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ただの作品鑑賞ではない。令和を生きるわたしたちにとって「映画」とは?

ただの作品鑑賞ではない。令和を生きるわたしたちにとって「映画」とは?

DATE:
2025.12.08

Harumari TOKYOは映画が好きだ。それは、映画そのものというよりも、“映画館に行く”という行動そのものが好きだといえる。個性あふれるミニシアター、まるでテーマパークのようにワクワクする大型シネコン。観る作品だけでなく、その場でしか味わえない鑑賞体験までもが心を潤してくれる。近年、その鑑賞体験は「映画館に行く」ことを超えて、より日常的になっている。その変化は、私たちに何をもたらしているだろうか。

映画を取り巻く環境の変化

ここ数年、「映画とのつき合い方」は確実に変わった。
特に2020年のコロナ禍を経て普及した動画配信サービスによって、新作も旧作も自宅や移動中にすぐ観られるようになり、“映画=映画館へ行くこと”という関係性は、大きく書き換えられたといえるだろう。

日本映画製作者連盟によれば、2024年の国内興行収入は約2,070億円。
そのうち邦画が約75%を占め、アニメは2000年以降で最大のシェアに達したという。
洋画は全体の4分の1ほど。若年層を中心に、邦画やアニメの劇場版が圧倒的に存在感を示し、観客の選択がはっきり変化している。

こうした状況のなかで、30代・40代にとっての映画は少し複雑だ。若い頃の“映画”は、憧れの世界そのものだった。洋画の街並みや会話のテンポ、知らない国の空気感──そうしたものが、自分の“好み”や価値観をつくってきた。単なる娯楽ではなく、感性の土台そのものになっていたといってもいい。数多ある映画館から、お気に入りを見つけて「行きつけ」にするのもまた、長らく「映画好き」の楽しみでもある。

特集:行きつけにしたい映画館

しかし今、仕事や家庭の時間に追われながら映画を観ると、昔とはまったく違うところに反応している自分に気づく。映画そのものよりも、“いまの自分がどう受け取るか”のほうがはっきりしてくる。感性が成熟してきた年代だからこそ、映画が映すものの意味が変わってくる。

新しく生まれた、令和の「映画体験」

街にも同じ変化がある。
「野外シネマ」などのイベントはどこも人気で、老若男女が大きなスクリーンの前に集まり、それを夏や秋の風物詩として楽しむようになった。初夏の横浜の風物詩となった「SEA SIDE CINEMA(シーサイドシネマ)」や、本格的な夏の訪れを告げる恵比寿の「PICNIC CINEMA(ピクニックシネマ)」は仕事の帰りや買い物の合間にも訪れることができ、多くの都市生活者の日常の一部になっているといえるだろう。

また、映画作品を題材にしたアパレルやグッズも増え、キャラクターのTシャツやバッグを身につける人を見かけることも。新作のPRだけでなく、往年の名作や人気作品のコラボ商品をファッションとして楽しむ姿は決して珍しくない。

FREAK’S STORE

アパレルブランドとのコラボのみならず、スタジオ「A24」のように公式ショップがファッション雑貨を手がけている例も増えてきている。

A24 STORE powered by MOVIE WALKER STORE

作品世界がスクリーンを離れ、街のカルチャーやファッションの一部として根づきはじめているのだ。

大人になっても映画が生活の中で意味を持ち続けるのは、
自分の「好き」を表現したり、「変わらず好きなもの」を確かめたりする行為が、思った以上に人生に必要だからかもしれない。

大人になっても必要なものを教えてくれる

istock:LeMusique

同じ映画でも、どこを見るかで体験は大きく変わる。ある人は作品から時代の空気を読み取り、ある人は構図やビジュアルに惹かれ、またある人はキャラクターや世界観に自分の居場所を見つける。

映画というひとつのメディアの中に、まったく異なる“入り口”が共存している。
大人になって映画が面白くなるのは、その入り方の多さに気づけるようになるからだ。

これから紹介されていく人たちの言葉は、そのそれぞれの入口から映画を見たときに何が見えるのか──その違いをそっと示してくれるはずだ。
わたしたちにとって、映画がいまも“教えてくれる存在”であることを、改めて感じるだろう。