HOME CAFE 東京 渋谷 渋谷駅 緑茶もアートのように愉しむ。美術館のようなカフェ「OIL by 美術手帖」
緑茶もアートのように愉しむ。美術館のようなカフェ「OIL by 美術手帖」

緑茶もアートのように愉しむ。美術館のようなカフェ「OIL by 美術手帖」

凛とした佇まいの静かな空間が渋谷パルコに出現した。そこは美術館のように、アートを愛でられるカフェ&ギャラリー。シグネチャーメニューである「緑茶」も、濃淡や透明感、そして苦みや甘みなどの味わいをアートのように同時に楽しむことができる。五感を研ぎ澄ませて、感性を刺激しよう。

興味のレベルに合わせて楽しめる3つのアートスペース

1948年の創刊以来70年以上にわたり、国内外の現代美術の動向を伝え続けてきた美術専門誌「美術手帖」。その美術手帖が運営するアートECサイト「OIL by 美術手帖」が、渋谷パルコに ギャラリー兼カフェの常設実店舗 をオープンさせた。

「アートのファンを増やしたい」と選んだ場所は、多様なアイデンティティを持つ人が訪れる渋谷パルコ。モードなアパレルブランドのショップが立ち並ぶ2階フロアの一角にある、通路との隔たりが一切ないひときわ開放的なスペースがそれだ。フロア中央に突如現れるオープンスペースながら妙に凛としたその佇まいに興味をそそられ、立ち止まって行く人も多い。

店内は3つのカテゴリにわかれており、大規模な作品や空間を利用したアートを展示する「ギャラリー」、日常に取り入れたくなるより親しみやすい作品を販売する「シェルフ」、そして、緑茶専門の「カフェ」という構造になっている。

広々としたギャラリーに展示されている作品は3週間ごとに入れ替わり、自由に鑑賞できるのはもちろん、すべて購入も可能だという。アートに馴染みのない人にとって「アートを買う」という感覚は少し縁遠いかもしれないが、上級者ともなれば、作品は“会場へ観に行く”だけではなく、宝石や車と同じように気に入ったものを“買って手元におく”という贅沢な楽しみ方があるのだと、あらためて気づかされる。

シェルフでは、その名の通り、自分の部屋の棚(=シェルフ)に置いておきたくなるような、より身近に感じられる作品を展示販売。バッグなどの実用的なもの、動物の形をした一点物のオブジェなどが並び、価格も手に取りやすい。比較的ライトにアート作品と向きあえそうだ。

一方で、まだあまりアートに興味のない人にも、もっと身近に感じてほしいと備えたのがカフェ・スペースだ。店舗全体がオープンスペースのため、フロア内を歩いているだけでも自然と目につき気軽に立ち寄りやすい。イートインスペースを兼ねたギャラリーで一息つけば、作品にも自然と触れられるというわけだ。

そもそも現代美術やアートというと、興味のある人だけが“わざわざ個展へ観に行くもの”というイメージが強いのではないだろうか。まさかアパレルショップが並ぶ商業施設内で、ウインドウショッピングや買い物の合間の休憩と同じ感覚で遭遇するなどとは思いもしない。日常の中で思いがけず訪れる斬新な作品との出会いは、なかなか刺激的だろう。

しかし考えてみれば、作家の“自由”な感性によって生まれるのがアート作品。だからこそ美術手帖は「ギャラリーで静かに観るもの」「作家を詳しく知ってから鑑賞しなければならない」など、“決まり”や“正解”はないはずだとそれを取り払った。誰でも観られる場に開放し、観た人なりの”自由”な楽しみ方を見つけてほしいという。

緑茶はアートと同じように楽しめる。さまざまな感性を刺激するカフェ

そして、カフェのメニューには「美術手帖」からのメッセージが込められている。ディレクションは渋谷の茶葉店「GEN GEN AN」。多種の本格茶葉を取り扱う同店だが、「OIL by 美術手帖」で使用するのは、敢えて佐賀県嬉野産の緑茶のみだという。

15分かけてじっくり抽出する「本格水出し茶」。緑茶のエスプレッソのような味わい。

「緑茶というひとつの素材でも、淹れ方やアレンジ方法によって、緑の色合いや透明感、舌に触れたときのテクスチャーが異なります。水や湯に浸した茶葉も、時間を追うごとに色や形が変化します。さまざまな感性を働かせて楽しめるという点は、アートと通ずるものがあると思うんです。もちろん、美味しさは大前提の上で」。そう話してくれたのは、スタッフの柴田さん。

なるほど、思わずハッとした。淹れる前後の茶葉の様子や質感、抽出時間やグラスの違いによるお茶の緑色の透明感の違いなどに、どこまで意識を向けたことがあるだろう。緑茶がアートと同じ楽しみ方ができるなどとは考えたこともなかった。

和三盆と緑茶パウダーを合わせて点て、ソーダで割った「緑茶ソーダ」。

ソーダやラテなどのアレンジドリンクでは、緑茶もアートと同じように「こうでなければならない」という“決まり”にとらわれず、“自由”な楽しみ方を見つければいいということを表現する。

茶葉が水を含み開いた様子や抽出されたお茶の色合いも、15分前と異なる。

訪れた客に積極的に話しかけコミュニティを作ることで、お気に入りのカフェとしてもこの場所に通ってほしいと語る柴田さん。「カフェを通じて、アートは決して堅苦しいものではなく、誰かと話をしたりお茶を飲んだりしながら、自分なりに楽しんでいいということを感じてほしいですね」。

アートも緑茶も、知れば知るほど、違いに気づきいろいろな見方ができるようになるもの。出会いは通りすがりの偶然かも知れないが、買い物のたびに立ち寄れば、日常生活とは違う感性を刺激し育んでくれることだろう。シェルフの作品が、家の棚に並ぶ日もそう遠くないかもしれない。

 

取材・文 : RIN

MORE INFO:

OIL by 美術手帖

エリア: 東京 / 渋谷
住所: 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町19 神南一丁目(バス)
営業時間: 月曜日 10:00〜21:00
火曜日 10:00〜21:00
水曜日 10:00〜21:00
木曜日 10:00〜21:00
金曜日 10:00〜21:00
土曜日 10:00〜21:00
日曜日 10:00〜21:00
祝日 10:00〜21:00
定休日: 不定休(パルコの休館日に準ずる)
公式WEB: https://oil.bijutsutecho.com/

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