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HOME SPECIAL 今日を愉しむモノゴト集め 新たな切り口でレオナール・フジタの創作源に迫る、「藤田嗣治7つの情熱」
新たな切り口でレオナール・フジタの創作源に迫る、「藤田嗣治7つの情熱」

VOL.147 新たな切り口でレオナール・フジタの創作源に迫る、「藤田嗣治7つの情熱」

レオナール・フジタの名でも知られる画家・藤田嗣治の展覧会「藤田嗣治 ―7つの情熱」が、東京・新宿のSOMPO美術館にて2025年4月12日(土)から6月22日(日)まで開催される。自画像や女性、宗教画など、藤田が生涯にわたり情熱をささげた7つのテーマを柱に、日本とフランスの両国に生きながら、絵筆をとりつづけた藤田の人生と、その創作の源泉に迫る。

「乳白色の肌」で一世を風靡した日本人画家、藤田嗣治

少年期より画家を志した藤田嗣治(レオナール・フジタ/1886-1968)は、東京美術学校卒業後、 1913年、26歳で渡仏。当時、先端的な美術の中心地であったパリで、ピカソやモディリアーニらと交流し、 キュビスムをはじめとする前衛芸術運動に触れたのち、20年代には、藤田の代名詞ともいえる「乳白色の肌」や、面相筆による墨の線が特徴的な独自の画風を築いた。1932年に南アメリカ経由で帰国するものの、日本では正当な評価を得られず、太平洋戦争後はフランスに帰化。カトリックの洗礼を受け、晩年は純真な子どもを主題とする作品を描き、81歳スイスのチューリッヒで没した。

藤田作品の魅力を7つの情熱から読み解く

本展では、藤田研究の第一人者として知られるシルヴィー・ビュイッソン氏の監修のもと、「自己表現」「風景」「前衛」「東方と西方」「女性」「子ども」「天国と天使」という7つのテーマで藤田作品の魅力を紹介。個人所蔵を含む国内外から集められた油彩、版画、資料など、150余点で構成する。

●「自己表現」
丸メガネ、オカッパ頭、口ひげ、イヤリングや洒落た服装…。藤田は作品とともに、その外観が広く知られた画家の一人ではないだろうか。フランスと日本、伝統的教育と前衛というふたつの文化の狭間で、自らのイメージもオリジナルの境地を確立したいと考えたのかもしれない。

●「風景」
世界各地を訪れた藤田は、その先々の風景を描いた。特に1914年、パリ周辺を描いた風景画は、藤田独自のスタイルをもたらすことになった。

●「前衛」
藤田が最初に渡仏した1913年、パリではフォーヴィスムやキュビスムといった前衛芸術が全盛期を迎えていた。衝撃を受けた藤田は、その様式を試みるなかで新たな境地を切り開いていく。また、東郷青児、海老原喜之助など、これまで藤田展ではあまり紹介されなかった、関わりの深い日本人作家9名の作品を第二部として展示。情熱を受け継いでいった日本人画家の作品から、藤田が同時代に果たした役割を捉え直す内容となっている。

●「東方と西方」
第一次世界大戦中もパリに留まった藤田は、あらためて日本の文化を見つめ直す機会を得た。流行を追いかけるのではない、自分だけの様式を模索していた藤田は、面相筆を使った極細の黒い墨の線や、金屏風を連想させる黄金色の背景、浮世絵に共通する独特のしぐさ、仏像のようなアーモンド形の眼など、日本美術の要素を積極的に自作に取り入れていった。

●「女性」
1920年代、藤田は代名詞ともいえる「乳白色の裸婦」で高く評価され、その名が広く知られるように。この藤田の裸婦像の誕生には、1924年からともに暮らし始めた妻リュシー・バドゥーの存在が大きな役割を果たした。彼女の肌の白さを表現しようと、藤田は画材の研究を重ねたからだ。1931年、藤田は新たに妻となったマドレーヌ・ルクーとブラジルに旅立つ。マドレーヌは1930年代以降、金髪で流麗な曲線を持つ裸婦像の着想源となった。

●「子ども」
藤田は晩年に近づくにつれて、風刺画を中心に独特の容貌を持つ子どもたちの姿を描くようになった。純真無垢で恐れを知らず、自然に最も近い存在といえる子どもたちを愛した藤田は、彼らに自分の理想の姿を重ねていたのかもしれない。

●「天国と天使」
カトリック系の学校でフランス語を学ぶなど、早い段階からキリスト教やキリスト教美術に接していたという藤田。最初の渡仏から間もない1910年代後半には、すでにイタリア初期ルネサンス風のキリストの「生誕図」や「磔刑図」などを描いていた。1959年、藤田は洗礼を受け、キリスト教徒に。その情熱は、1966年に内装を手掛けたランスにあるシャペル・ノートル=ダム・ド・ラ・ぺ(平和の聖母礼拝堂)において頂点に達した。

藤田の人生が映し出された作品を「7つの情熱」という新たな切り口から改めて眺めることで、これまでには気づかなかった彼の人間性や魅力にも出会えるのではないだろうか。

藤田嗣治 7つの情熱
会期:2025年4月12日(土)〜2025年6月22日(日)
会場:SOMPO美術館
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2024/tsuguharu-foujita/