HOME NEW TRENDS 東京 中央線沿い 高円寺駅 “妄想インドカレー”が誘う新境地。高円寺「ネグラ」が唯一無二な理由
“妄想インドカレー”が誘う新境地。高円寺「ネグラ」が唯一無二な理由

“妄想インドカレー”が誘う新境地。高円寺「ネグラ」が唯一無二な理由

名店といわれる東京のカレー店は数あれど、なぜか行きたくなる特別な魅力のあるお店には、ストーリーがあると思う。 “妄想でカレーをつくる”という一風変わった店・高円寺の「ネグラ」もそのひとつ。オーナーの大澤思朗さんがカレーに興味を持ったのは、伝統ある西洋料理の世界への反動からだった。それ以来、大澤さんがつくってきたカレーは100種類を優に超える。

カレーは“表現の余地”がある料理。

今から10数年前、オーナーの大澤思朗さんはイタリアンのコックをしていた。それも、どちらかと言えば伝統に則したかっちりしたイタリアンで、ネグラの雰囲気とは正反対。「いちソルジャーとして、シェフが求めることをいかに実現するか。そんな世界で働いていました」と大澤さんは笑う。それでも、料理の腕をコツコツと磨き、ステップアップしていくことは楽しかったという。

そんな大澤さんが当時抱えていたモヤモヤ。それは「レシピとにらめっこしてばかりで、お客さんの顔が見えない」ということだ。“お客さんを楽しませる”という料理の根本的な部分からは離れていく一方で、伝統とルールに縛られていることを実感していた。

そんななか参加したとある音楽イベントで、大澤さんはカルチャーショックを受けることとなる。「ケータリングです。自分の知っている飲食店とは全く違う。こんな自由な世界があるのかって驚きました」。今まで抑制されていたものが弾け飛んだ瞬間だった。「インドカレーを選んだのは、他の料理と比べて表現の余地がたくさん残されていると思ったから。インドカレーにもレシピはありますけど、そこに縛られていない、自由な感じがいいんですよね」。

大澤さんは、インドに行ったことがない。だから本場の味は想像するしかない。つまり、「妄想インドカレー」だ。店のコンセプトが生まれた理由は、あまりにも直球だった。「まだネグラしか名前がなかったころは、“南インドカレーをベースに独自のエッセンスを加えたカレー”くらいのイメージだったんです。でも妄想インドカレーという名前が付いたとたん、免罪符じゃないですけれど、インドでは使わないようなスパイスや食材を心置きなく使えるようになったんです」。

そんななかでも大澤さんが大切にしているというのが、素材選び。とくに野菜は多く使うだけに、毎日八百屋に足を運び、会話をしながら季節の野菜を仕入れるという。その仕入れの結果によって都度メニューを考えるというのだから、まさに料理人なのである。

ネグラがおもしろいのは、そのときだけのカレーに出会えること。日替わりならぬ「鍋替わり」で、つまりひとつのカレーはひとつの鍋しかつくらないのが特徴だ。朝つくったカレーが昼になくなれば、夜には違うカレーを出す。

「その日、その場の気持ちで即興的に作っています。だから、メニューはそのときによってまちまちで、気まぐれなんです」。店を出す前、ケータリングをしていたころには、レシピを書いていたこともあった。出張先ごとに異なる環境のなかで安定した味を出すためだ。そういうことを積み上げてきた経験があるからこそスパイスのセンスは磨かれ、インド人もびっくりなフリースタイルが生まれたのだろう。これまでにつくったカレーは、実に100種類以上にもなるという。インドでは絶対に使わない食材(例えばシラスなんかも!)も大澤さんの手に掛かればインディアンに早変わりだ。

たとえば今日のカレーは、ゴーヤのカレー。ネグラでは定番の副菜である砂肝と野菜のピクルスをベースに、冷製カレーとしてアレンジしたもの。冷たい肉系のカレーとは、なんとも斬新なスタイル。ゴーヤの苦みがアクセントになっているのがポイントだ。「野菜のやさしい味を楽しんで貰いたいので、スパイスは香りの強いパウダー状ではなく、ホールのまま使っています。そうすることで、じわっとくるスパイス感になるんです」。

また、日替わりではなく定番として君臨するタンドリーチキン(ライスの上に乗っているもの)は、ぜひトッピングをオススメしたい一品。火入れはタンドリー釜でもオーブンでもなく、コンフィだ。鶏肉が浸る程の油を引き、低温でじっくり火を通しているからジューシーに仕上がっている。

それから、一緒に合わせるドリンクはしびれるチャイ。「カレーはスパイスを最小限にした野菜を楽しむカレーなので、対照的にスパイシーさをガツンと感じられれる一杯にしました」と大澤さんが言うとおり、そのシビレの基はネパール山椒。シナモンやカルダモンと一緒に煮出すことでぴりっとしびれる、くせになる味に。

縛られた世界から飛び出した末に生まれた自由の象徴のようなカレーは、食べる人にも自由な気持ちを与えてくれる。どこを取ってもいい意味で普通じゃない「ネグラ」だけど、だからこそ、一口で別世界へと連れて行ってくれるのだ。それはきっと、インドでも日本でもない。固定観念を取り払った先にある、唯一無二の世界だ。

 

MORE INFO:

妄想インドカレー ネグラ

エリア: 東京 / 中央線沿い
住所: 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南3丁目48−3
営業時間: 木曜日 12:00〜22:00
金曜日 12:00〜22:00
土曜日 12:00〜22:00
日曜日 12:00〜22:00
祝日 12:00〜22:00
定休日: 月曜・火曜・水曜