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2019.10.28

“絵画の中”で過ごす至福。住宅街の森のカフェ「cafe Felice」

cafe Felice(カフェ フェリーチェ)

視界は180度、花と木々。都内の住宅街なのに、絵画のような美しい緑に囲まれながら、新鮮な地元野菜と自家製のパン・ピッツァなどの美味しい食事が楽しめる「cafe Felice」。まるで森の中で過ごしているかのようなのどかなひとときは、心の底から癒しをくれる。

近年、郊外や、都心でも駅から離れた場所でひっそりと営むカフェが増えているが、「cafe Felice(カフェ フェリーチェ)」はそんな流れができるずっと前から、東京のややはずれに店を構えている。最寄り駅は、西武新宿線の都立家政。駅前の入り組んだ住宅街を抜けた先の広大な緑地の角に建つ、ヨーロッパ調の建物の1階がそれだ。2階にイタリアンレストラン、向かいに生花店を備えた複合施設「GARDEN SQUARE(ガーデンスクウェア)」の一端を担うこのカフェは今年、20周年を迎えた。

店内には深い色の木造の調度品が並び、落ち着きある装い。それらを燦々と照らす光を辿っていくと、正面の大きなガラス窓の向こう側に広がる、緑あふれる景色が目に飛び込んでくる。

吸い込まれるようにテラス席に出る。そこには一面、木々で埋め尽くされた庭園。どこまで続いているのかわからないくらいずっと奥まで生い茂り、広大なスペースだ。ところどころに咲く花々も見ていて気持ち良い。さながらヨーロッパ絵画の世界に迷い込んだようだ。

約3,000坪にもおよぶというこのガーデンスクウェア。「オーナーが根っからのイタリア好きで、自然に囲まれながら美味しいイタリア料理を楽しめる店をつくろう、と始めました」と、オープン当初からカフェの責任者を務める鈴木さんは話す。レストランだけでなくカフェも備えたのは、コーヒー1杯や軽食だけでも、気軽にこの場所を楽しんでほしいからだという。

そうして鈴木さんに話を聞いている間にも、キウイの葉の棚から漏れる陽が雲の流れに合わせ、テーブルに描く影の形を絶え間なく変える。BGMは、気ままに鳴く虫や鳥、そよそよと木々をなびかせる風におまかせ。なんと、のどかなのだろう。

広大な敷地ではあるがテラスの席数は15ほど、外からの視線も一切ない秘密基地のようなプライベート空間は、実に贅沢だ。

「おひとりで読書をしに来られたり、ご近所の方々が犬の散歩がてら新聞を読んで帰られたりもしますし、週末ともなれば、遠方から車を走らせて何度もお越しくださる方も多くいらっしゃいます」(鈴木さん)。

あふれる緑と木漏れ日の下で、ただ流れゆく時に身を委ねれば、日々の忙しさや嫌なことをすべて忘れ、心からリラックスできるに違いない。

そんなロケーションの中で、おいしい食事が楽しめるとなればなおさら、ここへ足しげく通いたくなる気持ちに大いに共感できる。「メニューの種類は決して多くはないですが、その分、ひとつひとつのクオリティをとても大事にしています」と、鈴木さん。実は彼自身、イタリア料理店で務めた経験を持ち、この店で腕をふるうシェフのひとり。

9:00〜11:00までのモーニングには、イタリア風の自家製キッシュや新鮮な地元野菜をふんだんに使ったサラダなどが、ランチには手作りピッツァ、自家製パンのパニーノ・サンドイッチに、さまざまなソースとパスタの組みあわせが楽しめるグラタンと、シンプルながらも丁寧につくられる料理が並ぶ。

「景観はもちろんですが、『またあの料理が食べたくて』と、お料理を目的に来てくださる方がいるのもとても嬉しいですね」(鈴木さん)。

2階が正統派のイタリア料理であるぶん、1階は少しカジュアルに、イタリアンに縛られず客の声を取り入れながらメニューづくりをしているという。

平日・数量限定の「自家製バンズとパテのチェダーチーズバーガー」。

もともと、自家製パンが人気のcafe Felice。「ここのパンでハンバーガーが食べたい!」という、客の熱い要望から生まれた「チェダーチーズバーガー」は、今や店の人気メニューであり鈴木さん自慢の一品だ。

「バンズはバーガーのためだけに、すべてその日の朝焼いています。もちろんパテも自家製です。一切妥協せずつくっているので平日・数量限定でしかお出しできませんが、おかげさまでとても好評いただいています」(鈴木さん)。

ほんのり甘いふっくらとしたバンズに、オーダー後にじっくり焼き上げる超粗挽きのパテが絶妙にマッチ。秋風の気持ち良い空間で頬張るハンバーガーは、この上ないごちそうだ。

 

わざわざ遠く異国の山奥へ行かずとも、都内の住宅街にある“森のカフェ”cafe Feliceが、豊かな自然と美味しい食事で贅沢な安らぎの時間をくれる。

クリスマスには、庭園の中央に立つ20mほどの大きなモミの木がライトアップされ、春になれば、園内にも店の周りの街路にも桜が咲き誇り、ガーデンスクウェア一帯が真っピンクに染まるのだとか。そんな季節の移ろいも存分に楽しみたい。

 

 

取材・文 : RIN