グラフィックデザイナーが手がけるコーヒーショップ「CHOP COFFEE」。デザインとコーヒー、一見相容れないものには実は共通点があった。この店には、ものづくりへかけた情熱あふれる一杯に魅了された人々が集まっている。
特集 “me” TIME NAVIGATOR 表参道編 にて美容師の竹内由香里さんにおすすめしてもらったカフェ。
彼女を始め、近隣の人々にも愛される理由を探ってみることにした。

表参道を渋谷方面へそれ、入り組んだ道の先の住宅街にふと現れる「COFFEE」の文字。知らなければ、もしくは偶然迷い込まなければたどり着かないようなこの場所に、スタイリッシュな外観が目を引く「CHOP COFFEE OMOTESANDO」はある。
デザイン事務所・パイクデザインオフィスが手がけるコーヒーショップだ。

扉を開けると一変、店内はナチュラルな装い。木のぬくもり溢れるカウンターやテーブル。笑顔と明るい声で迎えてくれるバリスタも、気持ちがいい。オフィスの2階部分を改装して作られたという店の奥の壁には、デザインブッグが並びその面影を感じさせる。

CHOP COFFEEの店内には遊び心が溢れている。レジ前に置かれた「SUGAR」「SYROP」のやかん(本当に入っています!)、本になったメニューリスト。

コートフックは抜き出すとハンコになっていたり、壁や窓にはそのハンコが押されたデザインがあしらわれていたり、随所に仕掛けられたアイデア。他にもおもしろいアイテムがあるのではないかと高ぶる気持ちは 、まるで宝探しをしているよう。

なぜハンコ? と不思議に思うが、その答えは「CHOP」の意味にある。
「食材などを『切り刻む』のほかに、イギリス英語で『ハンコ』という意味があるんですよ。デザインに関わる『印刷・刷り物』とかけて、この名前にしました」。常連客と気さくに話をしていた、パイクデザインオフィス代表でありカフェオーナーのパイクさんはそう話す。
アーティストやクリエイターが多く集まる神宮前エリアだけに、そんなセンス溢れるコーヒースタンドがあると聞きつけ訪れる客も多い一方、周辺のオフィスで務める人、犬を連れた住民など近所の馴染み客も多いCHOP COFFEE。それは「”ただコーヒーを売るおしゃれな店”にはなりたくない」という、パイクさんの想いがあるからだろう。
自身が大のコーヒー好きで、古くからある喫茶店にも通うというパイクさん。「デザインの仕事に感性とクライアントへの愛が必要であるように、一杯のコーヒーにも作り手の感性とお客様への愛がある。それを感じられる店のコーヒーが好きなんです」。自身の店も、そんな店にしたいという。

言葉通り、一杯のコーヒーに妥協はない。自慢のハンドドリップコーヒーは、オリジナルブレンドからシングルオリジン、ディカフェまで4〜5種類ほど(380円 税込〜)。ラテなどのエスプレッソドリンクも取り揃える。豆はすべて自家焙煎、高品質のオランダ製の焙煎機もこだわりだ。
かっこいい店を作ることも、仕入れた豆で簡単にコーヒーを淹れることもできるが、CHOP COFFEEが目指すのはそういうものではない。「オフィスの広告塔でもギャラリーでもない。バリスタとの会話や丁寧なサービス、オリジナルのおいしいコーヒー。純粋にカフェとして楽しみに来て欲しいですね」。

デザインとコーヒー、ジャンルは違えど、ものを作ることにかける気持ちは共通しているのだ。現在、原宿・キャットストリート近くに2号店を持ち、4名のバリスタたちが2店舗を行き来する。はじめはそれぞれの店舗の客だった人が、バリスタに会いにもう一軒の方へ足を運ぶこともあるのだそう。
きっかけは“おしゃれな店”かもしれないが、気さくに声をかけてくれる心地よい距離感や、楽しい空間、そしてこだわりの一杯があるからこそ通いたくなる。つくり手の感性と愛のこもったコーヒーに出会いにCHOP COFFEEへ、ぜひ足を運んでみてほしい。
取材・文:RIN
| エリア: | 東京 / 表参道・原宿 |
|---|---|
| 住所: | 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目44−12 |
| 電話番号: | 03-6427-5335 |
| 営業時間: |
月曜日 9:30〜18:30 火曜日 9:30〜18:30 水曜日 9:30〜18:30 木曜日 9:30〜18:30 金曜日 9:30〜18:30 土曜日 11:00〜18:00 |
| 定休日: | 日曜日 |
| 公式WEB: | https://www.chopcoffee.com |
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