GWや夏休みにキャンプに出かけたことがあるなら、イメージとのギャップを感じたことがあるかもしれない。「こんなに人多いの?」。人の営みから離れて大自然を身近に感じたいのだ。できれば誰もいない場所で、でも設備は整っていて……そんなわがままを叶えてくれるサービスがある。
昨今のキャンプブームの煽りを受け、穴場だった場所は人であふれかえり、大自然との距離が近いというより、普段の生活さながらに「人との距離が近い」という事態もよくある。ExCAMP(エックスキャンプ)は、そんな現状に一石を投じる可能性があるプラットフォームだ。
「日本には眠らせておくにはもったいない土地が多くあります」 と、ExCAMPを運営するforent代表の塚﨑浩平さん。これ、平たく言えばキャンプ地のAirbnbのプラットフォームなのである。自分がいない時間の自宅や空き家を宿泊場所などとして貸し出すいわゆる“民泊”のスキームとして活況なのがAirbnbだが、使っていない土地や眠らせている土地のオーナーとキャンパーとを結びつけようと考えたのである。
「ビギナーの方にとっては、キャンプのイメージ通りの“混雑していない”場所で楽しめますし、キャンプサイトを巡り尽くしたような上級者の方であれば、まだ誰も知らないようなキャンプ地の新規開拓ができるわけです」
2018年の9月からサービスがスタートし、当初19箇所のキャンプ地が、現在は62箇所に増えた。北は北海道から南は沖縄まで、ウェブサイトには“誰も知らない”プライベートキャンプサイトが並ぶ。
「個人所有の土地以外に、プライベートサイトのなかでもExCAMP向けの優先区画も豊富になってきました。オススメは数多くありますが、たとえば北海道の牧場や、伊勢志摩のビーチ沿いの土地など、面白い場所がありますよ」
「ちょっと違うキャンプがしたい」という人にとっては、積極的に選ぶべきサービスといえそう。
「実は、僕が始めてキャンプをしたのが海外だったんです。とても楽しかったので日本でも行ったら、人の多さに驚いてしまって。しかしこういったサービスはほかにありませんでした」
当初は全国各地に営業に赴き新規開拓を重ねたとか。地権者やプライベートサイトの運営者がウェブ上から簡単に申し込むこともできるのだ。
「眠らせておくにはもったいない土地でも、活用の方法を見いだせないケースは多いです。たとえば地方の休耕地などでよく見る太陽光パネルは今後の法改正で、売電(発電した電気を買い取ってもらうこと)で収益が見込めなくなる可能性があります。かといって駐車場にするにも、地方ではニーズが少ない」
地権者からみても、魅力あるサービスというわけ。事業者のみならず手軽に参入できるため、自治体などが注目すれば、普通のキャンプとは違う趣向が楽しめるかも知れない。
「たとえば食との相性がいいですよ。僕の実家が性の吉野ヶ里なんです。祖父がジビエの管理センターをやっていて、おいしいものや見どころもある。でも泊まる場所がない。地産地消の食も楽しんでもらう、といったパッケージができるかもしれません」
さて、使い方は実に簡単。エリアのほか、水道や電源の有無など、細かい条件から選ぶことができる。しかしスタートしてまだ半年だけに、アップデートを重ねている状況だという。
「始めて気づいたのが、トイレの有無のみならず、それが簡易トイレなのか水洗トイレなのか、さらにシャワートイレ機能が付いているかなど、細かな知りたいニーズがあることです。今後は予約人数の表示機能も実装したいと考えています」
さらにはキャンプのみならず、アウトドアイベントや音楽イベントの活用など、土地と人を繋げるアプローチをいろいろ考えているそう。
いずれにせよ間もなく行楽シーズンが到来する。キャンパーにとってみれば、選択肢が増えることは朗報だ。そこで得られる体験は、そんじょそこらのキャンプサイトで味わえるものとはひと味違うものであることは間違いなさそうだ。