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HOME SPECIAL 今日を愉しむモノゴト集め 話題の“行きたくなるフードコート”、二子玉川「P.」の正体
話題の“行きたくなるフードコート”、二子玉川「P.」の正体

VOL.155 話題の“行きたくなるフードコート”、二子玉川「P.」の正体

フードコートと聞くと、どこか「ついで」「とにかく手早く」な場所という印象を抱きがちである。しかし、二子玉川の玉川高島屋ショッピングセンターの一角にある「P.」は、目的地として成立するフードコートだ。友達に「ここ行きたくない?」とインスタのリンクを送りたくなるような場所。ここにしかない空間と、ここだからこそ実現するラインナップがいま、話題を集めている。ちなみに読み方はピー、らしい。

文・稲垣美緒(Harumari TOKYO編集部)

2025年のGWに、玉川高島屋 S・Cの1階に誕生した「P.」は、4つの個性ある飲食店が軒を連ねるコンパクトなフードコート。だが、その“フードコートらしからぬ”構成が、いまの東京の空気にしっかりとフィットしている。
出店しているのは、珠玉の4店舗。

まずは朝9時からスタートする〈Mini Massif〉。池尻大橋の人気イノベーティブレストラン「Massif」の小型業態であり、スペシャルティコーヒーやサワードウのパン、ナチュラルワインなどを提供する。

出勤前の一杯や遅めの朝食にも重宝する。コーヒースタンドのようでありながら、腰を落ち着けて過ごせる居心地のよさがある。夜はワインバーとして使えるのも良い。

次に〈ADICURRY〉。中目黒の「ADI」から派生した、ネパールの家庭料理をベースとするカレー店である。チキンカレーに加え、副菜5種がワンプレートに収まる、いわゆる“ミールズ”の構成は、目にも舌にも楽しい。

スパイスに頼りすぎない優しい味付けが、「毎週でも食べたい」と思わせてくれる。シェフのアディカリ・カンチャンが手がけるネパールティー専門店「Chiyaba」のチャイに加え、ラッシー、ネパールビール、そしてADIオリジナルのジントニックやラムチャイまで楽しめるとあって、レストランさながらのラインナップだ。

〈Mikkeller Burger〉は、デンマーク発のクラフトビールブランドによる和牛スマッシュバーガーの専門店。なんとフードコートでありながら常時10種以上のクラフトビールとともに、力強いパティの味わいを楽しめる。

昼飲み需要も高く、週末には外のベンチ席で気ままに過ごす姿が見られる。チビサイズのグラスもあるので、なんとなく「じゃ、せっかくだから飲もうかな」なんて空気になってしまうのがニクい。

最後は〈PIZZA SLICE〉。ファミリー層に大人気のピザはフードコートには外せないが、ここには代官山や日本橋のフードコート「カミサリー(COMMISSARY)」の大人気店が降臨した。都内のピザカルチャーをけん引する存在で、定番のスライスピザはもちろん、特別なフレーバーも含め、なんと常時約8種類をラインアップ。

薄くてパリッとした生地が特徴で、片手で気軽につまめる軽快さが魅力だ。ひとりでも気負わずに入れる空気感は、「今日は何食べよう?」の答えに自然と浮かぶ存在になりつつある。

「P.」の店舗は、それぞれが独立していても成立する強烈な個性を持ちつつ、隣り合っていても違和感がない。この絶妙なバランスこそが、今の飲食シーンにおける“正解”のひとつなのではないだろうか。

空間設計が心地良いのも、店舗の顔ぶれに負けない大きな魅力。テラコッタのカウンターや石畳の床、大きな引き戸など、細部にわたって心地良さと使いやすさが両立されている。

通りに面した開放的なつくりも相まって、ふらっと立ち寄りたくなる。昨今の気候だと、ハワイかどこかのお店にも感じられるから不思議だ。

筆者の周りでは「朝から夜遅くまで使える」「それぞれの料理がちゃんと美味しい」などの声が多く聞かれる。いわゆる“バズ系グルメ”ではなく、行った人が自然と推したくなる場所としての信頼感がある。

もちろん、従来型のフードコートにある利便性やファミリー対応力には及ばない部分もある。だが、「ちょっと良い昼食を気軽に食べたい」「仕事終わりに一杯飲みたい」──そんな私たちの日常の“ちょうど良い”に、自然と寄り添ってくれる場所である。

今どきの飲食の価値観は、「安くて早い」だけでは語れない。味・空間・過ごし方のバランスが、しっかり整っていること。そんな“今の気分”を反映した選択肢として、「P.」は注目の存在だ。

P.
WEB:https://p.ublic.jp/