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2019.4.27

両親が離婚した14歳の時に、敷かれたレールのない道を歩き始めた

ヨシダナギの拾われる力

昨年『ヨシダナギの拾われる力』を発刊したヨシダナギさん。その本の内容はテレビに映るヨシダナギ像とは全く異なる一面を見せていた。

島崎
今日はよろしくお願いします。
ヨシダ
どうも。
島崎
早速ですが、2018年に刊行されたヨシダさんの本『ヨシダナギの拾われる力』を拝読させていただいて、ちょっと内容にびっくりしました(笑)。
ヨシダ
(笑)。
島崎
僕はテレビでナギさんの存在を初めて知った時に、すごく意志が強い女性なんだと思っていたのですが、本を読んでみるとイメージと違って暗くて(笑)。そのギャップにちょっと嬉しくなったりしたんですけどね、人間そんなに完璧じゃないのだなって。読者の人もそういう風に共感した人も多いのかなと思うんです。
ヨシダ
やっぱり本が出る前は、ひとりでアフリカに行く女性ってすごくアグレッシブで、凛とした、ハキハキとした、パワフルなイメージを持たれてしまって。実際会った時のギャップ、例えばイベントにハキハキしてる私を見たいがために来たのに「あれ、喋り方違う…」「なんかテンション違う」「全然モチベーション低いじゃん」っていう、そのギャップにがっかりされたり、ちょっと肩透かしくらったみたいな人たちが多いです。なんだか申し訳ないなと思う反面、「私は最初からそんなつもりじゃなかったのにな」という思いもありますが(笑)。
島崎
本の中では、とにかくヨシダナギさんの「自己肯定感の低さ」を感じます。冒頭に肩書きの話から始めますよね。同じ世代の方とかも「何者か」にならなきゃいけないプレッシャーがある中で、すごく軽やかに、フォトグラファーという肩書きを「いただいた」という表現をしていて、その肩書きに執着していない。「そのくらいの距離感を持ったら楽だろうな」と僕は思ったんですよね。とはいえ、20代を生きてきて、実際のところ、「何者か」にならなきゃいけないというプレッシャーや強迫観念はありましたか?
ヨシダ
たぶん他の人に比べたら、そういう思いは強いほうじゃなかったと思います。でもやっぱり親からしたら、娘が30近くになってまでどこの会社にも勤めず、学歴も無いまま、好き勝手にアフリカへ自腹で行き続けるってたまったもんじゃなかったと思うんです(笑)。しかも結婚もしないで何をしているんだって、親や親族からのプレッシャーはやっぱりありました。「どこかどこでもいいから勤めてみてくれ、それでダメだったらまた道を探せばいいから、一回普通の人になってみよう」という提案は定期的にされていたんですね。
島崎
それでも、親の言うとおりにはしなかった。
ヨシダ
はい。なので、そこで多少「私はやっぱり人と違うんだな。どうしよう」って思ってはいました。でも会社勤めや集団生活ができていたら苦労してないんですよ(笑)。私には私なりの道があるはずだってどこかで漠然と思っていて、でも親にそれを言ったところで「何の根拠があって言ってるんだ」ってなる。親の気持ちも分かるし、でも、私には私のペースがあるはずだと常に自分に言い聞かせていました。
島崎
それは、最初から他の人と違う人になりたいって思ってたんですか?それとも、結果的に育ってきたらなんか他の人と違うなって気づいたのか。
ヨシダ
ふと「あれ、私って人とちょっと違うみたい」って、幼少期からちょっとずつ。最初、それをズレてるとは思わなかったんですよ。「あれ、なんでみんな私と違うんだろう」って疑問だったんですよ。でも段々親に指摘されて、「あれ、みんなと同じことができないぞ」っていう不安になって。でも見て見ぬフリをしてそのまま突っ走っていました。それで中学二年生で親が離婚した時に、無理やり自分のレールに乗せる人がいなくなったので、「私はもう、お母さんの言うとおりにしなくていいんだ」と思うようになり、自分が出来ないことはしなくなった。
島崎
親から提示されたレールが違うなって感じている人は沢山いると思うんですね。でも、そのレールを外れると道が無いから、そこも怖くて行けず、嫌々レールを歩いている人もいる。ナギさんが14歳から自分の道を切り替えた時に、「隣の芝生は青い」って感じたことはありませんでしたか? もしレールの上を歩き続けていたらって。
ヨシダ
私は、どっちのレールもいい点があると思っているんですよね。私の中では、もし親が離婚せずにずっと傍にいてくれたら、私はたぶん母の言われるがままになっていたと思います。でもそれは人が敷いてくれたレールを走っているという安心感があるから悪い話ではない。一方で、デメリットとして、自分のやりたいことができなくなってしまう。私が自分で選んだ道は、何も保証は無い、将来どうなるか分からない、だけど、好き勝手やれるメリットがあるっていう、捉え方の違いだけだと思います。

(第2回に続く)