映画史上、絶世の美女として知られるとともに、出演映画ほぼすべてが主演作品、デビュー時からほぼ毎年、出演映画がある稀有な女優といえば、カトリーヌ・ドヌーヴの名が挙げられる。彼女が演じる役はいつも心に何か闇を抱えた女性が多かったが、先日公開された最新作『アンティークの祝祭』でも相変わらず一種の闇を感じる女性を演じている。
本作は、ドヌーヴ演じる老婦人クレールが、自分の死期が近いことを自覚して自分の人生のすべてが詰まった家を片づけようとする物語。長年集めていた「ティファニー」や「バカラ」などの高級アンティークを手放し、次々とヤードセールで処分していく。映画公開前から話題となっているのが、娘役で登場するドヌーヴの実の娘キアラ・マストロヤンニとの共演シーン。ドヌーヴとキアラはこれまでにも何度か親子役を演じたことがあったが、今回のような激しい親子関係を演じるのは初の試みとなる。
映画のキーとなるアンティークは彼女の生きざまの断片であり、切なく悲劇的な記憶を鮮明に蘇らせるもの。クレールのモノを手放すことで、心を掃除していく様子には誰もが共感することができるだろう。
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