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2019.7.30

クリエイターとの出会いを創造するカフェ。原宿「dotcom space Tokyo」

dotcom space Tokyo(ドットコムスペース トーキョー)

原宿からまた、新たなカルチャーや世界的なアーティストが生まれる。「dotcom space Tokyo(ドットコムスペーストーキョー)」に集まるクリエイターたちは、ここでの出会いを通して、世に飛び出していくことだろう。媒介するのは“カフェ”だ。

©️photo Takumi Ota

2019年3月にオープンしたカフェスタイルのコミュニケーションスペース「dotcom space Tokyo」。場所は原宿駅竹下口のすぐそば、駅から歩いてわずか2分のところ。多くの人で賑わう竹下通りのすぐ裏手の路地にあるビルの地下に、まるでホテルのエントランスのような店構えで建っている。

©️photo Takumi Ota

小さな店が密集し、その雑多感こそ“らしさ”のひとつでもある原宿。駅前となれば、なおさらだ。しかしそれとは真逆ともいえるほど、無機質で広々とした空間が広がっている。性別も年代も問わない、極めて中性的な印象。まさか竹下通りの目と鼻の先にこんな場所があるなんて、思いもよらなかった。

©️photo Takumi Ota

64席のカフェスペースを運営するのは、中国・北京を拠点に音響機器やスマートプロダクトの商品企画や飲食事業を展開する「dotcom(ドットコム)」。デザインは、DIYメーカーとして知られる「石巻工房」も手がける建築家の芦沢啓治氏によるものだ。

dotcom space Tokyoが目指すのは、さまざまな分野で活躍するクリエイターやアーティストたちの発信基地。カフェというスタイルは、その作品や人に触れてもらうためのツールだという。店では、テキスタイルデザイナーや油絵作家による展示会、各種アパレル・雑貨の販売会、時にはDIYワークショップなど、多種多様のイベントが頻繁に行われている。

©️photo Takumi Ota

「実はこの無機質な空間もそのためなんです」。そう話すのはdotcom Japanの櫻井さん。「どんなジャンルの作品も活かせるようなデザインになっています」。

なるほど。初めに受けた中性的という印象は、客層を選ばないためでもあり、作品を発信するクリエイティブ側も絞らないためでもあるのか。ポップなもの、モダンなもの、あらゆる作品を“魅せる”ことができるというわけだ。

どうしてクリエイターたちの発信の場を?

背景には「高度なテクノロジーや才能を、そのままで終わらせることなく、日常生活に溶け込むものにしたい」という、同社の理念があるという。

「クリエイターやアーティストたちがこの場で才能や作品を発信することで、それを目的に来たお客様や他のクリエイターはもちろん、たまたま訪れたカフェのお客様も、作品やクリエイター本人に触れることができる。そこで出会いやコミュニケーションを生みたいんです。コミュニケーションは、新しい発想、よりおもしろい作品や価値を生むはずです」。

店の名前に「cafe」や「coffee」を含めないのはそのため。ここはあくまでコミュニケーションを創造するための「space=空間」なのだ。

一方で、コミュニケーションを生むために、カフェは大きな役割を果たしているとも話す。まずはこの場に来てもらわなければ、どんな小さな出会いも生まれないからだ。dotcom space Tokyoでは、「ジャパン・ハンドドリップ・チャンピオンシップ」2016年大会チャンピオンの佐藤昴太バリスタを向かえ、「FUGLEN COFFEE ROASTERS(フグレン コーヒーロースターズ)」(東京・代々木)「PHILOCOFFEA(フィロコフィア)」(千葉・船橋)など、厳選したロースターの豆を使用してコーヒーを提供する。フードは、浅草の名店「ペリカン」のトーストを揃えた。

ペリカンの角食を使った「ハニーバター・トースト」(税抜 430円)「カフェラテ(ホット)」(税抜 550円)

「一般的なカフェとして、彼が淹れるコーヒーやペリカンのパン、季節限定メニューを楽しみに来てくださる方もたくさんいらっしゃいます」。カフェを目当てに訪れる客の中には、当初そこまで大きなボリュームを想定していなかった若い年代も非常に多く、クリエイターたちの作品に触れる機会を作ることができているという。「今は、逆にそういった層のお客様に向けて発信したいという、クリエイター側の需要も高まってきました」。

カフェがパイプとなって、クリエイターと客の出会いを創出する。いい流れができているようだ。

スペースの利用は数時間から数週間単位まで、さらに貸切や予約制などフレキシブルに対応可能とのこと。感度の高い人々が多く集まる原宿で、この規模のイベントスペースとなれば、多くのクリエイターたちにとっては非常に魅力的な環境だろう。もし何か発信したいものを持っているならば、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。

もちろん、原宿の駅前でこれだけゆったりと過ごせる場所は他にない。日本一のバリスタが淹れるコーヒーとおいしいパンを食べにカフェ利用でふらりと訪れれば、いい作品に出会えるかもしれない。ここは、コミュニケーションの場。その際はぜひ、自分の感想や声をクリエイターに届けてほしい。

取材・文 : RIN

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