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月額制で自然豊かなセカンドホームをサブスク-SANU誕生の舞台裏

月額制で自然豊かなセカンドホームをサブスク-SANU誕生の舞台裏

月額たった5万円(税別)で自然豊かな “もうひとつの家”を提供するサブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」が話題だ。この画期的なライフスタイルを生み出すブランド「SANU」の創業者である本間貴裕さんと福島弦さんにその想いを訊いた。

株式会社SanuのFounder, Brand Director本間貴裕さん(右)とCEOの福島弦さん

ルーツは自然、偶然の出会いから必然の構想へ

本間貴裕さんといえば、23歳で「株式会社Backpackers’ Japan(以下、BJ)」を起業し、2010年に東京に1軒目のゲストハウスtoco.をオープン。以後、Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE、Len、CITANなどを次々に開業。いずれもクリエイティブかつソーシャルな新しい概念の宿泊施設として注目を集めた。そして2020年7月にBJを突然退任し、新しいビジネスを立ち上げることを表明。業界内外で彼の動向が注目される中、満を持して発表されたのが新ブランドSANUなのだ。

本間:BJではホステルとかゲストハウス、ホテルをつくって運営するという仕事で、基本、東京・京都・大阪という都市部を中心に働いてきたんですね。「人と人をつなぐ、あらゆる境界線を越えて人々が集える場所」っていうコンセプトでやってきたんですけれど、それはまさに僕の生き方そのものでした。
一方、僕の生まれは福島県の会津若松で、磐梯山というきれいな山と猪苗代湖などの湖がいっぱいあるところで遊んで育ちました。10年都会で仕事をしている中で、もうちょっと自然の中に入るような生活をしたいなって思い始めたんです。

BJで自分の生き方をそのまま仕事に昇華してきたように、本間さんは、彼自身のこれからの生き方を見直し、その想いをこれからのビジネスに結びつける。この構想は、今から3年ほど前に始まったという。そしてその当時に出会い、新ブランド立ち上げのパートナーとなる福島弦さんと日々、事業構想を議論していった。

福島:僕も北海道の岩見沢出身で、同じようにルーツが自然にありました。それで、本間と出会った当時は、その「人と自然をつなぐ」って何なんだっていうのをずっと議論してましたね。最終的に出てきた言葉が、“Live with nature”、自然と共に生きるという言葉です。それを情報として発信するだけじゃなくて、ちゃんと体験・経験として提供していきたいと。

本間:そして、体験を通して自然を好きな人を増やそうと。なぜなら、好きな人が増えなかったら守ろうって思えない。逆に言えば、好きって思えばきっと守ろうって思う未来があると考えました。それが “Live with nature”というコンセプトに込めた想いです。

「自然と共に生きる」は、言うは易し、だ。都会にいながら自然を体験するには旅行に行って短期間のアクティビティを体験するという手もあるが、それだけでは「共に生きる」ということにはならない。かといって、すべてを捨てて都会を離れるほど現実生活は簡単ではない。そこで、都会に生きる今の暮らしの延長で「自然と共に生きる」術を考え、事業化につなげるキーワードとして、「セカンドホーム」と「サブスクリプション」という提供形態に行き着く。

福島:事業化にあたって、たくさん選択肢がありました。ただ、本間のキャリアがやっぱりホテルをつくるということだったので、空間をつくって、人が滞在する場所をつくるという土台はあるなと。そこで大事にしたかったのは、身近な自然に“繰り返し通う”ということ。だから、単発で宿泊するホテルではなく、「セカンドホーム」という形を選択しました。
それからあるとき、コロナ禍で僕は三浦半島のほうに小さなトレーラーハウスを借りて、豊かな自然の中で仕事もしながらゆっくりした時間を過ごしたんですね。そこでZoomのミーティングに参加したり、本を読んだり、夜ひとりでご飯を食べたりとか。これすごくいいなと思って。でも、1泊にまあまあの金額をかけているから、もう1回使おうと思ったら結構重たいなと思ったんです。月に5万円くらいで通えるようになったら面白いよねっていう話をし始めたのが最初ですね。

ホテルでも別荘でもない、もうひとつの暮らしの拠点という意味でのセカンドホーム。そして、いつでも好きなときに好きなだけ利用できる定額制のサービス。まさに「繰り返し通う」環境をつくることで、実生活と自然に触れる生活が地続きになり「共に生きる感覚」に近づく。
さらに、提供エリアについてもコンセプトの一貫性がある。今回手始めに展開するセカンドホームは東京近郊の人をターゲットに白樺湖、みなかみ、熱海など都心から片道約2時間のエリアをラインナップ。目的に合わせて、いつでも好きな拠点を選択して滞在することができるという。

本間:繰り返し通う場所って、すごく遠い、海を越えて7時間、8時間かけて行くようなリゾートではないと思うんですよね。それよりは、生活の延長で月に数回通える、ある程度生活の中の予算としてきちんと確定させた枠があって、その中で何度も行けるような場所がいいと思ったんです。実際、東京からちょっと離れただけで自然にあふれた場所はいっぱいありますからね。

デザインはシンプルに。提供するのは「白い器」

さて、そんなSANUのセカンドホーム。注目の内装や設備は、BJを知っている読者なら意外に思ってしまうほどミニマムでシンプルなつくりになっている。BJ時代の本間さんのクリエイティブアプローチを見ていると、アシッドな世界観だったり、都会とアナログ感を融合させたりと、独特の「色」を持っていた。しかし今回は、まったく違うアプローチだ。

本間:SANUでは、あんまり奇を衒ったり「デザイン、デザイン」してなくて、シンプルな白と杢を基調としたものにしたかったんです。地元のそこら辺に咲いている野バラとか花を摘んできて、ちょっと生けると、その色になる。その季節がそこに表出するっていうところを、僕らは大事にしています。

福島:たとえば、オールバーズのように靴1個で、本当にシングルプロダクトで情報レスにすることで、本来忘れていた感覚を生活者に感じてもらうブランドってあるじゃないですか。僕らも同じ考え方で、基本的にはキャビンをとにかくシンプルにして、コンフォタブルにすることで、周りから鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえてくるかもしれないし、地元のおじちゃんやおばちゃんのおいしい味が感じられるのかもしれない。そこがブランドとしてのシンプリシティーをつくっていることのすごく重要な意味だと思います。そのほうが、取るべき情報をお客様が得られる状態になる。

もちろん、彼らが手がけるだけあってキャビン式の家の外観や内装はシンプルながらハイセンスな作りになっている。合掌造りと山に着想を得たという台形式のフォルムは物語に出てきそうな美観を感じさせるし、屋内は高さ4mの天井と雄大な景観を部屋に取り込む大きな窓があり、開放感のある空間を生み出している。木目の色合いも爽やかなベージュ色で、自然の中でたおやかな日光を浴びて寛ぐ時間がたやすくイメージできる。

福島:各拠点のキャビンの内装と設備は全部一緒にしました。 60平米の部屋と13平米のウッドデッキになっているんですけど、調味料も含めて設備の整ったキッチンがあって、洗濯機があって、もちろん水回りも全部あって……。生活するのに困らないすべてがそろっています。

本間:なので、SANUというブランドが担保するのは体験ではあるんですが、キャビンはあくまでその拠点。体験自体はお客様自身が選び取っていくっていうのがSANUだと思っています。

そう。SANUが提供する体験はあくまで利用者自身が生活の中でつくるもの。空間としての居心地は存分に提供しながらも、あくまで利用者を「生活者」と捉える。その生活拠点としてのSANUは「白い器」になるのだと本間さんは語る。

本間:僕らの提供するものとしては、その白い器を用意してあげて、そこに盛り付けるものはそれぞれお客様で選び取るっていうのも面白いんじゃないかなと思っています。あくまで、お客様自身がもうひとつの家で、自分たちで生活を営むということを提案しているんです。それが“生活者であろう”ということです。

確かに、ラグジュアリーなリゾートホテルや老舗の温泉旅館でプリフィックスされた「地元料理」を堪能することもひとつの楽しみであるが、その食事に地元の暮らしまでを感じることは難しい。生活をする、アクティブに地元を巡りながら食事や人との触れあいを重ねることで「もうひとつの家」を獲得する。それはホテルや旅館とはまったく別の体験だ。SANUのキャビンはそうした活動を促すように設計されているわけだ。

福島:それがブランドとして共通の「器」ということなんです。どこに行っても同じ「器」がちゃんとある。民泊だと皿があったりなかったり、こっちにはこれがあったけどこっちにはないとか、行ってみないとわからないところがありますが、「SANU 2nd Home」はどこに行っても同じ設備が整っています。
ただ一方で、じゃあみなさんが、アクティブに動けるか、手放しで全部できるかっていうとそうではないですよね。僕らとしては、SANUで体験して欲しいことを実現するために地元の魅力も発信していきたいと思っています。たとえば、おすすめのお店をマップに落としたり、トレイルランやサーフィンのスポットとか、地元にキノコ狩りの名人がいたら、その人たちと一緒に行けるツアーの情報を提供したり。出張して朝ごはんをつくってくれる地元の方がいれば、その朝ごはんを届けてもらえる仕組みをインストールしたりといった感じで。

「自然と共に生きる」をずっと考えていく

そして彼らが強調するのは、SANUは、今回提供するサブスクリプションサービスだけではなく、「自然と共に生きる」というコンセプトを10年、20年、30年と培っていくブランドである、ということだ。

本間:僕たちは「自然と共に生きる」とは何かっていうのを、ずっと考え続けて発信し続けるのがSANUであると思っています。そのメディアが今回のセカンドホームだと思うんですよ。このメディアはきっと、ホテルにもなり得るし、レジデンスにもなり得るし、衣服にもなり得るし、食器にもなり得るわけなんですが、そういったものを通して、じゃあ人はどう生活していくのかっていうのを考え続けて発信していくのがSANUであると思います。

本間さんと福島さんの壮大なビジョンからはじまった第一歩が「SANU 2nd Home」。月額5万円(税別)からでセカンドホームを使い放題という手軽さの先には、このブランドと一緒に「自然と共に生きる」という幸福な暮らしを多くの人が手に入れる未来が待っている。次回は、引き続き本間さんと福島さんに加え、弊誌編集長・島崎とともに、都会にいながら自然と共に生きることの幸せについて深掘りしていく。