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コーヒースタンド“じゃない”?謎を解かないと入れない「JANAI COFFEE」の魅力

コーヒースタンド“じゃない”?謎を解かないと入れない「JANAI COFFEE」の魅力

長引くコロナ禍で好奇心を刺激するような出来事が激減している日々。そんな日常からしばし逃避でき、心弾むような体験ができる!と現在SNSを席巻し、予約が殺到しているバーが恵比寿のJANAI COFFEEだ。バーなのにコーヒー?コーヒーじゃない?そう。表の顔は完全なるコーヒースタンド。実はある謎を解かないと絶対にバーへと入店できない仕組みを持つ店なのだ。謎に満ちた話題のスポットの魅力を紐解こう。

【ネタバレあり】全員が笑顔になれるその秘密は謎解きにあり

地下へと続く階段を降りた先にある重たいドアを開けると、コーヒースタンドが現れる。そう、そこにあるのはJANAI COFFEEという小さな小さなコーヒースタンド。この店の抱える“ある秘密”を知らないとそれだけだ。先にネタバレしてしまうと、この店は実はバーなのである。
「すみません、バーに入りたいのですが……」とコーヒースタンドに立つバリスタスタッフに恐る恐る聞いてみるも「いえ、ここはカフェです。」ときっぱり返されてしまった。どれだけヒントを聞いても、たとえば先に同伴者が入店していたとしても絶対に通してくれないのでここでそのネタバラシを。
突破する鍵となるのは誰もが所持しているもの。スマホだ。まずは店のホームページを開き、サイトの説明文をそのまま読む……だけでは謎は解けない。なんだか不自然な改行がされていることに気づけたならもうほぼ謎は解けたようなもの。
そうか!縦読みだ!すると
「と・け・い・ま・わ・り・に・な・ぞ・る」
時計回りになぞる……?
サイトのはじめに現れる”JANAI COFFEE”のサークル型のロゴをなぞってみる。

指の動きにあわせ、画面の色が変わっていき、表示されているコーヒーカップのイラストがみるみる変わっていく……!(最終的にどのようになるのかはぜひとも皆さん自身で確かめてほしい。)
この画面こそが秘密のバーのキーとなるもの。
再度画面を見せながら「バーに入りたいのですが……」と申し出ると「どうぞ!」と笑顔で入店を促してくれた。徹底したルール……!

バーへと向かうドアは、なんとコーヒースタンドの壁。壁の一部を押すとそれはなんと扉になっているのだ。このドキドキする体験は思わず誰かに教えたくなってしまい、SNSで“バズっている”というのにも頷ける。

謎解きの秘密に惹かれて集まるポジティブな人々のための場所

どうしてコーヒースタンドのフリをするようなバーの仕組みを取り入れたのだろうか?経営者のひとりである大槻将之さん、また店長でありバリスタの吉田純貴さんに話を聞いた。

大槻将之さん(左) と吉田純貴さん(右)

「禁酒法が施行されていた1920年代のアメリカで、美容室や法律事務所などを装って裏でお酒を密売するスピークイージーという文化があったんですよ。今でも海外ではそういうお店があるのですが日本にはあまりないんですよね。これを面白いなと思っていたんです。これを取り入れてコーヒースタンドを装ったバーを作ってみたらどうかと。このコンセプトを面白いと思ってくれた人たちだけが集まる場を作り、バー全体の雰囲気をポジティブにしたいという想いもあって……ちょっと面倒な仕組みかもしれないんですが。笑」(大槻さん)

入店にハードルを科すことでそれを突破した人のみに与えられるちょっとしたご褒美のような秘密空間。だが、そこに集まるのは「コーヒースタンドじゃない?なにそれ?」と興味を持ち、謎を解いてバーに到着した人のみだ。好奇心がなければたどり着けない。老若男女幅広い世代が、共通の高揚感を求めてこの場所に集う。気分が沈みがちなこのご時世、心が動くような体験を求めて集まってくるのは、まさにポジティブな人々だ。結果として、このお店がポジティブなパワーに満ちるのはその仕組みのおかげともいえるだろう。

入るのが面白いだけ“じゃない”。初心者にこそ優しいバー

確かにその仕組みは面白い。しかし「バー」ってどう使っていいのかわからない人も多いのではないだろうか。入り方、頼み方、チャージ、過ごし方、支払いなど、よくわからないことが多い。JANAI COFFEEが「面白いだけ“じゃない”」のは、ビギナーにも楽しめるバーだということだ。
たとえば、ドリンクメニューも。パラパラと目を通すと「オトナコーヒーギュウニュウ」に「ジャナイカプチーノ」という可愛らしい名前が並んでいる。
「バーのハードルを下げて、誰でも気兼ねなく楽しんでもらいたいと思っていて。お酒に詳しくない人でもライトに選んでもらえるようなメニュー内容にしています」。(大槻さん)
ドリンクのチョイスに明確な理由を暗に問われているような、プレッシャーを感じることがないのはなんとも心強い。

初心者に優しいとはいえドリンクのクオリティには絶対の自信を持つ。バリスタ経験の長い店長の吉田さんがメニューを監修。オリジナルのコーヒーカクテルに使用するコーヒー豆はあえてトレンドの浅煎りのものではなく、お店オリジナルのブレンドで勝負している。
「素材の良さをありのままに伝えるサードウェーブコーヒーの潮流がありますよね。世のなか的には今、浅煎りで酸味が強めのスペシャリティコーヒーみたいなものが主流ですけど、それだと幅広い年代の方に楽しんでもらえないのではないかという想いがメニューの設計段階からあったんです。浅煎りが好きな人でも楽しめる酸味のある豆を使いつつ、ベースはよりコーヒー感のあるどっしりとした味わいのある豆をブレンドし、万人に受け入れてもらえるようにこだわっています」。(吉田さん)

コーヒー単体で飲んでも美味しく、エスプレッソとして抽出しても、カクテルに入れてもコーヒーの味が負けず、消えない。そんなオリジナルのコーヒーの味に徹底的にこだわっているのだ。このオリジナルブレンドのコーヒーにレモンピールとジンを漬けてできた漬け酒がバーで存在感を放つ。これをソーダとトニックで割った「コーヒーレモンサワー」(1,000円・税込)が一番人気だそう。

口に含むと、コーヒーの味と香りがしっかりと感じられる。ふた口めではレモンの爽やかな風味が鼻を抜け、さっぱりとした口当たりだ。甘さは少ないので飲みやすく、おかわり率が高いというのも納得だ。スピリッツの香りが苦手な人や、フルーツ系の甘いカクテルが苦手な人にとっては、コーヒーテイストのお酒は飲みやすいだろう。コーヒースタンド(じゃないけれど)ならではのカクテルだ。

また、気になったのは「ジャケ買いクラフトビール」というメニュー。文字通り、ラベルデザインでセレクトされた商品の中から、好みのルックスのものを選べるメニューだ。
誰しも、お店での注文時にワインやビールをラベルのデザインなどで選んだ経験があるのではないだろうか。「どれにしますか?」と店員に問われ、ジャケ買いだなんてバレないようにコソコソとラベルをチェックする……。そんな注文時の迷いそのものを JANAI COFFEEではメニューにしている。
クラフトビールや最近流行のナチュラルワインはラベルデザインのユニークさも楽しみのひとつだ。堂々と“ジャケ買い”すればいい。それを店側がメニューとして用意してくれているのは初心者には嬉しい限りだ。

もちろんそんなメニューに対応すべく、デザインが楽しいラベルのボトルワインやクラフトビールのボトルがずらりと並んでいる。それを眺めているのも、楽しいバーの過ごし方だろう。

バーの内装は威圧感のないホテルのロビーのような空間を意識している。広いソファーやゆったりと腰掛けられる一人掛けチェア・スツールなど客席もバラエティに富んでおり、どんな人でも好きなようにくつろげる。意外と多いという“おひとり様”はスタッフと気軽に話ができるカウンター席がおすすめだ。

ネオンサインやドライフラワーが咲き乱れる壁など、思わず写真に納めたくなるような映える背景は日常から自分を存分に逃避させてくれる。

帰り道も徹底。「ここはバー“じゃない”、コーヒースタンド」

しかし、今日ここで起きた出来事はあくまですべてコーヒー屋で起こったこと。店を出た人たちを見て、コーヒースタンドだと思ってもらうため、帰りにお土産としてディカフェのコーヒーかお茶を入れたカップを渡されるという徹底ぶりだ。その秘密を共有する背徳感が、またこのお店へ来たいと思わせてくれる。

コーヒースタンドを装ったバーという確固たるコンセプトと、なんとなくの好奇心でも初心者でも受け入れてくれる懐の広さ。そのギャップがJANAI COFFEEの魅力だ。日常では味わえないドキドキ感とついつい心を開いてしまう居心地のよさの沼にハマってしまいそうな場所。JANAI COFFEEはSNSで話題になるだけじゃない魅力満載の大人の秘密基地。背徳感を共有したい人はぜひ恵比寿へ。

取材・文:森田文菜
撮影:きくちよしみ

MORE INFO:

JANAI COFFEE

エリア: 東京 / 恵比寿
住所: 〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2丁目3−13
営業時間: 月曜日 18:00〜0:00
火曜日 18:00〜0:00
水曜日 18:00〜0:00
木曜日 18:00〜0:00
金曜日 18:00〜0:00
土曜日 18:00〜0:00
日曜日 18:00〜0:00
祝日 18:00〜0:00
定休日: なし
公式WEB: https://janaicoffee.tokyo