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グサヴィエ・ドランって知ってる? 美しい俳優にして才能ある監督の魅力を知る

VOL.4 グサヴィエ・ドランって知ってる? 美しい俳優にして才能ある監督の魅力を知る

グザヴィエ・ドランという映画人を知っていますか? 彼の映画、観たことありますか? 11年前に19歳の若さで監督デビューを飾り、作品を発表するたびに「(今回も)ドランの最高傑作だ!」と高い評価を得ている映画監督です。そして前回紹介した「YEBISU GARDEN CINEMA」と深いつながりのある監督でもあります。 「ドラン、誰それ?」という大人のみなさま、そろそろドランを知る時です! タイミング良く、入門編にぴったりな新作『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』が同映画館で公開されるのです。

美しい俳優にして才能ある監督
グザヴィエ・ドランって一体何者なの!?

これまでの映画監督作品は6作ですが(そのうち4本は出演もしている)、どれか1作を観て作風が気に入ると、おそらく全部チェックしたくなる、そういう監督です。また、天は二物を与える──彼、見た目もめちゃくちゃ格好いいんです! なので、「このイケメン誰?」という入口からグザヴィエ・ドランを知った人もいるはず。見た目も良くて中身も才能の塊で、一度ハマると抜け出せなくなる魅力の持ち主です。

とはいっても、グザヴィエ・ドランって何者? 映画監督なの? 俳優なの? という人もいるはずなので、一体どんな人物なのか、紐解いていきます!

グザヴィエ・ドランを説明するときには「カンヌの申し子」「映画界の若き救世主」「美しき天才」といった形容がつくことが多いです。というのも、幼少期より映画やテレビドラマ、CMなどに出演する人気子役として芸歴をスタートさせ、17歳のときに自ら書いた脚本を19歳で監督、その監督デビュー作となった『マイ・マザー』が、いきなりカンヌ国際映画祭・監督週間部門に選ばれ、鮮烈な世界デビューを飾りました。〈19歳〉〈監督デビュー作〉〈カンヌ〉というのはインパクトありすぎます。

『CINEMA TRIP グサヴィエ・ドラン特集特別イシュー』(YEBISU GARDEN CINEMAほか全国の公開劇場に設置中)

その後はカンヌ国際映画祭の常連となり、『Mommy/マミー』で審査員賞受賞、『たかが世界の終わり』でグランプリを受賞、いまでは「ドランっぽい」という形容詞までできてしまいました。さらに、ゲイであることも早々に公言し、デビューから一貫してさまざまな〈愛〉の形を描いています。

1:1のスクエア画角といえば……
Instagramじゃなくて『Mommy/マミー』

グザヴィエ・ドランとつながりのある映画館のひとつが「YEBISU GARDEN CINEMA」です。この映画館はもともと「恵比寿ガーデンシネマ」として1994年10月にオープン、ミニシアターの一時代を築きましたが、2011年1月に惜しまれつつ閉館となり……2015年3月に「YEBISU GARDEN CINEMA」として新しくオープン! そのオープン直後の作品として選ばれたのが『Mommy/マミー』でした。

ほかにもいくつかの映画館で上映されていましたが、「YEBISU GARDEN CINEMA」のレポートでも書いたように、大人の街・恵比寿にあるお洒落なミニシアターとグザヴィエ・ドラン作品はとても相性がいい! と思ったのをよく覚えています。

そして、『Mommy/マミー』に続いて『たかが世界の終わり』もこの映画館で上映され、3月13日から公開の新作『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』ももちろん上映が決まっています。作品によって、この映画はできるだけ大きなスクリーンで観たいからこの映画館でとか、音響重視ならこっちの映画館かなとか、その映画をどこで観るか、映画館を選ぶことも映画鑑賞の楽しみのうちですから、「グザヴィエ・ドランは恵比寿で!」、そんな選択肢もありだと思うのです。

ドラン=正方形というつながりもあります。いまではすっかりソーシャルメディアの代表となったInstagramが日本で流行りだしたのは2014〜15年の頃で、正方形のフレームって新しい! と思いましたよね。実は『Mommy/マミー』のスクリーンの画角は1:1、正方形のフレームなんです。当時ドランは「1:1の比率からは一種独特なエモーションが生まれる」と語っていて、『Mommy/マミー』では登場人物の心情の閉塞感を1対1のアスペクト比で表現し、途中ワイド画面へと広がりを見せ、また1対1に戻る手法を取っていました。その描写に世界は驚かされました。個人的にはInstagramよりも先にドラン作品に触れたこともあり、Instagramの正方形のフレームを目にしたとき「ドランっぽい」と感じたわけです。ちなみに新作の『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』はスコープサイズ(1:2.35)。

8歳のドラン少年が憧れていたスターは
『タイタニック』のディカプリオだった!

では、今回公開される『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』とはどんな作品なのでしょうか。

過去のインタビューで、ドランが「自分が知り尽くしている、あるいは十分知っていることをテーマに選んできた」と語っているように、新作もグザヴィエ・ドランの人生の一部がヒントになっています。そのヒントになった出来事というのは、憧れのスターへの“手紙”。8歳のドラン少年は『タイタニック』に出ているレオナルド・ディカプリオに夢中で、彼に手紙を書いたそうです。そのときの経験をヒントに『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』の美しきスターと少年の“秘密の文通”のアイデアが生まれました。


この映画は、主人公である人気俳優ジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)の死から幕を開けます。彼の死は自殺なのか事故なのか謎に包まれたまま時は流れ、10年後、ドノヴァンと“秘密の文通”をしていた少年ルパート・ターナー(ジェイコブ・トレンブレイ)によって死の真相が明かされる……という物語です。

今回はドランにとって初の英語作品。彼はカナダのケベック州出身なので、公用語はフランス語。これまでの映画はフランス語でした。なので、グザヴィエ・ドランはフランスの監督? と勘違いしてしまいそうですが、カナダの監督で俳優です。そんな彼が『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』で初めて自分の言語じゃない英語で脚本を執筆して監督した挑戦作でもある。英語であってもドランっぽさは当然のことながら健在。「母と息子、それはこれまで僕が描いてきたひとつのテーマですが、その集大成だと思っています」とも語っています。この映画には2人の母親が登場、それぞれの母親役をナタリー・ポートマンとスーザン・サランドンが演じています。

まずは新作を観て、グザヴィエ・ドランの世界を覗いてみてください。

【ジョン・F・ドノヴァンの死と生】
2020年3月13日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開

 

文/新谷里映