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リアルを超える感動も。演出も体験も進化した最新リモート・エンターテインメント事情

リアルを超える感動も。演出も体験も進化した最新リモート・エンターテインメント事情

コロナ禍で次々と登場している、リモートで楽しむエンターテインメント。当初はその場しのぎとも思われた楽しみだったが、今や「ジャンル」として確立しつつある。特に、リアルが絶対と思われていた謎解きゲームや演劇は、オンライン上でも引き込まれるような巧みな演出により、家にいても刺激を得られると好評だ。今回は、大人も本気で楽しめる、リモート・エンターテインメントを紹介する。

目次

    物語の登場人物になれる、参加する演劇

    HarumariTOKYOでも1作目、2作目を紹介してきた「泊まれる演劇」は、リモートとの相性が良かった代表例ともいえるだろう。

    京都にある「HOTEL SHE,KYOTO」が手掛けるこの演劇は、本来はホテルの宿泊向けだった企画。宿泊者が物語の登場人物の一人となり夜のホテルを彷徨い歩くという、実際に物語に入り込むような体験ができるものだった。
    リアルの場での体験を売りにしていた演劇だったが、コロナ禍でリモートでも体験できるよう「泊まれる演劇In Your Room」を開催。これまでにない体験ができると好評で、この度3作目も公開されることとなった。

    リモート版の「泊まれる演劇In Your Room」は、夜のホテルを舞台に、自宅のPCやスマートフォンから「事件」を目撃するというストーリー。脚本・演出は、SCRAP所属のきださおりとミステリー作家の木下半太が担当している。

    最大の特徴は、パソコンのチャット機能などを使い、登場人物とコミュニケーションを交えながらインタラクティブに物語が進行する点。これまでの映画やドラマのような一方向的な鑑賞スタイルではないのだ。そのため、それぞれの公演においてストーリーや演出が異なり、まるでテーマパークのアトラクションのような『没入体験』を自宅で楽しめるのだという。

    過去公演の反響について、HOTEL SHEの花岡さんに話を聞くと「全体として”物語に入り込む感覚”に対して大変好評の声をいただいております」とのこと。
    参加者からとったアンケートでも「『オンラインでしか出来ないこと』で織られた真新しい1枚布のような演劇体験。自宅が客席なのに、作品世界への没入感が凄いし、物語も好きだった」といった、興奮の声が寄せられている。

    多くの人に感動を与えた演劇は、3作目でさらに進化を遂げている。今作ではオンライン上で複数のZoomが開かれており、参加する物語を選ぶことができる。Zoom間を移動することで、夜のホテルを歩き回る感覚も味わえるという。

    公演は非常に人気で、チケットは発売後すぐに完売してしまうこともあるので、気になる人は公式ホームページで情報をこまめにチェックしよう。

    自宅から事件を解決!オンライン脱出ゲーム

    そして、もともとは街中や建物の一室で楽しむのが主流だった「謎解き」や「脱出ゲーム」も、リモートでの可能性を広げた一つである。

    例えば、これまで様々な「リアル脱出ゲーム」を世に送り出してきたSCRAPは、コロナ禍でオンラインの公演を企画制作するなど、対策を行ってきた。
    始めこそ、リアルのゲームをオンラインに移植したものであったが、参加者の反応を見ながら、よりオンライン向けの、没入しやすい演出などを取り入れていったという。
    そしてついに今月からは、自宅にいながら楽しめる新しい体験型ゲーム・イベント「リアル脱出ゲーム・デリバリー」を、1つのコンテンツとして登場させた。

    7月にスタートしたばかりの「リアル脱出ゲーム・デリバリー 青梅雨に届いた手紙」では、これまでも使用していたビデオ通話サービス「Zoom」に加えて、コミュニケーションアプリの「LINE」も使用する。さらに各参加者の元には謎解きキットも届き、それらを使いながら、本格的な「リアル脱出ゲーム」を楽しめるという。

    よりゲームの世界に没入できるよう、世界観を徹底的に作り込んでいるのも特徴だ。
    この作品の、参加者は“在宅専門の探偵”で、ZoomやLINEを駆使しながら同じ探偵事務所の仲間(他の参加者)と共に依頼の解決を目指す、という設定は、今の私たちのリモートワーク環境によく似ている。

    少女から届く依頼の手紙から物語が始まる ※公演イメージ

    そして依頼人である少女とコミュニケーションを取り進行する繊細なストーリーにより、自分が本物の在宅探偵、物語の一員となる気分を味わえるのだという。

    また、リアル脱出ゲームは仲間と一緒に楽しめることで人気となったが、その点はリモート版も同じ。コロナ禍でも複数で楽しめるレジャーなので、遠くに住む友人と参加するのも良さそうだ。

    リアル旅より人と触れ合える?「リモトリ」

    最後に紹介するのは、旅。島根県の北にある隠岐諸島・海士町(あまちょう)を旅できる「リモートトリップ」だ。

    人口2300人の海士町は、年間3万人の観光客が訪れているが、今年は新型コロナウイルスの影響で窮地に陥っていた。その中で島にある旅行会社「島ファクトリー」は、「島に来なければ旅行は成立しないのか、旅に出なくとも、海土の魅力を体験できるのではないか?」と考え、家でも島の魅力が体験できる「リモートトリップ」を考案したのだという。
    この企画の面白いところは、リアルの旅ができない間の一時凌ぎではなく、リモート旅を一つのコンテンツとして捉え、毎回サービスを改良しているところだ。

    まず1回目は、海土町の特産品である大きな岩牡蠣を、参加者の自宅に配送。届いた大きな牡蠣の開き方を、Zoom上で島の人たちに教えてもらいながら、みんなで味わうというものだった。

    2、3回目の開催では岩牡蠣を堪能した後、島の人がドライブを行い、Zoomを介してみんなで島を巡る、という、より旅感を味わえるものになり、4回目では海土町と気仙沼の2ヶ所を同時にリモートトリップ……と、回を追うごとに進化を重ねてきた。

    さらに、つい先日実施した、第9弾のリモートトリップは、なんと日本航空と共同開催。機内ドリンクやデジタルフライト用チケットが届き、当日はJALのパイロットや、客室乗務員が空の旅に案内。飛行機を降りたら海士町に到着し、特産品であるサザエやもずくを味わう……と、より本格的な旅気分が味わえるものとなったのだ。


    リモートトリップの料金は、特産品などの内容に応じて5000円から1万円ほどと、参加がしやすいのが嬉しい。
    そして何より、ただ旅行するだけでは生まれなかった島の人とのつながりや参加者同士のつながりが生まれるのが、これまでの旅にはなかった魅力だという。
    島ファクトリーの石原さんによれば、これからも「リモトリ」は続けていくというので、今後のさらなる進化が楽しみである。

    新型コロナウイルスがなければ登場しなかったかもしれないリモート・エンタテインメント。その中でも今注目され人気となっているのは、私たちが楽しめるように考え抜かれたものばかりだ。この時代だからこそ楽しめるサービスの数々を、この夏、体験してみてはいかがだろう。