HOME WELL BEING KABUTOCHO(兜町の旅の今) 老舗から気鋭ビストロまで。新グルメタウン・日本橋兜町を村川絵梨と探訪
老舗から気鋭ビストロまで。新グルメタウン・日本橋兜町を村川絵梨と探訪

老舗から気鋭ビストロまで。新グルメタウン・日本橋兜町を村川絵梨と探訪

2021年2月14日から放送がスタートした大河ドラマ「青天を衝け](NHK)。村川さんは新一万円札の顔としても注目される主人公渋沢栄一の姉・なかを演じている。渋沢といえば、ここ兜町で日本初の銀行となる「第一国立銀行」を興した人物。村川さんにとってそんなご縁も感じる街で、どんな美酒とグルメに出会ったのだろうか。

江戸時代には酒問屋や鰻の名店が立ち並んでいた街

金融街というイメージが大きかった日本橋兜町。しかし、現在はあちこちで再開発が進められ、新しい顔へと変貌を遂げつつある。飲食の面でも、老舗から新店までがしのぎを削るグルメタウンへ。そもそも、江戸時代にはすぐそばを流れる日本橋川沿いに河岸があり、酒問屋や鰻の名店が立ち並んでいた。そんな歴史を持つ兜町で今回巡ったのは、クラフトビール、フルーツサンド、カジュアルフレンチなどが評判の4店。さあ、出発!

「東京中を飲み歩いていますが、この辺りは来たことがないかも。『兜町』という言葉は経済ニュースではよく耳にするので、働く人の街という印象。でも、グルメタウンとしても注目されているんですね。予備知識ゼロだからこそ、どんな素敵なお店があるのか楽しみです」

スウェーデン発のビアスタンド「オムニポヨストーキョー」

70年続いた鰻屋を改装して2020年8月にオープン。外観は鰻屋時代のしつらいを残しており、引き戸の取っ手は鰻の形だとか。両隣は昔ながらの喫茶店と夜はお酒も飲めるコーヒースタンドという気になる一角。

世界中のビールファンを虜にするスウェーデンのクラフトビールブランド「オムニポヨ」。スウェーデンに3店舗、ドイツに1店舗あり、ここはアジア初進出の店舗だ。「脳が溶けそうになる味わい」と形容されるビールは常時11種類。それぞれフレーバーが異なり、アルコール度数も4.5%から15%とさまざま。村川さんが飲んだのは6%の「PLEROMA」でキウイフルーツとグリーンアップルの甘酸っぱいテイスト。泡はビール自体を凍らせているので、時間が経っても形が崩れない。ホットドッグはパンに非加熱のネイキッドマスタードを塗るのがポイント。フレンチフライはガーリック入りの自家製マヨネーズでいただく。どちらもビールに合うサイドメニューだ。

店内のサイケなカラーリングはまさに“アシッド”。

「外観を見た瞬間からテンションが上がりましたが、中がサイケデリックな空間でまたびっくり。ビールはすごくフルーティーで、あまり飲んだことがない味。ジェラート状の泡もちゃんとビールの味がして嬉しい(笑)。ホットドッグはソーセージがすごく美味しかったです」

注文したのは「アシッドドッグ」と名付けられたホットドッグ(900円)、フレンチフライ(500円)、そしてクラフトビール(1,380円)。

1952年創業の老舗「イマノフルーツファクトリー」

軒先のショーケースにずらりと並ぶフルーツサンド。「デコポンにマスクメロン、うわー、ラ・フランスもある!」。さんざん迷った末に村川さんが手に取ったのは大粒のイチゴを贅沢に使った「あまおうサンド」(1,080円)だった。

戦後も間もない頃、ここ兜町で「今野果実店」として創業。1964年に現在の場所にビルを建てて、1階をフルーツ売り場、2階と3階をフルーツパーラーとして営業していた。2003年からはスイーツとジュースの本格的な販売も開始。フルーツは“いい物”が一堂に集まる大田市場で毎朝仕入れているとのこと。そんなフルーツがぎっしりと詰まったフルーツサンドは、近隣の人はもちろん、遠くから買いに来る客も多いそうだ。店長の今野喜彦さんは、これほどまでに愛される味の秘密を聞くと、「うちは生クリームじゃなく、マーガリン入りの甘すぎないバタークリームを使っています。フルーツの酸味を活かしたいので」。とはいえ、主役はあくまでもフルーツなのだ。

こちらは「フルーツサンド シャインマスカットMIX」(650円)。旬のフルーツたちに加え、種無しで皮ごと食べられるシャインマスカットが入っている。食べ進めるごとに味と食感の変化が楽しめるという、まさに看板役者。

「私、毎朝必ずフルーツを食べるんです。このイチゴはかなり大きい。一口食べると、んー、やばい。これぞフルーツという感じ。まるでジャムみたいな味わい。クリームも甘すぎなくてちょうどいいバランスです。本当に美味しい。他のフルーツサンドも買って帰ろっと(笑)」

店頭にはフルーツサンドの他にも、季節のフルーツがずらりと並んでいる。大好きなフルーツに囲まれはしゃぐ村川さん。

気鋭のシェフが腕を振るう創作フレンチ「Neki」

京都生まれのシェフ・西恭平さん(写真右)。京都のホテルのレストラン部門で働いたのちに渡仏。帰国後にシェフとして着任した渋谷「bistro ROJIURA」は6年連続でミシュランガイド東京のビブグルマンを獲得。

2020年7月にオープンした注目のビストロ。フランス修行時代に出会ったパティシエの大山恵介さんによる「Patisserie ease(パティスリー イーズ)」と同時に兜町に出店した。店名の「ネキ」は外国語かと思いきや、関西地方の方言で「そば、近く」という意味。「ここ兜町で“ネイバーフッド”な存在になれれば」と西さんは言う。料理はフレンチに和の要素を取り入れたオリジナル。一人でも料理を堪能できるようにと、ハーフサイズのメニューも充実している。お酒は国内外の自然派ワインを中心としたセレクトで、クラフトビールは瓶で提供。オープンキッチンを置く店内は開放的な空間で、アナログレコードから流れる音楽を肴にゆったりと食事を楽しめるお店だ。

前菜は「牡蠣と馬肉のカルパッチョ」(ハーフサイズ・1,260円)。ワインはフランス・ロワール地方の「アレクサンドル・バン」(1,100円)。白桃を思わせるような繊細かつフルーティーな味わいで濃厚な牡蠣によく合う。

「料理のクオリティが高すぎて驚きました。牡蠣も馬肉も大好きなので幸せ(笑)。自分では絶対に作れない、これぞ創作フレンチと思える一皿です。メインディッシュの『さつま福永牛の炭火焼き』はミネラル感があるワインによく合いました。内装も音楽もお洒落で、食事の時間を空間ごと満喫できる工夫に満ちていますね」

お一人様でもいろんなメニューを楽しめるようにハーフサイズの用意もあり。「さつま福永牛の炭火焼き」(¥2,940)

「ブルックリン・ブルワリー」世界初の旗艦店「B」

本店を訪れたことがあるという村川さん。3種類の飲み比べセット(1,200円)で、ホップが華やかに香る「ブルックリンラガー」、パイナップルのような味わいの「ヘイズIPA」、シェリー樽で熟成させた「カパタズ」を注文していた。

さて、グルメツアーのラストを飾るのは、ニューヨークのカルチャー発信地、ブルックリンで1988年に誕生した「ブルックリン・ブルワリー」。そんな醸造所の世界初となる旗艦店「B」が昨年2月、兜町にオープン。大正12年に建てられた旧第一銀行ビルをリノベーションした複合施設「K5」の地下1階に降りると、長いカウンターと120席という広い空間が出迎えてくれる。ここで味わえるのは、ニューヨーク直輸入の個性豊かなビールやオリジナルのビアカクテルなど。ビール、タコス、音楽・アートで兜町を盛り上げようと気炎を上げているのだ。

フードの看板メニューは小伝馬町のダイニングバー「北出食堂」のシェフが監修した11種類のタコス。中でもお店のイチ推しは、山形産米沢豚をメキシカンマリネで仕上げる「アルバストール」(写真右下・350円)。

「飲み比べセットだと色合いの違いを楽しめますね。飲んでいるうちにブルックリンの思い出が蘇りました。3種類の中で優勝したのはアルコール度数11.3%という『カパタズ』。『ん? これ、ビール?』という深い味わいです。フィンガーサイズのタコスもビールと相性抜群」

ガレージを彷彿させる広々とした空間を楽しんでいる村川さん。

最後に村川さんの感想を。

「朝食の量を少なめに抑えて臨んだグルメ探訪。昔ながらのフルーツサンドからお洒落なクラフトビールまで堪能できて大満足。まさか、兜町でブルックリンに想いを馳せるとは。舞台の出演が終わったタイミングだったこともあり、たくさん飲んじゃいました(笑)。まったく知らなかった街ですが、古き良き東京と最新の東京が共存している印象。路地を曲がるたびに発見があるんです。一人飲みが好きなので、またふらっと立ち寄りたいなあ」

撮影:山本恭平
スタイリスト:九(Yolken)
ヘアメイク:内山多加子(Commune)
文:石原たきび

【村川絵梨】

1987年、大阪生まれ。歌手デビューを経て、2004年から女優業に進出。2005~2006年のNHK連続テレビ小説「風のハルカ」でヒロインを務めて以降、TBS系ドラマ「ROOKIES」をはじめ、ドラマ・舞台・映画と幅広く活躍。2021年2月から放送が始まったNHK大河ドラマ「青天を衝け」(NHK)では主人公渋沢栄一の姉・なか役を演じている。日本酒好きとしても知られ、2016年に「唎き酒師」の資格を取得。2020年には「えりごのみ104 純米大吟醸」をプロデュースした。