火) |
| 公式WEB: | https://www.mot-art-museum.jp/ |
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