夏休みシーズンを控えて旅行客が増えることが予想される沖縄。観光客に人気のグルメ店でも感染対策をしっかり整えて、受け入れの準備を進めている。中には密接を防ぐために赤字覚悟で座席数を減らす店も。そんな沖縄人気グルメ店の今をお伝えする。
豊富な銘柄の泡盛を集め、イカ墨を使った珍しいお寿司や充実したお通しが評判のお店で、地元客だけでなく旅行者の間でもリピートしたい店として人気が高い居酒屋「カラカラとちぶぐゎ~」。店名の「カラカラ」は泡盛を入れる徳利、「ちぶぐゎ~」は泡盛を楽しむための小さなおちょこを指している。
店は、緊急事態宣言に従い、4月始めから5月20日頃までは休業していた。国際通り周辺にお店があるため、現在も観光客が戻ってきている様子はない。予約が入ったとしても、席数を半分にしているので、満席でも売り上げは半分の状態だ。
「座席数は減らしていますが、家族などの親しい方といらっしゃる場合は、隣同士で座っていただけるようにしています。基本的にはみなさんでゆっくり少しずつ、泡盛を楽しんでいただけたらと思っています」
こう語るのは、店主の妻である長嶺陽子さん。今年いっぱいは赤字覚悟で店を運営しつつ、国の融資制度などをうまく使いながらコロナと共存していかなければならないと話す。周辺の店も、融資制度や補助金の申請を行いつつ今年は乗り切る、という店が多いという。
コロナの感染防止対策としては、席の間隔を空ける、カウンターに保護シートの設置、できるだけドアを開放して換気、などの対策のほか、アルコール度数の高い泡盛を使った消毒液で店内を殺菌している。
泡盛の消毒液は、那覇周辺のお店ではかなり使われていて、匂いは泡盛そのもの。しかし、手がガサガサしにくいのが特徴で、レモンやライムなどを入れ、香りを楽しみつつ使用しているところが多い。今後は席の間隔を空けながら、できる予約枠を広げていく予定だ。(2020年7月1日 開店直後に撮影)
1891年頃建てられたという古民家を利用した食事処。沖縄の古民家らしいレトロでゆったりとした雰囲気とチャンプルーや沖縄そばなどの定番沖縄料理が人気で、観光客からの支持も高いお店だ。
この店も他の店と同じように、1か月ほどの自粛後お店を再開。店のスタッフの女性は、「再開してからは地元の方がほとんど。休む前と比べると、今はまだ半分くらいの来客数ですね」と話していた。
取材をした日も、店には観光客のような男性1人と、地元の人らしき若い女性グループ、そして県外の家族連れと思われるグループの来店があった。みんな静かに料理を楽しんでいて、全体的に落ち着いた雰囲気だ。
古民家ならではの造りで風通しが良く、テラス席も用意されているので、観光客も安心して過ごせる。コロナ対策としては、換気、アルコール消毒といった基本的対策のほか、客が帰った後の消毒を徹底している。(2020年7月2日 撮影)
タコライスといえばこのお店。国際通りから南東方向に延びるアーケード街、えびす通りにあり、若い女性でも入りやすいポップなデザインとおしゃれな雰囲気が特徴の「Si nada(シナーダ)」。おすすめはもちろんタコライスで最近はカツサンドも人気。1000円で好きなドリンクとおつまみやデザートが楽しめるせんべろのセットがあるのもうれしい。
取材当日は、常連のお客さんが1人と、出張で訪れたと思われる男性2人組が来店しており、お酒と食事を楽しんでいた。
店の人によれば、4月から6月は時間を短縮して営業していたが、現在は8割くらいのお客さんが戻ってきているとのこと。また、この店はドアがないため、1日を通して十分な換気を行える。従業員はマスク着用で対応するなど、感染防止対策をしながら営業している。(2020年7月1日 19:30頃撮影)
取材は7月上旬に行われたため、Go To トラベルキャンペーンが始まる今となれば、観光客も増えてもっと賑やかになることが予想される。だからこそ各店がしっかり感染対策に取り組んでいる。訪問する私たちも、ぜひ自覚ある行動をしつつ、存分に人気店の泡盛や沖縄料理を楽しみたい。