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ヨコハマトリエンナーレ2020が開幕。現代アートの「わからない」を楽しもう

ヨコハマトリエンナーレ2020が開幕。現代アートの「わからない」を楽しもう

現代アートに興味がないわけではないけど、難しくて楽しみ方がわからない。そう思っている人にこそ足を運んでほしいイベントがある。7月17日から開幕したヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」だ。現代アート初心者に驚きとワクワクを届けてくれる展覧会の楽しみ方を、ご紹介していこう。

アーティスト:ニック・ケイヴ《回転する森》2016年(2020年再制作)ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

ヨコハマトリエンナーレは、3年に一度開催する現代アートの国際展として2001年にスタート。横浜の街をアートで彩り、国際的に活躍するアーティストの作品から新進のアーティストまで、広く国内外の最新の動向を発信してきた。

7回目となる今回は、インドのニューデリーを拠点とするアーティスト3名による「ラクス・メディア・コレクティヴ(以下、ラクス)」をアーティスティック・ディレクターに迎えて開催。

グループ名にある「ラクス」とは、ペルシャ語、アラビア語、ウルドゥー語で「ダンス」という意味。イスラム教の一派であるスーフィズムの修行僧たちが、クルクルと回転して踊りながら思索を深めるという点からヒントを得て、「動き回る中でこそ考えが深まる」という基本的な考え方を示すべくグループ名にしたのだという。

アーティスト:青野文昭《イエのおもかげ・箪笥の中の住居ー東北の浜辺で収拾したドアの再生から》2020年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

多くの展覧会は、ディレクターがテーマを決定し、それに沿って作品が選ばれる。しかし今回のヨコハマトリエンナーレでは、「ソース(sourse、源泉)」と呼ぶ考えのタネを示し、ディレクターであるラクス、アーティスト、来館者のみんなでアイデアを育てていく展覧会に構成されている。よくある「企画展」と呼ばれるものではないのだ。

アーティスト:新井卓《千の女のための多焦点モニュメンツ No.1〜10》2020年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

考えのタネであるソースから導き出された、本展のキーワードは以下の5つ。

・独学(人に教えられるのではなく、自ら学ぶこと)
・発光(学んで光を外に放つこと)
・友情(光の中で友情を育むこと)
・ケア(互いをいつくしむこと)
・毒(世界に否応なく存在する毒と共生すること)

これらの5つのキーワードが、各作品のどこに散りばめられているのか。それぞれが見つけて、解釈するという享受の仕方を提案しているのだ。

アーティスト:エヴァ・ファブレガス《からみあい》2020年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

例えば、こちらの『からみあい』という作品は、お腹の善玉と悪玉がモチーフだ。作者は、肩こりをほぐす指圧グッズのように、人間のカラダにとって気持ちの良い形や感触に興味を持ちこの作品を作ったとのこと。

一方ラクスは、人間の腸のような形を見て、善玉菌や悪玉菌が共生するお腹の中の世界まで想像を広げたそう。このようにどんどん自由に拡大していく連想を楽しんでもらいたいのだという。

《未知を見る彼女:ヤージュージュ、マージュージュ》,2017 Courtesy of Morehshin Allahyari Photo by Artist

そのため、作品の近くに解説が表示されてはいるのだが、詩のような謎めいた文章で、作品の見方を簡単には教えてくれない。展覧会のテーマはなく、作品の見方もあえて教えられず、「わからない」という状態を楽しむ。知識は必要ではなく、求められているのは想像力だけ。そしてその想像に正解はなく、自由だ。そう考えると、現代アートに対する苦手意識は自然と薄くなり、むしろワクワクしてこないだろうか。

アーティスト:インゲラ・イルマン《ジャイアント・ホグウィード》2016年(2020年再制作) ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

展示されているのは、67組ものアーティストたちによる作品で、どれもユニークで想像力を掻き立てられるものばかり。その一部をご紹介しよう。

幕に覆われた横浜美術館。一見「工事中?」と思ってしまうが、実はこれも作品だ。その細やかなディテールは実際に足を運んで楽しんでみてほしい。アーティスト:イヴァナ・フランケ《予期せぬ共鳴》2020年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景 
これは、オワンクラゲの発光する遺伝子を組み込んだカイコが作る絹糸「蛍光シルク」を使った作品たち。キティちゃんやペンなど、どこか懐かしさを感じるアイテムたちが暗い室内でシルクに包まれ発光する。これらを見て、あなたは何を感じるだろう? 竹村京《修復されたG.美術館のマジックペン》2019年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景
ちなみにこの展示室内では、アーティストが現在進行形で作品を制作中。10月の会期終了時には、一体どんな作品ができ上がっているのだろうか。アーティスト:竹村京《Time Counter》2019年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景
アーティスト:ロバート・アンドリュー《”つながりの啓示ーNagula”》2020年 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

現代アートについて明るくなくても、人それぞれ異なる驚きと気づきを見つけ、想像を楽しむことができるヨコハマトリエンナーレ。横浜美術館、プロット48、日本郵船歴史博物館で10月11日(日)まで開催中なので、横浜の街を歩きながらまわってみるのもおすすめだ。

新型コロナウイルス対策として、来場予約のうえ限られた人々しかいないなかでゆっくりと鑑賞できるので、自身の感性をフル稼働して、知らなかったアートの魅力にどっぷり浸かってみては。

※アイキャッチ画像(左から)
キム・ユンチョル《クロマ》2020 ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景
ニック・ケイヴ《回転する森》2016(2020年再制作)ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景
竹村 京《修復されたY.K.のフォロ》2020ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景

写真:田中信也

MORE INFO:

ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」

エリア: 神奈川
営業時間: 月曜日 10:00〜18:00
火曜日 10:00〜18:00
水曜日 10:00〜18:00
金曜日 10:00〜18:00
土曜日 10:00〜18:00
日曜日 10:00〜18:00
祝日 10:00〜18:00
定休日: 木曜日休場(7/23、8/13、10/8を除く)
公式WEB: https://www.yokohamatriennale.jp/2020/

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