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コロナ禍でどう変わる?テレ東 ・佐久間Pが考える、これからのエンタメ

コロナ禍でどう変わる?テレ東 ・佐久間Pが考える、これからのエンタメ

『ゴッドタン』『あちこちオードリー〜春日の店あいてますよ?〜』といった、数々のテレビ番組のプロデュース・演出を手がけ、さらにはラジオ『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)のパーソナリティーを務めるなど、幅広く活躍する佐久間宣行さん。人々の生活や価値観が変わる中でエンタメをめぐる状況はどう変化したのか、そして佐久間さん自身が、これからどんな面白いことを生み出そうとしているのか、話を聞いた。 聞き手:HarumariTOKYO編集部 丸田

これからのエンタメはどうなる?

HarumariTOKYO編集部 丸田:

エンタメを牽引してきたお一人として、今回のコロナの大流行で、生活や価値観がガラリと変わったことに対して、率直にどのように感じましたか?

佐久間:

エンタメ業界、特にライブシーンは相当きついです。関わっている皆さんの窮状にとても心が痛いです。エンタメは不要不急のものではあるけど、この自粛期間にエンタメなしに乗り越えた人は少ないと思うので、少しずつでも復活のお手伝いをしたいと思っています。

丸田:

佐久間さんご自身の仕事の環境の変化はありましたか?

佐久間:

収録とミックス以外はリモートになりました。その分、移動に時間を使わなくてすむため、スタッフの負担は減ったと思います。
しかしリモートは、ある程度見知ったスタッフとの打ち合わせや、プランの承認等の短い会議には向いていますが、初対面のチームとの仕事や企画をゼロイチで生み出そうとするブレストなどには向いていないなあ……と痛感しています。空白の時間が結構きついので。

丸田:

コロナ禍で、テレビの制作・演出も変えなくてはいけない部分が出てきたかとお思います。そのことについてはどのように感じていらっしゃいますか。

佐久間:

完全に過渡期だと思うので、試しながら進むしかないと思います。
例えば、最近良く見る芸人のネタにアクリルボード入れたりするのは、正直あまり意味がないと思うんですよね。ほぼ他の時間は一緒にいるので彼ら。
ある程度出演人数の制限やソーシャルディスタンス、換気はもちろん意味があると思います。

丸田:

番組を手がける側としては、コロナ禍の今、エンタメはどんなものが求められていると感じていますか?

佐久間:

古い価値観や今まであまり良くないかもと思いながら見逃されていた倫理観が一気にアップデートされた気がします。空気を読む人ができる、と言われた時代が終わり、空気を壊してでも正しいものは正しいという人が求められてきた気がします。ここについていけない製作者は炎上を繰り返すのでは?

新たな取り組み「無観客フェス」

コロナ禍で、エンタメ界では様々な新しい取り組みが行われる中、テレビ東京も6月27日から7月5日まで「無観客フェス」を開催した。
フェスは、テレビ東京のプロデューサーやディレクター陣がそれぞれの得意分野をいかし、日替わりで様々なライブ配信イベントを実施するというもの。

佐久間プロデューサーの担当回は「佐久間宣行スペシャル企画『クズか、宝か!?~見えない企画を試してみる会~』」というタイトルで、企画や演出はもちろん、なんと当日のMCまでも担当。内容は、麒麟川島、アンガールズ田中、ハライチ岩井の3名をゲストに呼び、その場で出された企画案を、宝かクズか検証する、というものだった。

丸田:

イベントを拝見させていただきました。普段、ただテレビを見ているだけではわからないような裏話も満載で、非常に面白かったです!今回のフェスは急にお願いされた、とおっしゃっていましたが、準備の裏話、企画にあたって大変だったことがあれば教えてください。

佐久間:

とにかく時間ですね。チケット発売まで3週間もなかったので、一つの企画に絞るのが難しかったです。いくつかの案を出したんですけど、どれも完成度を上げる時間がなかったので、それを逆手に取って「見えない企画を試す」というコンセプトに落とし込みました。なので急場しのぎがいい方にころんだ形です。

丸田:

当日、4500人の方が見ていたことについては、やはり緊張感もあったのでしょうか。

佐久間:

オンラインライブは思ったより駆け込みでの購入が多いのに驚きました。残り1日で2000枚売れたみたいです。なので、ゆるい企画やるの心配だったんですが、実力派芸人のおかげで概ね好評で終わりました。それと、オンラインにしたおかげで、「地方でずっとライブ諦めてたのに見れて嬉しい」とか「子育て中でライブ現場から引退していたので久しぶりに参加できて嬉しい」などという感想をいただき、やった意味があるなあと思いました。

丸田:

麒麟川島さん、アンガールズ田中さん、ハライチ岩井さんとの掛け合いが非常に面白かったです!普段からとても仲が良いんですね。出演者の皆様からはどんな反応があったのでしょうか。

佐久間:

初めてなので、とにかく信頼できて「優しい」人たちにしようと思いました笑
3人とも何があっても動じない実力とメンタルの人たちなんで、キャスティングは出来すぎです。これに甘えちゃいけないなあ、と思いました。
3人もお笑いライブ自体久しぶりだったようで「楽しかったー」と言ってくれました。疲れ果ててましたけど笑

丸田:

今回のフェスは、テレビの枠を超えた、新しい可能性を見た気がしました。佐久間さんご自身の、手応えはいかがでしたか。

佐久間:

何より楽しかったのと多くの方に喜んでいただけたことが嬉しかったです。
でも実力あるキャスティングじゃないと、こうはうまくいかないと思っています。あと、僕自身が生放送のラジオを1年半やってたのも経験上良かったです。

丸田:

無観客フェスを踏まえて、今後、こんなイベントをやってみたいという展望はありますか?

佐久間:

この企画はいくらでもできるので、ここで好評だった企画を集めて、お笑い特番を作れたらいいなあ……、なんて考えてます。それと、今回のオンラインライブのために出した企画案が15〜6個あるので、そのうちのいくつかはやってみたいです。

気になる、佐久間Pの日常は……?

丸田:

日々面白い企画を生み出している佐久間Pだからこそ、日常も、違った目線で捉えているに違いない……ということで、最近で一番印象に残った出来事、面白かった出来事を教えてください!

佐久間:

我が家のシャワートイレが不安定なこと。ボタンを押してから、ちゃんと出るとき、お尻がぶっ壊れそうなすごい勢いで出るとき、ノズルだけ出て何も出ないとき、反応すらしないとき、ノズルだけ出てまた戻るとき・・・と毎回コロコロかわるロシアンルーレット的なものになっていて、気が休まらない。
そのかわり、ちゃんと出たときの喜びがスゴイ。

丸田:

インタビュー記事やラジオなどで、漫画などのエンタメ作品のことをお話されている佐久間さん。今この状況だからこそ刺さる作品、おすすめのものがあれば、ぜひ教えていただけないでしょうか。

佐久間:

モーニングショー(Appleプラス)。人気ワイドショーでメインキャスターがセクハラで降板するところから始まる群像劇。コロナ禍で様々な古い価値観があぶり出されている時代に、自らの価値観がアップデートされているのか?また行き過ぎていないか?見つめ直すためにも見るべきドラマ。もちろんめちゃくちゃ面白いです。

丸田:

面白そう!佐久間さんおすすめの作品ということで、絶対にチェックします!硬いお話から柔らかめの話題まで、余すことなく答えていただき、本当にありがとうございました。非常に貴重な機会でした。

一つ一つの質問に、丁寧に答えてくれた佐久間プロデューサー。どの話も面白く興味深いものだったが、やはり第一線で活躍する佐久間さんだからこそ語れるエンタメへの危機感は、とてもリアルなものだった。しかし一方で、どんな状況でも「面白いもの」を追い求める佐久間さんの話を聞いていると、これからのエンタメがどう変わっていくのか、楽しみにすらなってくる。
閉塞感のある日々だからこそ、佐久間さんのように日々の「面白い」をキャッチし、前向きに進んでいきたい。