Harumari TOKYOでも「積極的他力本願のススメ」にてご登場いただいたフォトグラファーのヨシダナギさん。そんな彼女が来たる4月30日(木)に写真集「DRAGQUEEN -No Light , No Queen-」を発売する。
これまでアフリカ大陸やブラジルアマゾンをはじめとする世界中の少数民族や先住民族を撮影してきたナギさんだが、次の被写体として選んだのは、なんとドラァグクイーン! ゲイカルチャーを発祥とし、クィア(セクシュアルマイノリティの総称)カルチャーではとても歴史の長いパフォーマーの一種だ。Netflixでリアリティ番組『ルポールのドラァグ・レース』が放送されたこともあり、年々アンダーグラウンドからという枠を超え、現代社会における人間の多様性を世界へ表現するアイコンになりつつある。

今回、ナギさんが撮影したのは、ニューヨークとパリを拠点に活動するドラァグクイーン18名。これまでに撮影してきた少数民族とは一転し、大都会のマイノリティーにフォーカスしているのが非常に興味深い。しかし、これらの写真で華やかに着飾るドラァグクイーンたちを観ていると、ボディペイントで自らを彩った先住民たちとも共通する“何か”が見えてくる。自身に満ちた表情でポーズを取る彼女たちからも、自由に生きたいという強さが伝わってくるのだ。

他にも写真集には、ナギさん自らがドラァグクイーン全員にインタビューを行い、その映像がDVD付録として付いている。そのインタビューの一部がこちら。
「自分とちがう人ほど、おもしろい。かっこいい。幼少期からそう思ってきました。世界中の先住民族や少数民族に会い、撮影してきたのは、そんな想いがずっと心の中にあったからです。なぜ、あの人たちはこんなにも堂々と美しく、妖艶なのだろう。今回被写体にドラァグクイーンを選んだのも、私と異なる彼女たちへのそんな興味でした。
そして、実際にニューヨークとパリで出会った彼女たちの立ち姿には、言葉にできない美しさと強烈な存在感がありました。それは民族を見た時に感じたのと、ある種同質であり、複雑な歴史や自負を両肩に背負い受け入れた人間だけが発するものでした」
作品に対してそうコメントするように、先住民のコミュニティに溶け込んだ時と同様のフラットなスタンスで、ドラァグクイーンたちの波乱に満ちた人生と力強い生き様を、見事に引き出したナギさん。彼女の作品は我々に未知の世界を見せてくれるとともに、多様性のあり方に大きな気付きを与えてくれた。
発売は少し先だが、今から作品の全貌を観るのが楽しみだ。


※トップ画像は弊誌特集「ヨシダナギの積極的他力本願」より掲載
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