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観るだけじゃない!芝居のなかに入り込んで体験する、新感覚の演劇

観るだけじゃない!芝居のなかに入り込んで体験する、新感覚の演劇

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DATE:
2019.04.10

“劇メシ”って知っていますか? 演劇鑑賞は劇場でというのが一般的ですが、この劇メシは、身近にあるレストランが舞台。そんなちょっと変わったエンターテイメント“劇メシ”の体験レポートをお届けします。

レストランの店内すべてが舞台となる

劇メシの特徴は──

特徴1 レストランの空間が舞台
特徴2 食事をしながら楽しむ
特徴3 演目時間は短めの約60分

そのお店のフロア全体が舞台となり、お客さんが食事をするなかで劇が進んでいきます。言ってみれば、お客さんもエキストラの一部のような、お客さんが加わって舞台美術が完成するような感じです。

鑑賞作品は、劇メシ初期のオリジナル作品『キツネたちが円舞る夜』の再演でした。2016年にスタートした劇メシは、これまでに7作品を発表しています。3年目となる今年、記念すべき初期作品を月ごとにキャストを変え、3月から4ヵ月連続でトライアル公演を実施しているのです。劇メシにとっての最初の演目を観劇できるのは、ある意味貴重でした。

食事をしながら観劇できるのが魅力

今回、トライアル第一弾の3月公演が開催されたのは、三軒茶屋にある洋風居酒屋「ilco(イルコ)」。初めて訪れました。イタリアンをベースにした料理が楽しめるお店で、カウンターもあるので、ひとりでも友人とでもまた来たいなぁと思いました。観賞をきっかけに新しいお店を知ることができるのも嬉しいものです。

公演期間中のお店の営業はどうなっているのかというと……公演以外の時間帯は通常営業。お店の前にお花ではなく役者さんの名前が入った祝提灯が並んでいるのは、お店への配慮もあるんですね。でも、それはそれで劇メシの名物風景になっています。

演劇鑑賞のチケット(6,500円/税込)には食事と1ドリンクが付いています。この日のメニューは、ローストポーク シャリアピンソースをメインとした1プレート。一皿にまとまっているので、料理を取り分けたり、あれこれお皿を移動させる必要がない。観劇中でも食べやすかったです。

開場後、だいたい45分くらいから劇が始まります。もちろん開演してからも食事はOKです。1ドリンク付きですが、このお店には壁一面にワインセラーがあるので、ローストポークに合うワインを追加注文するのもよかったなぁと、ちょっぴり後悔しましたが、次回の楽しみにとっておこうと思います。

いつの間にか、ごく自然な流れで上演スタート

徐々にお腹が満たされてきた頃に、いよいよ開演です。どこからとなく役者さんたちがお店に入ってきて、客に溶け込むようにごく自然に劇は始まります。お店のカウンター、テーブル席、お店全体が舞台なので、自分の目の前を、横を、後ろを役者が動き回る。ものすごく間近でお芝居を見ることができるって、贅沢なことです。どの席にするのかによっても、見え方が変わってくるので、全体を見渡せる席がいいという場合は、開場ぴったりに来るのがよさそうです。

物語のあらすじは──とある政治家の娘が誘拐され、犯人は身代金の受け渡し場所としてこのレストランを指定。あらかじめ店員と客として刑事が潜入し、犯人を見つけ出そういう計画でしたが、刑事が店内の様子を探っている間に身代金の入ったカバンが消えてしまい……というコメディ強めのサスペンス。

店員、潜入捜査の刑事、ワケありカップル、怪しい2人組の男、おひとり様の女性……それぞれがぞれぞれの場所で芝居をするので、360度あっちを見たりこっちを見たり、せっかくの生のお芝居を見逃したくなくて集中力全開でした。どの役者を注目して観るのか、気になるキャラクターに注目してみるのもひとつです。

何か重要な目的があってこのお店にやって来た怪しい男性2人組。

イマドキ女子とモテたくて仕方のない男性のカップル。

ひとりで来店した女性客を口説く店員。

終演後には役者さんとのトークタイムもある

舞台と観客の境界線をなくすことによって、まるでその事件が起きた場所に偶然自分が居合わせたかのような参加型の劇で、本当にすぐ目の前でお芝居を見ることができます。ただ、こんなに近くで見ていたのに、「えっ、いつの間に?」って、自分のすぐそばで起きていた事件に気が付かない……なんてもことも(笑)。

あっという間の60分。既存のレストランでお客を巻き込んで演劇を成立させる──ありそうでなかったアイデアは新鮮でしたし、「やっぱりライブっていいなぁ」と演劇の楽しさを再確認できた夜でもありました。

そして、上演終了後には役者さんたちが客席を回ってトークタイム。感想を伝えたり、役について質問をしたり、直接語り合えるって特別な時間です。役者さんに興味を持つことでお芝居はもっと楽しくなるんだなぁと、演劇が久々だったこともあり、演劇モードのスイッチ、押してもらいました。

観劇後は、この舞台『キツネたちが円舞る夜』のタイトルにちなんだコラボデザート「キツネ色のクレマカタラーナ」(500円)も追加で注文。クレームブリュレのような味わいで、外はパリッとして香ばしくて中は濃厚、美味しかったです。

初の劇メシに参加してみて思ったのは、想像以上にカジュアルにお芝居を楽しめるということです。演劇鑑賞というと、少しは正装したほうがいいのかなって考えたりしますが、劇メシはランチやディナーを食べにいく感覚です。私は開場と同時に行き、ある程度食事を済ませてから観劇したので、集中して観ることができました。ひとそれぞれですが、食事を先にすることで自分自身がお店に馴染み、その場で劇が始まると、自分の居る場所で何かが起きるリアルな感覚が生まれる──より劇メシの世界観に浸れると思います。参考までに。

 

オフィシャルパンフレット(1500円・税込)

仕事柄、普段は映画を観る機会が多いのですが、劇メシならではの楽しさは、観るだけではなく、自分自身が芝居のなかに入り込んでいる感覚、体験している感覚というのでしょうか。映画鑑賞でも笑ったり泣いたりすることはありますが、それは自己完結型です。劇メシは、観客自身も感情を表現しているような、役者とキャッチボールというのは少し大袈裟ですが、一方通行ではない独特な雰囲気がある。映画とも一般的な演劇とも違う新しい劇メシ体験、面白かったです。

トライアル第二弾の4月公演は、同演目でキャストとお店を変えて開催されるので、気になった方は“劇メシ”を体験してみてください。

取材・文:新谷里映

 

【キツネたちが円舞る夜】4月公演
2019年4月19日(金)〜4月27日(土)全10公演
会場:WEEKEND GARAGE TOKYO(代官山)

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