令和の時代を迎え、昭和の象徴でもあった“古き良き喫茶店”はますます貴重なものに。東京の食シーンから生まれた「ネオ喫茶」を中心に、喫茶店文化は新たな時代へと受け継がれようとしている。
「ネオ=新しい」という言葉が定着して久しい。単に「新しい」ことではなく「元からあったものを新しくする、進化形」という意味で用いられる。いつの時代も日本人は、古いものを進化させることに長けてきた。まさに今進化を遂げようとしているのが喫茶店だ。昭和レトロ漂う昔ながらの純喫茶が再び注目を集める中、有楽町の阪急メンズ東京の地下1Fに「ネオ喫茶 KING」がオープンした。
古くから喫茶店文化が根付いてきた銀座・有楽町エリア。「ネオ喫茶 KING」はこの街で、そんな古き良き喫茶店のエッセンスを受け継ぎながら、今の時代にあった新たな価値を融合させ、喫茶店文化を次の時代へと繋ごうとしている。「ネオ」の真意を探っていこう。
「喫茶店メニュー」と聞いて真っ先に何を思い浮かべるだろう。ナポリタン、オムライス、カレー。メロンソーダにコーヒーフロート?はたまたホットケーキかもしれない。この店で“進化した喫茶店”がもっとも明解に表れているのがそれら「王道の喫茶店メニュー」だ。しかしレシピの考案者は、コーヒーひと筋ウン十年!の寡黙なマスターではなく、今各界で話題の一流シェフたち。東京の食シーンのプロフェッショナルたちが開発した「喫茶店の定番メニュー」が味わえるのだ。
例えば、ナポリタンは予約の取れない広尾のイタリアン「Melograno(メログラーノ)」の後藤祐司シェフが手がける。モチモチの極太パスタで作る新感覚ナポリタンだ。カレーを監修するのは、北参道に店を構えるミシュランの星付きフレンチ「sincere(シンシア)」の石井真介シェフ。海老の殻からとった濃厚な出汁と鶏出汁を合わせ、クリーミーに仕上げた。高級洋食店をも超えるリッチなおいしさの喫茶店のカレーに出会える。
サンドイッチを注文すれば渋谷の人気店「BUY ME STAND」のバインミーが、肉の巨匠として名高い銀座「Mardi Gras(マルディ・グラ)」のポテトフライも。なんて贅沢な喫茶店だろう。普段はなかなか食べることのできない名店の味が「喫茶店の定番メニュー」になってこの場所に集結する。
考えてみればなんとなく「喫茶店」のイメージはあっても、日常的に通った経験がある読者は少ないだろう。その言葉から感じるのは、懐かしさよりも非日常に近いものではないだろうか。だからこそ、ネオ喫茶 KINGに惹かれる。なんとなく一見さんに厳しそうな純喫茶の扉を開けるのには少し勇気がいるかもしれないが、ネオ喫茶なら身構えることなく気軽に使える。自家製メロンソーダ(本物のメロンを使った本格派!)に飾られた真っ赤なサクランボや入り口の食品サンプルに心を踊らせるという、喫茶店気分が楽しめるのだ。
「この場所を通して喫茶店文化そのものに興味を持ち、純喫茶にも足を運んでみてほしい」。ネオ喫茶 KINGには、そんな喫茶店へのリスペクトの念が込められている。喫茶店文化を繋いでいくための進化、なのかもしれない。
オープンして約2ヶ月。客の多くは20・30代とまさに純喫茶を知らない世代。名だたるシェフたちが手がけた食事や「ネオ喫茶」という新しさをきっかけにこの店にやって来ては、憧れだった喫茶店のエッセンスに触れていく。古き良き喫茶店文化がネオ喫茶とともに変わらずこの地に根付いていく様子と、ネオ喫茶 KING自身のこれからの進化を見られるのがとても楽しみだ。
取材・文 : RIN
エリア: | 東京 / 銀座 |
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住所: | 〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目1 東京都中央区銀座4丁目1 |
電話番号: | 03-6252-5285 |
営業時間: |
月曜日 11:00〜20:00 火曜日 11:00〜20:00 水曜日 11:00〜20:00 木曜日 11:00〜20:00 金曜日 11:00〜20:00 土曜日 11:00〜20:00 日曜日 11:00〜20:00 祝日 11:00〜20:00 |
公式WEB: | https://www.transit-web.com/content/shops/neo_kissa_king/ |
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